竜の恋人

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運命が回る

運命が回り出す

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そんな事件の後は、また幸せな時が続いた。
不安が無いわけではない。またあの男の魔の手がいつ伸びてくるのかと言う恐怖はある。
だけれども、子供達との伝達魔法陣でのやり取りや、あの子、カルロスの相手であるジャディール殿下が全力で守りに入ってくれたから、無事に誕生日も迎えて婚約し、アカデミーにも入学できた。
姉が眠りについていなかったら、相談できたと思うけれど…でも、学生として楽しい生活を送れていた様だったので、とりあえずは見守る事した。
夫や子供達が心配して付けているカルロスの護衛達からの報告を私も覗き見させてもらいながら、こんな事までできる様になったのかと喜んでいたからだ。


だが、また驚異的な問題がこの世界に起こった。

元々魔物や魔獣は地域によって発見され、討伐されていた。
あの時、扉を閉ざしたおかげで一旦は消滅していた魔獣も、人の負の感情は完全に消え去る事がない為、どうしても魔素溜まりが発生していた。
領内の騎士達や国家。及び冒険者達のおかげで討伐され、浄化もされていたけれど、新たな扉が発見されたのだ。
しかも、またディール帝国領地内。ただ今回はディール帝国南東部に位置するアルグスト山脈内の洞窟からの発見だ。
今までは前回の様に上空に発生する事が多かったから、やや発見が遅れたらしい。

各地で急速に魔獣被害が増加して、聖女召喚を余儀なくされる事態となったらしい。

姉にはもうあの当時ほどの力は無いらしいし、あの時に呪いも受けてしまっていたから再度浄化巡礼は難しく、神からロザリアン神聖国の神殿内に啓示があったらしい。
それによって、運命のイタズラがまた私達に降りかかっていた。

そう、あの子が召喚の儀式に参加する事になり、浄化巡礼のメンバーに選ばれてしまったのだ。
婚約者であるジャディール殿下が注意して側について行くと約束してくださったが…

夫も子供達も心配して、密かに影の者達をつけると言っていた。
これらも全て私の所為なのだろうか…

なんとも言えない気持ちが浮上する。
それでも、拒否はできない事実から、遠くから無事を祈るぐらいしかできなかった。


なのに、聞こえてくる噂話や情報はとんでも無い内容が多かった。

息子を聖女がまるで使い捨ての道具のように扱うのだ。

聖女自ら浄化する必要性があるのに、汚染されたモノに触れる事を拒否して私の大切な子供に触れさせた。
まるで杖か何かのように媒体にされ、あの子の魔力も奪い取るように使い切った。
魔力枯渇を起こして、婚約者である殿下に介護されるのを馬鹿にするように中傷し、息子でなく、婚約者である殿下の方が本来浄化巡礼のメンバーであると言いふらしているらしい。

あり得ない。ふざけているのか!!

そうこうして、ついに袖を分つように、息子は浄化メンバーから離脱。従来持つスキルと婚約者である殿下と手を取り合って浄化の旅を始めたらしい。

魔素被害が増えて、魔獣や魔物の凶暴化被害が続出。そして、あの扉の問題のせいだろう。
あの時、私と姉で…
姉が私を庇って呪いを受けてしまった前回…
今回は、どうなるのか不安だ。
あの例の神はまだ…

そうこうしたら、更なる悲劇。
必要な事だっらのかもしれないけれども…

私の息子が、ディアブロとディアと共に姿を消した。
それを知った殿下が魔力暴走を起こして、その場に何故か聖女がいたらしい。
彼女の目の前で、彼も姿を消したのだ。

もしかしたら、聖女が何某かをしたのではと疑心暗鬼となるのは仕方ないと思う。
我が家のもの達や我が国のもの達の調べでそうではない事は理解できたが…

そうこうしたら、ディアブロが私たちの前に姿を現せ、ついつい詰め寄って問いただしてしまったのは仕方ないと思う。
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