竜の恋人

異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

執事服の上着の裏地。そう、腰近くにあるポケットの裏があたりに魔法陣が刺繍されていた。
上着を脱いだとしても、ベストの内側にも同じ刺繍がされており、そこに自分の魔力を通すことで発動するらしい。
自分の魔力を通して、自己の空間と繋げる感じだとか。
しかも、何がどれくらい入っており、思ったものが直ぐに取り出せる優れもの。
自己修正・修復機能付き。清浄化も付与された優れもの。
マジックバックの様なモノなんだね…
服自体には防御機能付きだとか。
主人の盾になるにはそれぐらいは必要とされてるらしい。

まぁ、機能の高性能差は色々であるが、この頃は、貴族の服にある程度の防御機能は付与されているものが多く出回り出してもいるらしい。
私の服は…現在付与されているものに変更中で、たまたまその時着ていた服は、残念ながら旧式。うん、付与予定の物だったんだって。

アルからお守りがわりにもらっていたアクセサリーは、機能妨害されて作動不十分だったらしい。
私の危機を伝えるものと、追跡機能だけしか作動せず、そのおかげで、遠くの場所に赴いていたベスターが竜体で飛来して来たのだとか。アルはディール帝国に赴いており、直ぐに駆けつけることが出来なかったとか。

それを見込んでの計画的犯行だったんだね…

全ては打ち明けてはくれて無いだろうが、伝えれる範囲で教えてもらったので、まぁ良しとした。

ルシルが飛びながら、時々ペシペシと叩き、サクラとソラに腕や足をガジガジされて怒られていた。
それを優しく払っていた。
途中から遊びに変わっていたな…
相手にされて、喜んでいる様だ。

グレデリックは、少し困った顔をしたが、嫌がってはいなかった。


「奥様ではなくて、出来たら名前を呼んで欲しい。ダメかな？」

そうお願いすると、少し困り顔をしたが、了承してもらえ、お茶を入れてくれた。
冒険者だと言っていたけれど、手つきは凄く優雅だ。
元伯爵家の者だったから？
でも、孤児だったんだよね？
何歳から孤児だったのかはわからないけれど…

「竜人族は、ヒト族と違った成長過程をするんです。竜人族自体が平均寿命が千歳ぐらいです。魔力量にもよりますが。そして、竜人族は、生まれて百年ぐらいまでは小竜の姿で育ちます。そうですね…、まぁ、このくらいの大きさでしょうか。そして、ほぼ百歳になると人の姿になります。その姿は、ヒト族で言うと十歳児ぐらいですね。その後徐々に成人となり、ある年齢になると姿が一定になります。私の場合は、人の姿を取り出して二年後に両親が亡くなり孤児になりましたから、それまではある程度知識として養われましたよ。」

そう話しながら、ジェスチャーで示した小竜の大きさは、大型犬ぐらいの大きさだった。
竜人族は生まれた当初は小竜の姿なんですね。衝撃的です。
大型犬ぐらいまで小竜の姿…
うん、見てみたい…

「種族によって寿命が違ってくるとは教えてもらったし、本でも読んだけれど…魔力が関係しているの？」
「そうですね。種族によっても有りますが、魔力量も関係してきます。竜人族の親を持つヒト族の場合、普通のヒト族に比べて魔力量が多くなるので長寿となりますよ。」

そうなのね…

「ユウリ様は、旦那様が竜人族。しかも貴族の上位。公爵ですから魔力量も多い。伴侶としての刻印を贈られていますから彼の方と命を分け合っていると言えます。旦那様と共に生きられると言うことですよ。」
「と言う事は、アルが亡くなったら私もという事？」
「大体そうですね。ただ、寿命でなく事故などで亡くなられた場合は。旦那様の魔力量に則った寿命まで存命できます。そうでなければ子育て中の場合など困りますからね。」

アルには事故に遭わない様に気をつけてもらおう。
私一人は…うん、嫌だな…。

この世界の寿命について学ばせてもらいました。
異世界…凄いね…。