竜の恋人

異世界の扉

試練

翌日は、朝早くから多くの者達が食堂に集まっていた。
姉はまだ来てないようだ。姉と共にしているエドワード殿下もまだ来てない。
他のメンバーの方々は少しくつろいで食事をしているようだった。
エドワード殿下も来たようだ。
先に食事をしているメンバーに声をかけて、こちらにも気が付いたようだった。

軽く会釈だけしておく。

そうこうしていると、姉もやって来たようだ。
エドワード殿下に『おはよう』と声をかけ、隣の席についている。
エスコートされて、うんお似合いだ。

ふと姉と視線が合い、姉が私の背後の者を見つめていた。
私の背後には、シルバーが付いている。グレデリックも専属であるから常日頃ついているんだけれど、ここはみんなが使う食堂であるから、そんなに多くの者を護衛と称して侍るわけにはいかないのよ。だから、今は別の事をお願いしておいた。食事は済んだと言っていたからね。
という事は、見知らぬシルバーの事が気になるんだ。

「サーヤ。彼はシルバーと言って、私の護衛も兼ねた侍女なの。よろしくね。」

今だと思って紹介する。シルバーもぺこりと侍女らしくお辞儀をした。
すると、姉にエドワード殿下が耳打ちするように声をかけていた。
「沙也加、彼女は彼…」

顔を赤く染めて、思わず耳を手で塞いだのであろう姉は、エドワード殿下の方を向いていた。

「ん？」

姉に対して時々独占欲を見せているようだから、多分それかな？
姉がシルバーに興味を抱いたから…
でも、女性で私の侍女として初めて顔合わせしたからだと思うんだけど、独占欲が竜人族並みなのかもしれない。
頬を染めてやり取りしている二人を微笑ましく思う。
でも、気になる言葉が、微かに聞こえてきた。

「彼女はあの時見た映像の中で何度も見かけたね。男性の姿も…ユウリの護衛騎士か？女性の姿で今はいるが…」

シルバーは今は女性体。でも男性体の体になれることも知っている？
『あの時見た映像』と言うのがよく分からないけれど…
もしかしたら、神が関係しているのかも？！

とりあえずは、それ以上の追求もなく、穏やかな朝食の時間が過ぎて行った。
まぁ、今は考えるのはやめておこう。これから情報を交換しながら作戦会議なんだから…

みんなの食事が終わり、お茶を飲みながら情報交換が行われ始めた。
作戦会議が進む中、よくわからなくなり置いてきぼりにされていたような気もしたけれどね…

向かいの姉も苦笑いしていたよ。