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悪役令嬢回避
攻略者の家族に引き取られた…その攻略者達は
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転移した場所についたとたんに、いきなり雨に濡れたのであろう、メイド服の女が現れた。
「どうか坊っちゃまとお嬢様を助けてください!お願いします!!」
そう声が聞こえてきて、そっとドア側の窓から覗くと、馬車から引き離そうとする騎士達の腕を、必死の形相で振り払いながら訴えてきている姿が見てとれた。離れた向こうの方には、僅かな食べ物がカゴから転がり落ちているのが見える。地面は雨上がりで濡れていた。我々がこの地に転移してきた時には、雨がちょうど止んだ時なのだろう。側に見える木々や花々に雫が見え、土の状態からしても…そう判断したんだ。
私達の馬車を見つけて、持っていたカゴを落とした事に気が付かないぐらいだったのだろう。ものすごい勢いで、騎士達の間を掻い潜り、私が乗っている馬車の扉をドンドンと叩きながら訴えてきたのだ。
この地は今、魔獣や魔物達が頻繁に出現していると言われている。そんな危険な場所と化したこの場で、食べ物を持っていた女性。その着ているメイド服に見覚えがある。弟の…屋敷の服だ。
この地域では、侍女をメイドと言っていた。仕事着を見た遥か昔訪れた者が『メイド服』と呼び、それを着ていた者達を『メイド』と呼んだのが名残だとか…
まぁそんな事はいい。
なら、彼女が例の唯一の大人なのだろうか?
「その者を離してやれ。君は誰だ?なぜ私に…私達に助けを求める?」
ドアから引き剥がされた時、私は自分からドアを開けて、ゆっくりと降りながら声をかける。
この地はかなり混乱していると言っていた…そんな場所でいきなり現れて助けを求めてくるなんて…
あの子達は、あの弟夫婦の…あの子達はまだ無事なのだろうか…
実際に目にして確認しなければ安心できない…。
我らがこの地についた途端に現れた…と言うか、魔法陣の気配を察知して急ぎ来たのか??
助けを求めて…
魔法陣の目的地設定している時に、目的地が相手の敷地内であれば察知できるようになっていた。
そうしなければ、誰が来るのかわからず対応に困るだろうと言う事でだ。
弟とあれこれ言いながら、設置設定を行ったんだ。
あの子は魔法が、魔法陣研究とかが好きだった。魔道具もだが…
なら、この女性はそれを察知して、私達を待ち構えていたのだろうか?
それとも…
「私はエレイン・オズワルド。オズワルド伯爵家三女で、アスガルド伯爵家のエドワルド様とエレイン様の専属メイドとして勤めさせていただいております。この馬車に施されている紋章はフィンレイ侯爵家の紋章と…お見受けします。どうか、どうか坊っちゃまとお嬢様を助けてください。」
そう言って、濡れた地面に両手をついて、肩を振るわせながら首を垂れた。
その真剣な顔と、その姿に…。
「私はグレゴリー・ダルク・フィンレイ。フィンレイ領を統べる者だ。お前が仕えている者の所に案内してほしい。」
そっと目の前の女。メイドであるエレインと名乗った女性の手を取り、清浄の魔法をかけながら立ち上がらせた。
そして、専属執事であるレイモンドと数人の騎士達を連れて彼女を先頭にして目的地を目指した。
「どうか坊っちゃまとお嬢様を助けてください!お願いします!!」
そう声が聞こえてきて、そっとドア側の窓から覗くと、馬車から引き離そうとする騎士達の腕を、必死の形相で振り払いながら訴えてきている姿が見てとれた。離れた向こうの方には、僅かな食べ物がカゴから転がり落ちているのが見える。地面は雨上がりで濡れていた。我々がこの地に転移してきた時には、雨がちょうど止んだ時なのだろう。側に見える木々や花々に雫が見え、土の状態からしても…そう判断したんだ。
私達の馬車を見つけて、持っていたカゴを落とした事に気が付かないぐらいだったのだろう。ものすごい勢いで、騎士達の間を掻い潜り、私が乗っている馬車の扉をドンドンと叩きながら訴えてきたのだ。
この地は今、魔獣や魔物達が頻繁に出現していると言われている。そんな危険な場所と化したこの場で、食べ物を持っていた女性。その着ているメイド服に見覚えがある。弟の…屋敷の服だ。
この地域では、侍女をメイドと言っていた。仕事着を見た遥か昔訪れた者が『メイド服』と呼び、それを着ていた者達を『メイド』と呼んだのが名残だとか…
まぁそんな事はいい。
なら、彼女が例の唯一の大人なのだろうか?
「その者を離してやれ。君は誰だ?なぜ私に…私達に助けを求める?」
ドアから引き剥がされた時、私は自分からドアを開けて、ゆっくりと降りながら声をかける。
この地はかなり混乱していると言っていた…そんな場所でいきなり現れて助けを求めてくるなんて…
あの子達は、あの弟夫婦の…あの子達はまだ無事なのだろうか…
実際に目にして確認しなければ安心できない…。
我らがこの地についた途端に現れた…と言うか、魔法陣の気配を察知して急ぎ来たのか??
助けを求めて…
魔法陣の目的地設定している時に、目的地が相手の敷地内であれば察知できるようになっていた。
そうしなければ、誰が来るのかわからず対応に困るだろうと言う事でだ。
弟とあれこれ言いながら、設置設定を行ったんだ。
あの子は魔法が、魔法陣研究とかが好きだった。魔道具もだが…
なら、この女性はそれを察知して、私達を待ち構えていたのだろうか?
それとも…
「私はエレイン・オズワルド。オズワルド伯爵家三女で、アスガルド伯爵家のエドワルド様とエレイン様の専属メイドとして勤めさせていただいております。この馬車に施されている紋章はフィンレイ侯爵家の紋章と…お見受けします。どうか、どうか坊っちゃまとお嬢様を助けてください。」
そう言って、濡れた地面に両手をついて、肩を振るわせながら首を垂れた。
その真剣な顔と、その姿に…。
「私はグレゴリー・ダルク・フィンレイ。フィンレイ領を統べる者だ。お前が仕えている者の所に案内してほしい。」
そっと目の前の女。メイドであるエレインと名乗った女性の手を取り、清浄の魔法をかけながら立ち上がらせた。
そして、専属執事であるレイモンドと数人の騎士達を連れて彼女を先頭にして目的地を目指した。
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