竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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ツカツカと近づいて来て、ガシッと腕を掴まれる。

「イッ…」

大人しい侍従の一人だった獣人族のロインの表情が豹変した。
口のはたから涎が垂れだす。
犬歯を剥き出しに、他の者達を威嚇し出した。
掴まれた腕に、彼の爪が食い込む。

「退け!ぐっぐぐぐっ!!」

いきなり歯軋りをし出し、呼吸も荒くなりだす。
首にもう片方の腕で掴まれ、チクっと痛みが走った。

「ロイン!止めろ!奥様を離せ!!」

後から室内に走り込んできた侍従や護衛の騎士達に威嚇しながら、ジリジリと窓辺に連れて行かれる。

「ロイン!!」

彼の同僚が叫ぶと同時に窓ガラスが割れて、そこから竜体の腕が伸びてきた。
ロインごと握りしめられて、一瞬で上空に飛び立つ。
バサバサと翼が羽ばたく音がしたかと思えば、一気に竜体ごと落とされた。
竜のてから私とロインが飛び出すように落下する。
が、不思議なことに、私はふわふわと球体の中に閉じ込められた。
まるでシャボン玉の中にいる感じだ。
ロインはそのまま落下。
下に追いかけてきた騎士達に拘束されていた。

私とロインを掴んでいた竜体には、赤道色の竜体が上から押さえつけ、首もとを噛み砕く勢いだ。
周りに土埃が立ち込め、時々赤い血液が飛んでいた。

真っ赤に染まっていく竜体は、ガクッと力尽きたように崩れ落ち、人の姿に戻っていく。
それを即座に騎士達が拘束していった。

赤道色の竜体は、徐々に人の姿になって…


私を取り巻いていたシャボン玉が弾けて、その人にゆっくりと降ろされた。

「大丈夫でしょうか?まさか屋敷に不届きものが潜入していたとは…申し訳ございません。お怪我はされていませんでしょうか?」

そう、赤道色の竜体は、ベスターだった。
ベスターは、私を侍女達に預けて、騎士団長達と共に仕切り出した。

一体どう言うこと??
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