竜の恋人

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異世界の扉

試練(アルホンス)

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翌朝、サヤカ達、聖女浄化巡礼のメンバーだけで示唆された浄化場所に出向いていった。
彼女達の護衛騎士達も行きたがっていたようだが、この地と障壁の方の対処が必要という事でそうなったようだ。
障壁に対しての指示は、キャラハン殿下が行っていくから大丈夫だろう。
それなりの魔法具を使用もするしとも言っていた。
庇護されやすいヒト族である彼だが、なかなかの人物だ。だから大丈夫だろう。

オーリス殿下は『扉』の方に残り指示し、対応を任されてくれた。

私達は、目的地まで少し距離があるから、竜体での飛行移動とした。
私が乗せるのはもちろん優里のみ。あのディアブロと言う男は自分で飛んでいた。
魔人族で飛行能力がある者はいるにはいるが、あの男とは違う。
魔族かとも思ったが、魔族の男を果たして神が遣わすのだろうか?
いゃ、今は考えないでおこう。

グレデリックの背中にはロインが乗っている。
この二人は意外と使えるからな。良い拾い物をしたと思うよ。
他の者達は扉の方を協力するよう指示している。
ディアブロがそうした方が良いと進言し、オーリス殿下も、『そうしてくれたらありがたい』と言われてだ。
私自身もその方が動きやすい。


あと、既に城から目的地で合流予定の聖職者と魔塔の者、騎士達が向かっているとの情報ももらい、協力する事になっていた。
土地勘のある者がいるのは好都合。時には…邪魔になる事もあるが、それは適当に対応しよう。

「もう少しで目的地です。ほら、あの前方に。」

ディアブロが指差した先を見つめる。
相変わらずだ。予想通りの瘴気だ。

しかし、竜体での高速移動に平然とついてくるこのディアブロ。とんでもないな…
他にどれぐらいの能力を隠し持っているのか楽しみでもある。

さて、地上に見えて来た場所には、既に数十人が待機していた。

ゆっくりと降りていき、竜体から人の姿に戻りながら、彼女抱き抱えて地面に降り立った。
後方のグレデリックもロインもそれぞれに器用に降り立つ。

「ようこそおいでくださいました。ご協力感謝致します。」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む。それで…」

現状を確認し、すぐさま目的地に向かうと告げた。

「ここは湿地帯ではありますが、元々はこれほどひどい状態では…」
「えっと、グレデリックはこの辺りのことを知っているの?」
「はい。私とロインはこの近隣に幼い頃住んでいましたから…」

先についていたもの達の報告を聞きながらも、彼らの会話に耳を澄ませていると、当時の事を少しだけ説明し出したようだ。自分達の幼少期のこの地域がどうであったか。当時の自分達の身の上をほんの少しだけ。
既に報告されていたから知ってはいたが。聞いていたものと彼らが話す内容を頭の中で照らし合わせる。
軍に所属して、あらゆる対応をしていたからか、こう言う事も器用にこなせるようになった。
竜人族の能力も多いに関係しているがな。

報告で聞いてはいたが、湿地帯ゆかりの植物は枯れてしまい、広範囲がヘドロ状態になっている。
生き物は、生息していないんじゃないかと思われるほどの、何とも言えない状態だった。

見渡す限りの悪環境。特に奥にいくほど何とも言えない状態だ。

沼地から這い出てくるのは、ドロドロ状態からヘドロが流れ落ちながら這い上がる魔獣。
まるで巨大な猿。
牙を剥き出し、威嚇するように襲って来た。

先頭の騎士は剣で薙ぎ倒し、魔塔の者達はロッドを使って魔法を展開して攻撃していた。
こちらに来るものは弾き飛ばし、切って捨てた。
優里を庇いながらだ。
向こうにいるディアブロは、嬉々として屠っている。
彼女の顔色を見ながら、出来るだけ悲惨な物を見せないように注意した。


「ユ~リ。ちょっと行ってくるね~」

そう言っていきなり姿を現した優里の契約妖精。ルシルが飛んでいき、その後をサクラとソラと言ったか?がついていく。
聖職者が祈りを捧げて、光り輝き、それを助長させるように飛んでいた。
一気に風が吹き、光の粒子が舞いながら辺り一面を覆い隠していく。

見事だ。
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