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運命が回る
運命が回りだす
しおりを挟むそうこうしたら、何故か場所はテントの中に変わっていた。
うん、これは神々の成せる技だろう。もう深く追求する事はやめておくことにした。
「父上、無事に扉は閉じられたようですね。」
「あぁ、皆ご苦労だった。まだ魔獣や瘴気の被害も残っているだろう。住民の安全を重視して、各国に報告をするべきだろう。」
義兄であるエドワード殿下が姪っ子である女帝セレスにそう指示を出し、すぐさま騎士達が動き出した。
各国の代表として集まった者達もそれぞれの国に報告と片付けとで忙しく動き出す。
流石だと思う。こう言う行動力の凄さと言うか采配というか…
横にいた夫も子供達に指示を出し、屋敷の者達に連絡するのだろう。
シルバーは聖騎士の格好から、いつもの侍女の姿に変わっていた。
シルバーがどうしたいのかはまだ聴けていないが…
そんな事を考えながら、自分がすべき事を考えようと、みんなの行動をそれとなく見守っていた。
「マスター。我らも手伝いをしてきますね。」
いつの間にか側に来たアルストがそう声をかけてきた。
声をかけた相手は勿論息子のカルロスにだ。息子が『お願い』とだけ伝えているのをただ見守る。
彼らはカルロスのスキルで召喚した英霊達だ。
今まで隠し通し、公にはしていなかったけれども、もう姉夫婦にはバレバレだし、もう良いかと思ったんだろう。
騎士達も初めは驚いていたようだけれども、そこは統率が取れているのか、特に混乱は見られなかった。
時々崇めるような視線はあったけれども…
彼らにとっては、英霊は過去の英雄。よって尊敬の念が多いにあるのだろう。
過去の偉人に対しての尊敬の念は向こうの世界でもあったから。
実際に今のこの世界みたいに、会う事は叶わないけれど…
息子のスキルはこの世界でも特殊で、全然存在しないわけではないようだ。
そこはシルバーがこそっと教えてくれた。
彼女は…
思わずどう対応しようかとも思ったが、彼女から言ってくるまではいつもの対応にしようと気をつけることにした。
それにしても、今回の騒動のディール帝国の元皇帝である義兄も、そして姉達にも驚いた。
まぁ、何かあればどうにかしてくれるだろうとも思いもしたけれども、それでもだ。
問題はまだあるけれど、取り敢えずは良い方向に向いていっていると思う。
神々の色んな傍迷惑な思惑で全てが振り回されてのこれまで…今回の結果だと理解し、その後の事も考えていく必要性はあるだろう。
慌ただしく周りが動き出し、みんながほっとしているから、まぁ良しとしよう。
今回の事は、記録として残せるだけ残すことにもしたようだし…
神々の御都合で、どこまで残せるかはわからないが…
それに…
「大丈夫か?」
カルロスの相手であるジャディール殿下が息子を心配そうに覗き込んでいる。
そう言えば、顔色が悪い気がする。
ジャリっと音がして…
「カル!!」
息子の身体から力が抜けて、表情も…
慌てて息子のそばに駆け寄ろうとした。
既に殿下が抱き止めて抱き上げてはくださったけれども…
「魔力が抜けている。急ぎ手当を!」
そう言ってテント内に入って行った。
私も急いで懐にしまっていた予備のポーションを持って駆けて行く。
「殿下、これを!」
そう言って手渡し、両手を組んで神に祈るように…
「ここは殿下にお任せしよう。大丈夫だから…」
いつの間にそばに来たのか、夫に抱き寄せられて、抱き上げるようにしてテントから出た。
そこで私の意識もプツンと途切れてしまったのは母親として情けなく思ってしまった。
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