竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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専属執事となったグレデリックは、元ディール帝国の伯爵家の者だったらしい。
幼少時に両親が亡くなり、家督を奪われ、孤児として教会にいたのだとか。
私を最初に襲った従者のロインとは、同郷で同じく孤児。教会で出会い、兄弟のように育ったのだとか。
教会から出て、二人で冒険者として活動していたが、教会が闇組織と関わってしまい、子供達が奪い去られてしまったとか。何とか救出できたが、それに対して、魔塔の者に脅される事に。しかも、人質も取られてしまった。

私を攫ってくれば、証拠となるものも、人質も返してくれるとの契約で今回の事になったらしい。
自分達以外にも、同じ依頼を数カ所にかけているようだとも言っていた。
暗殺や誘拐に特化した組織にだ。

私を攫ってくることに対して、かなり良心を痛め悩んだ末に、他の組織の者達に対しては、自分達が妨害し、私以外には被害がないようにしてくれていたらしい。
うん、誘拐はするつもりであるが、他の屋敷の者達には被害がないようにと心がけてたのね…。
う~ん、どう言っていいのかわからない。

で、この屋敷の者達に捕まった。
この国では奴隷制度は無いけれど、罰として一定期間『従属の首輪』をつけて酷使する事はあるらしい。
罰則を決めるのは各自領主判断。勿論国に届出は行うが、事後承諾もあり。
国家に関わるものは、国に報告の上指示を仰ぐこととなっている。
自分達は領主判断の罰を受け入れ、あらゆる情報提供と協力で、魔塔の者に囚われている大切な者達を助けてもらえるのと、脅されていることに対しても対処する契約がなされたらしい。

うん、よくわからないけど、まぁ、この屋敷の者達がそれで良いのなら…
それがこの世界の常識なら、良いんだろうということのしよう。
囚われた人達が怪我もなく無事ならいいなと思った。

「この度は本当に申し訳ありませんでした。今後は誠心誠意を持って支えさせていただきます。」

そう言って、吹っ切れた笑顔を見せてくれた。

首元は、シャツの襟で見えにくい感じになっているから、他の者がパッと見ても直ぐには気づかないだろう。
そこは、家令であり執事長のベスターの配慮なんだろうな…

グレデリックは髪を後ろに撫で付けて、うん、しっかり執事姿です。
でも、元冒険者としては剣士として登録していたらしく、かなり腕がいいようなんだけど…うん、帯剣してないよね。

「剣は執事服に付与されている空間魔法で、いつでも出せれるようになっています。他にも色々と武器は入っておりますし、執事として必要な物も。ですからお任せください。」

「執事服、凄いんだね…」
「ここまでの物はなかなか見受けられませんよ。しかも高額ですので、どの屋敷の者でも持っているとは限りません。私も初めて見知りました。さすが、セイクリオン家です。」

そうなんだね………
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