竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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この屋敷でいたせり尽せりとお世話をされて、ほかほかしながらお茶をいただいて少しのんびりさせてもらった。

夕日が沈みかけた頃。屋敷のもの達が忙しなく移動し出した。

「どうしたの?」

側についてくれているリンに尋ねると、『ご主人様がお帰りになられます。』と教えてくれた。
どこかで探査機能でもあるのだろうか?と思った。
従者と共に出かけたなら、先に伝達する者がいるだろうが、竜体で一人で出て行ったと思うんだけど…

「ふふふっ、ユウリ様。隠れてついて行く護衛もいます。それに、伝達魔法で連絡も届きますからね。」

そう言って、ウインクして笑っていた。
気さくな対応を求めたから、私だけの時はそうした対応にしてくれている。
うん、お友達対応だ。
侍女長のアイリスは渋い顔をしたが、『ユウリ様のご希望とあらば。』と許可してくれた。
ただしと二人に何か言っていたが、それは私には聞こえなかった。
多分、お小言を言っているんだろうなって感じで遠目で見ていただけだ。

うん、私の我儘で御免なさい。
心の中で、しっかり謝罪しておいた。

「じゃ、私もお迎えに出た方がいいよね。」

そう言って案内されたのは、あの時見送った場所だ。
ついた時には、既に竜体から元の身体に戻っていた。

上に来ていたコートなどを執事に渡して、こちらを見た。
目線が合うと、駆けてきて抱き上げられる。

「お帰りなさいって、ちょっと…」
「ただいま。うん、良いね。」

そう言って縦に抱き上げられた体を横に。よう、横抱きにされて、唇を合わされた。
瞼に頬にと落とされた後にだ。

新婚であり、竜人族特有なものなのか。
他の者達は、微笑ましいものを見ていると言った感じだけで、それ以外は特になかった。

恥ずかしいのは私だけ?
この世界のあるあるなのか??

うん、今後の対応…心臓持つかしら…

胸の中心。そう、心臓のあたりが飛び出そうなぐらいドキドキした。

「今日は何をしていた?いい事あったか?ん?」

そう嬉しそうに質問しながらも、降ろしてくれることもなくそのまま連れていかれた。
そっとそのままソファーに座ろうとしたところ、ベスターに止められた。

「旦那様。その格好のままはどうかと…」

うん、声が少し低くて怖い。

「そっ、そうだな…」

そう言うと、私だけ座らせて…

「少し着替えてくるから待っていて。」

そう言って、ベスターに連れられて出て行った。

さすが、旧知の仲だ。うん。
大人しくお茶を頂こうと。

テーブルに置かれたお茶を美味しくいただくことにした。
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