竜の恋人

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異世界の扉

異世界の扉

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姉が言うには、ある気になる少女を追いかけて行くと、教会内の礼拝堂の中を入り、入り口とは別の扉から出て行くのをさらに追いかけたらしい。
ドアに手が触れた途端に空間が歪んで、別の空間に転移したと。

周りが何とも言えないジメジメした感じで、しかも薄暗く、よく見ると岩肌が視界に入って来た。
そして、ピチャンピチャンと水滴が落ちて反響する音が聞こえたそうだ。
足元はぬかるんでいて、草も鬱蒼と生えていたらしい。

視界がだんだん慣れて来たのか、次々と見え始め、上を見れば、わずかな隙間から月明かりが見えた。
追いかけて来たのは、太陽が出ていた日中。それが何故か、この世界で見慣れた二つの月だった。そう、月に照らされて明るく見えるだけだったらしい。

そして、そこから外の広い場所に出るまで、不思議と声が出ず、空気が漏れるだけだった。会話ができるのは心の声。そう、考えた事が頭の中で伝え合うと言った状態になったらしい。いわゆる念話の状態なのだろう。

自分一人でその空間にいたのなら恐怖しただろうが、エドワード殿下が側にいてくれたから、驚きとかはあったけれど、恐怖心はかなり薄らいだと言っていた。

外に出ると、大きな大木と、側に湖の様なものが見えた。
水面に反射して映る二つの月。
幻想的な雰囲気の中、木の側にある岩の上に少女が座りこちらを見ていた。
そこでは、普通うの会話ができて、さらに驚いたらしい。座っていた少女は追いかけたその人だ。

その少女は『アルメルア』と名乗り、『この世界とは別の世界の神みたいな者』と言ったらしい。
そして、雲のような物でできた椅子に座るように促されて、会話をしたと。

『アルメルア』と名乗り神は、自分の片割れを追ってこの世界に来たと言ったらしい。
姉が夢か何かで見た少女がその片割れ。退屈が嫌いで、面白いものが好き。わざと混乱を引き起こして楽しむこともする問題児のような神だ。神アルメルアはその片割れを連れ戻しに来たと言っていた。

この国の北側にある障壁が数箇所壊れていたのもその片割れの影響もあったみたいだ。おかげでこの世界に入りやすかったらしい。上空の扉の隙間からこの世界降臨したらしい。神アルメルアよりも力が劣る者はまだ通れないとも言っていた。
『扉から来たから、悪魔なのか?』と問うと、『過去にはこの世を滅さんとした悪魔と言われる邪神達が降りた様だが、神アルメルアは違うと否定した。片割れはそう言われても仕方がない様なこともしでかすらしい。
そして、あの扉は異世界の神々と繋がるのだとか。通れるかどうかは開き具合とその神の力量。全ての世界は創世と破壊で常に進化させているらしく、神にとって不都合とされれば、壊して作り直しだとか。この世界の神にも実は会ったけど、そこまでは説明されていなかったと言うか、少し妨害みたいなのがあって聞き取れなかったんだとか。神アルメルア曰く、片割れが邪魔したのだろうとの事。

この世界の者達が瘴気を増やしてしまったのであるから、事後責任とも言えるけれど、瘴気は負の感情で増えるのだから、それを抑えるのが困難として、聖女召喚と称してそち達を呼び寄せる方法をこの世界の二神が教えたのだろう。他力本願の悪い癖だとも言っていたから、この世界の二神とも顔見知りなんだと思う。他の神にもそう言う者達がいるから、この世界の神だけを問う出来ではない。神は勝手な生き物だと覚えておくと良いとも言われたと。
他の人達には制約をかけられたのか伝えれなかったけれど、私には伝えれそうだったからと教えてくれた。


「それでね、今回、異世界から二人召喚された原因は…神アルメルア達のせいかもしれないし、そうで無いかもしれないとも言われたのよね。まぁ何かあれば少しは助力してくれるらしいし…ただね、助力が私達の望むものかどうかはわからないとも言われたのよ。最終的には良しとなるだろうって。」
「手助けはしてくれるんだ。」
「『捉え方次第だ。まぁ、頑張れば良い。上手く行けばな…』ってね。で、神アルメルアの使わされた者だと思うのが、あのディアブロと名乗る執事服の男性なのよね。」
「そうなんだ…」




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