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異世界で愛を呟かれ
異世界で愛を呟かれ
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アルはしばらく屋敷にいてくれて、色々と世話をしてくれた。
本当に呆れるぐらいだ。
食事の時は膝の上に乗せられて、雛鳥のように食べさせられ、常に側にいる感じだった。
「優里、今日は少し王城に行って来る。夕刻には戻るから…」
王弟殿下であるジャディール•アステード殿下も国に帰られて、国政に携わっているようだ。
アルもそれに殉じて公務に出る必要性があるとか。
お仕事だもの、いつまでも私のそばに居続けるのはどうかと思う。
この屋敷はさすが竜人族の邸宅と思える場所が数箇所あった。
竜人である彼らは馬車や馬での移動も行うが、竜体となって飛行する際に着地できるように広い範囲で整えられた空間があった。
今、アルはそこから飛び立とうとしていた。
竜体に変化した彼の姿はとても美しいと思う。
カメラがあれば連写してでも残して飾りたいほどだ。
『行って来る。帰りには何か買って来るから楽しみにしていて欲しい』
そう言って、そっと大きな顔を寄せられた。
そして、ゆっくりと離れていき、一気に飛び上がっていく。
飛び上がる際に巻き上がる風で飛ばされるのを覚悟していたけれど、ふわっとした膜に護られて微風を感じるだけだった。
「奥様。大丈夫ですか?」
そう言って声をかけてきたのはこの屋敷の執事。
彼がいうには、竜人族からの刻印を通して、贈った者の魔力である程度防御されるのだとか。
拐われた時には、刻印を送られてわずかという事もあり、本来の防御の力が発動せず、また強い魔力操作を使われた為、守りきれなかったのだろうと言われた。
それだけの力があの男にあったのかと思うと絶句する。
無理矢理付けられていた首輪。
奴隷商人が使う『隷属の首輪』と同じものだと言われた物。『不服従禁止』『自死禁止』『発語禁止』『魔力封じ』『位置探索』を刻み込んでいたあの首輪は、この屋敷に来る前に魔術師・魔導士のエドワード様が外してくれたと言っていた。
『興味がある』と、研究材料として持ち帰ったらしい。
外してくれて、他にも色々と助けてくれた方ではあるが…魔術師として研究するんだね…
何だか怖い気がする。
うん、あまり使ってほしくないな…
今頃は姉の側だろうか…
「そうだ、ポーションはどうしたらいいんだろうか?今まで作っていたのに…もし不足とかしたら、沙也加。サーヤが困るんじゃ…」
本当に呆れるぐらいだ。
食事の時は膝の上に乗せられて、雛鳥のように食べさせられ、常に側にいる感じだった。
「優里、今日は少し王城に行って来る。夕刻には戻るから…」
王弟殿下であるジャディール•アステード殿下も国に帰られて、国政に携わっているようだ。
アルもそれに殉じて公務に出る必要性があるとか。
お仕事だもの、いつまでも私のそばに居続けるのはどうかと思う。
この屋敷はさすが竜人族の邸宅と思える場所が数箇所あった。
竜人である彼らは馬車や馬での移動も行うが、竜体となって飛行する際に着地できるように広い範囲で整えられた空間があった。
今、アルはそこから飛び立とうとしていた。
竜体に変化した彼の姿はとても美しいと思う。
カメラがあれば連写してでも残して飾りたいほどだ。
『行って来る。帰りには何か買って来るから楽しみにしていて欲しい』
そう言って、そっと大きな顔を寄せられた。
そして、ゆっくりと離れていき、一気に飛び上がっていく。
飛び上がる際に巻き上がる風で飛ばされるのを覚悟していたけれど、ふわっとした膜に護られて微風を感じるだけだった。
「奥様。大丈夫ですか?」
そう言って声をかけてきたのはこの屋敷の執事。
彼がいうには、竜人族からの刻印を通して、贈った者の魔力である程度防御されるのだとか。
拐われた時には、刻印を送られてわずかという事もあり、本来の防御の力が発動せず、また強い魔力操作を使われた為、守りきれなかったのだろうと言われた。
それだけの力があの男にあったのかと思うと絶句する。
無理矢理付けられていた首輪。
奴隷商人が使う『隷属の首輪』と同じものだと言われた物。『不服従禁止』『自死禁止』『発語禁止』『魔力封じ』『位置探索』を刻み込んでいたあの首輪は、この屋敷に来る前に魔術師・魔導士のエドワード様が外してくれたと言っていた。
『興味がある』と、研究材料として持ち帰ったらしい。
外してくれて、他にも色々と助けてくれた方ではあるが…魔術師として研究するんだね…
何だか怖い気がする。
うん、あまり使ってほしくないな…
今頃は姉の側だろうか…
「そうだ、ポーションはどうしたらいいんだろうか?今まで作っていたのに…もし不足とかしたら、沙也加。サーヤが困るんじゃ…」
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