竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ(アルホンス)

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我が国の王弟殿下であるジャディール•アステード殿下に呼び出されて、渋々王城に向かう。
今回はどんな要件だろうか。
まだまだ国家として、大陸全土の『魔素溜まり』『魔獣被害』『扉』の問題は解決されていないが、私においては新婚だ。諸事情と国家の問題で関係している問題もあるが、新婚なんだ。
しかも、『運命の番』との新婚生活。
もう少しそばにいたいのに…公爵家としても臣下として仕える義務もあるし、友人として協力もしたいが、新婚なんだ。

竜体から人の姿になり、彼の執務室に向かう。
廊下は意外と落ち着いている様だった。
まぁ、時間が時間であるからな。

部屋の前に立つ騎士に挨拶を交わし、入室許可をいただいて入る。

「アルホンス•セイクリオン。参上しました。」

そう告げて、机の上の書類の山を処理中の殿下に臣下の礼をした。

「あぁ、よく来た。堅苦しい挨拶は抜きだ。」

そう言って処理済みの山を側にいた者に片付けさせて、下がらせた。
彼の専属執事であり、護衛でもあるレオン•バルムート以外をだ。

レオン•バルムートは、ジャディールの専属執事であり、護衛の一人の竜人族だ。
年齢は彼より二歳上だったか?私にとっても幼馴染とも言えた。
水色の髪にエメラルドの瞳を持つ彼は、氷魔法が得意であり、その容姿と魔法属性の影響もあり、『氷の貴公子』の呼び名もある。

まぁ、そんな事はどうでも良くてだ。

「急な呼び出しの要件は何だ?」
「あぁ、まずはお茶でも飲もう。少し休ませてくれ。」

そう言ってソファーに移動してきて、私にも座る様に促して来た。
まぁ、急いできたから私も疲れてはいるが…

素直に応じて座り、レオンが入れてくれたお茶を頂く。
うん、相変わらず上手いな…

「さてと、要件だが…ディール帝国の障壁についてはこの前話した通りだ。数箇所の亀裂と破壊跡。そこからの魔族の出入りの後があったらしい。修復作業と調査は難航しながらも何とか進んでいるらしい。こちらからも協力はしているからな。まぁ、南と北側で遠方で大変ではあるがな。」
「そうですね…」

その件に関しては、我が領の騎士も協力しているから、報告は上がっている。

「でだ、聖女が魔族と接触したとの情報を得た。魔族も進化しているからな。知的に考える者もいるのだろう。瘴気が増え、魔素溜まりの影響で凶暴化しやすい時もあるらしいが、それなりの対処ができ、交流が持てる者もいるらしい。何とも言えないがな…」

「あの魔族がですか?信じられない…」

頭の中の知識と言う資料をめくりあげていく。
確かにこの大陸に住んでいる者達も地域によってはそれに対応すべく進化はある。なら、魔族も進化はあるだろう。
ヒトが長時間、濃い魔素に触れたことにより、魔族に変化した者もいたらしいのだから。
実際にはみた事はない。
過去にはその者達は、発見次第ディール帝国北側の障壁の向こう側に送っていたとはあったが…

現在は長時間魔素に触れる危険性を回避すべく、魔道具や騎士達を配置したりして住民から魔素溜まりを発見次第隔離。小さいものは、魔力の多いもの達で消し去る術を得ているから対処していたはずだ。だから、ヒトから魔族になる者は現在いないはずだ。この大陸では…

「まぁ、今までの常識が多少覆される事だがな…」
「多少ではない!」
「まぁ、言いたい事はわかる。とりあえず落ち着け。」

そう言って、目の前の男は再度お茶を口にし、長い脚を組み直した。

「そこで出た情報の一つに例の男が関与してだな。また狙ってくるらしい。もう既に入り込んでいるんじゃないか?把握しているだろう?」

出された絵姿は、既にマーク済みの二人組だ。
ユウリを狙っているようではあるが、他に狙っている組織の者達を威嚇し排除もしていた。
変わった行動をするから、あえて泳がせている。

屋敷には自分の信頼できる者達がいるからな…

「あぁ、この二人はマークしているが…」
「この二人の背後にあの男が関与していた。聖なる場所である教会の敷地内に今世の影響か魔素溜まりが発生。それに対して対応が遅れた教会側を脅して自分の参加に組み込もうとしたようだ。己の欲望に則ってな…この二人はその教会が保護していた孤児だったらしい。有名な冒険者でもあったようだが…人質を取られて堕ちたな…」

「名前は聴いたことがあったが…あの男がユウリを狙って寄越したと言う事か…なるほどね…」

少しムカムカしてきた。
あの男はまだユウリを…

「まぁ、その辺りは今からお前に片付けてもらおうと思ってね。できるだろう?」
「教会の者達を保護して敵を排除と捕撲。または滅するか?で、瘴気溜まりも対応してこいと?」
「そうだ。」

「そうそう、この二人は、捕らえてお前の好きにしたらいい。腕はいいはずだ。私も欲しいとは思ったが…彼女に丁度いいんじゃないか?良い物があるからな。」

そう言ってニヤッと嫌な笑いをした。
レオンが持って来た箱をテーブルの上に置かせて開いて見せながらだ。
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