212 / 216
運命が回る
運命が回りだす
しおりを挟むそうこうしたら、何故か場所はテントの中に変わっていた。
うん、これは神々の成せる技だろう。もう深く追求する事はやめておくことにした。
「父上、無事に扉は閉じられたようですね。」
「あぁ、皆ご苦労だった。まだ魔獣や瘴気の被害も残っているだろう。住民の安全を重視して、各国に報告をするべきだろう。」
義兄であるエドワード殿下が姪っ子である女帝セレスにそう指示を出し、すぐさま騎士達が動き出した。
各国の代表として集まった者達もそれぞれの国に報告と片付けとで忙しく動き出す。
流石だと思う。こう言う行動力の凄さと言うか采配というか…
横にいた夫も子供達に指示を出し、屋敷の者達に連絡するのだろう。
シルバーは聖騎士の格好から、いつもの侍女の姿に変わっていた。
シルバーがどうしたいのかはまだ聴けていないが…
そんな事を考えながら、自分がすべき事を考えようと、みんなの行動をそれとなく見守っていた。
「マスター。我らも手伝いをしてきますね。」
いつの間にか側に来たアルストがそう声をかけてきた。
声をかけた相手は勿論息子のカルロスにだ。息子が『お願い』とだけ伝えているのをただ見守る。
彼らはカルロスのスキルで召喚した英霊達だ。
今まで隠し通し、公にはしていなかったけれども、もう姉夫婦にはバレバレだし、もう良いかと思ったんだろう。
騎士達も初めは驚いていたようだけれども、そこは統率が取れているのか、特に混乱は見られなかった。
時々崇めるような視線はあったけれども…
彼らにとっては、英霊は過去の英雄。よって尊敬の念が多いにあるのだろう。
過去の偉人に対しての尊敬の念は向こうの世界でもあったから。
実際に今のこの世界みたいに、会う事は叶わないけれど…
息子のスキルはこの世界でも特殊で、全然存在しないわけではないようだ。
そこはシルバーがこそっと教えてくれた。
彼女は…
思わずどう対応しようかとも思ったが、彼女から言ってくるまではいつもの対応にしようと気をつけることにした。
それにしても、今回の騒動のディール帝国の元皇帝である義兄も、そして姉達にも驚いた。
まぁ、何かあればどうにかしてくれるだろうとも思いもしたけれども、それでもだ。
問題はまだあるけれど、取り敢えずは良い方向に向いていっていると思う。
神々の色んな傍迷惑な思惑で全てが振り回されてのこれまで…今回の結果だと理解し、その後の事も考えていく必要性はあるだろう。
慌ただしく周りが動き出し、みんながほっとしているから、まぁ良しとしよう。
今回の事は、記録として残せるだけ残すことにもしたようだし…
神々の御都合で、どこまで残せるかはわからないが…
それに…
「大丈夫か?」
カルロスの相手であるジャディール殿下が息子を心配そうに覗き込んでいる。
そう言えば、顔色が悪い気がする。
ジャリっと音がして…
「カル!!」
息子の身体から力が抜けて、表情も…
慌てて息子のそばに駆け寄ろうとした。
既に殿下が抱き止めて抱き上げてはくださったけれども…
「魔力が抜けている。急ぎ手当を!」
そう言ってテント内に入って行った。
私も急いで懐にしまっていた予備のポーションを持って駆けて行く。
「殿下、これを!」
そう言って手渡し、両手を組んで神に祈るように…
「ここは殿下にお任せしよう。大丈夫だから…」
いつの間にそばに来たのか、夫に抱き寄せられて、抱き上げるようにしてテントから出た。
そこで私の意識もプツンと途切れてしまったのは母親として情けなく思ってしまった。
1
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
曰く付きの家に嫁いだら、そこは龍神さまのお屋敷でした~恋を知らなかった私達が愛にたどり着くまで~
あげは凛子
恋愛
※ただいま休載中です。ご迷惑をおかけしております。
時は大正時代。まだ明治時代が色濃く残るそんな時代。
異国で生まれ育った鈴は幼い頃に両親を亡くし、たった一人の親戚である叔父を頼って日本へやってきた。
けれど親戚達は鈴に当たりが強く、とうとう曰く付きで有名な神森家にお見合いに行く事に。
結婚が決まるまではお試し期間として身柄を拘束させてもらうと言う神森家の掟に従って鈴はその日から神森家で暮らすことになったのだが、この家の住人は皆どうやら人間ではなかったようで……。
龍と少女の現代恋愛ファンタジー。
※こちらの作品はもんしろ蝶子の名義で『龍の箱庭』というタイトルでアマゾン様とがるまに様で発売中です。本でしか読めないイチャラブやおまけがありますので、そちらも是非!
※このお話はフィクションです。実在している団体や人物、事件は一切関係ありません。
※表紙はACサイト様からお借りしたものを編集しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる