竜の恋人

異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

「お帰りなさいませ。奥様。」

そう言って、綺麗なお辞儀をして待ってくれていたのは、この屋敷の家令及び執事長を努めている、ベスター•ロワルゴ。通称ベスターだ。
シルバーグレイの髪にエメラルドの瞳のこれまた美丈夫であるが、さすが元冒険者だ。
執事服に身を包まれているが、その体躯は毎日鍛えていると言った感じだ。
アルホンスとは旧知の仲だとも言っていた。

時間がある時は、是非とも当時の話を聞きたいと思った。

私、結構この屋敷の人達に慣れてきた感じがする。
多分、屋敷のもの達の気遣いのおかげだろうけれど…

アルが皆んなにそう接してほしいと、通達してくれてるんだと思う。
そう思うと、嬉しくなる。

執事のベスターと共に屋敷に入り、自室に戻る。

「少しだけ申し訳ありません。今後のご予定ですが…」

侍女達が、私の世話をしたいから、早く出ていって欲しいとベスターを威圧している。
何とも言えないな…

「はい。よろしくお願いします。」
「では、このようなスケジュールを作成させていただきました。」

渡されたのは一枚の紙。
うん。学校の時間割のような感じで書かれている。
基本、午前中はマナーやこの国の事を学ぶ時間となっていた。
間で、妻として屋敷管理を後々する必要性があるからと、それを学ぶ時間も組み込まれていた。
午後は自由時間のようで、あの場所でポーションを作るであろうからと時間を空けましたと伝えられた。

夜は出来れば読んで欲しい本を準備するからと、読書時間が設けられている。
食事時間まで書き込まれているのには驚いたけどね…

まぁ、大体この時間と決めておいた方が、調理をするもの達にも良いよねと了承した。

「それでは、これと同じものを旦那様にもお渡ししておきます。これはあくまで予定でございますから。何かありましたらすぐに側の者に申しつけてください。」

それだけ言うと、侍女達に追い出されていた。
うん、この屋敷の力関係を垣間見た感じだ。

「さて、ユウリ様。沐浴の準備が整っております。」
「えっと…」
「さぁさぁ。」

そう言われて、速攻浴室に連行され、入浴後マッサージまでされてしまった。