115 / 216
異世界で愛を呟かれ
異世界で愛を呟かれ(マルクス)
しおりを挟む
「なっ…何故だ!!」
翌日は魔塔の仕事が忙しく、せっかくのお楽しみ空間には行けなかった。
今日は十分に時間があるとワクワクして訪れ、空間の中にあるもう一つの場所。
まるで拷問部屋の様な研究室の中で楽しく作業をしていた。
愛しい小鳥。愛玩人形。研究対象であるモノを鎖で両手両足を拘束して吊り上げるように立たせていた。
首元の魔力が気に入らず、背中の衣服を引き裂いてみれば、そこには竜人族が『番』に贈るとされるものが浮かび上がっていた。
そう、贈った相手、竜人族の髪と瞳の色で描かれた竜と蔓の様な模様。
この濃さと大きさは、かなりの魔力量を持つものだ。
単なるマーキングだけだと思ったが違った。
腹正しく重い鞭を振るう。
傷がどのくらいで癒えるのか研究してやろう。
傷口から血液サンプルを取り、抉り取った部分も…
そして、この模様がどうすれば消えるのかもだ…
声は奪ったままで良い。
呻き声だけでも興奮してくる…
部屋中に響き渡る音と血液の匂いで興奮してきた。
愛しさと憎らしさ…
こんな感情が私にもあるとは…
ボタボタと落ちる血液で一旦手を止める。
「あぁ、やり過ぎたか…大丈夫、癒して…」
いきなり大きな光と爆音で吹き飛ばされる。
壁に叩きのめされたが、私は『魔人族』このぐらいでは…
プルプルと首を振り、埃が立ち込めた先を見つめる。
そこには私の…
「それは私のだ!!!」
飛びかかり奪い取ろうとしたが遮られまた吹き飛ばされる。
「先に彼女を!!」
目の前の男の後ろからもう一人現れて、渋々姿を消した。
そう、光がいきなり揺らぎ、消えた。
「どういう事だ!!どうなっている!!」
背後に密かに控える黒ずくめの者達に激昂する。
背後にいる黒ずくめの者達も、『あり得ない』と、動揺が走った。
今回の研究で呼んでおいたもの達だ。
なぜだ!?なぜ…
箱庭が崩れていく。
私が作った傑作品が…
私のモノの奪われた…
やっと手に入れた私の…
さっき目の前で奪い取って行った者は不快に思った魔力の持ち主。そしてその背後にいた者は、あの気に食わない男の気配に似ているように感じた。
同族の者。側にいた者か…
まさかと思うが…
「くそッ!!」
今回のために、どれだけ時間と金が動いたのか…
またしても…
いゃ、まだチャンスはあるはずだ。
絶対に諦めない!!
「今回関わったものは、退避させろ。新たな者を送り込む。気取られてはならん。次こそ確実に手に入れるのだ!!今は撤収!!」
「はっ」
控えていた者達は、すぐさま飛び出すように出ていった。
苛つく心をどうにか抑え込む。
どうしても欲しいモノ。
アレは俺のモノだ。
今度こそ…我が手に…
手のひらに魔力を集め、崩れていく空間を後にしてその場を去る。
まるでそこには最初から何もなかったかの様に埋もれていった…
初めて見たモノは、『聖女召喚の儀式』の時。
魔力枯渇で倒れ込み、うっすらと見えたあの…
あの後、直ぐに動けば、今頃は手に入れれたのかもしれない。
時が悪かった…
『瘴気』が各地に発生し、『異世界の扉』。そう、『悪魔』と呼ばれるものがこの世界に降臨しようとしていた。
混沌の世界にする訳にはいかず、他国と協力し、召喚した『聖女』と共に排除していった。
自分はそのメンバーには入れなかったが、それでも…
あの時、もう一人現れたモノ…
手に入れたかったモノは、トカゲに掠め取られたと言ってもいい…
次こそだ。
もっと仲間を集め、完璧に捉える様に準備して…
今度こそ…手に入れる。手に入れて、自分のものとし、研究し尽くす!!
新たな闘志に燃え、扉を閉め、地上にと駆け上がる。
「クックックッ…待っていろ…」
そう笑い、呟く音が響いていった…
翌日は魔塔の仕事が忙しく、せっかくのお楽しみ空間には行けなかった。
今日は十分に時間があるとワクワクして訪れ、空間の中にあるもう一つの場所。
まるで拷問部屋の様な研究室の中で楽しく作業をしていた。
愛しい小鳥。愛玩人形。研究対象であるモノを鎖で両手両足を拘束して吊り上げるように立たせていた。
首元の魔力が気に入らず、背中の衣服を引き裂いてみれば、そこには竜人族が『番』に贈るとされるものが浮かび上がっていた。
そう、贈った相手、竜人族の髪と瞳の色で描かれた竜と蔓の様な模様。
この濃さと大きさは、かなりの魔力量を持つものだ。
単なるマーキングだけだと思ったが違った。
腹正しく重い鞭を振るう。
傷がどのくらいで癒えるのか研究してやろう。
傷口から血液サンプルを取り、抉り取った部分も…
そして、この模様がどうすれば消えるのかもだ…
声は奪ったままで良い。
呻き声だけでも興奮してくる…
部屋中に響き渡る音と血液の匂いで興奮してきた。
愛しさと憎らしさ…
こんな感情が私にもあるとは…
ボタボタと落ちる血液で一旦手を止める。
「あぁ、やり過ぎたか…大丈夫、癒して…」
いきなり大きな光と爆音で吹き飛ばされる。
壁に叩きのめされたが、私は『魔人族』このぐらいでは…
プルプルと首を振り、埃が立ち込めた先を見つめる。
そこには私の…
「それは私のだ!!!」
飛びかかり奪い取ろうとしたが遮られまた吹き飛ばされる。
「先に彼女を!!」
目の前の男の後ろからもう一人現れて、渋々姿を消した。
そう、光がいきなり揺らぎ、消えた。
「どういう事だ!!どうなっている!!」
背後に密かに控える黒ずくめの者達に激昂する。
背後にいる黒ずくめの者達も、『あり得ない』と、動揺が走った。
今回の研究で呼んでおいたもの達だ。
なぜだ!?なぜ…
箱庭が崩れていく。
私が作った傑作品が…
私のモノの奪われた…
やっと手に入れた私の…
さっき目の前で奪い取って行った者は不快に思った魔力の持ち主。そしてその背後にいた者は、あの気に食わない男の気配に似ているように感じた。
同族の者。側にいた者か…
まさかと思うが…
「くそッ!!」
今回のために、どれだけ時間と金が動いたのか…
またしても…
いゃ、まだチャンスはあるはずだ。
絶対に諦めない!!
「今回関わったものは、退避させろ。新たな者を送り込む。気取られてはならん。次こそ確実に手に入れるのだ!!今は撤収!!」
「はっ」
控えていた者達は、すぐさま飛び出すように出ていった。
苛つく心をどうにか抑え込む。
どうしても欲しいモノ。
アレは俺のモノだ。
今度こそ…我が手に…
手のひらに魔力を集め、崩れていく空間を後にしてその場を去る。
まるでそこには最初から何もなかったかの様に埋もれていった…
初めて見たモノは、『聖女召喚の儀式』の時。
魔力枯渇で倒れ込み、うっすらと見えたあの…
あの後、直ぐに動けば、今頃は手に入れれたのかもしれない。
時が悪かった…
『瘴気』が各地に発生し、『異世界の扉』。そう、『悪魔』と呼ばれるものがこの世界に降臨しようとしていた。
混沌の世界にする訳にはいかず、他国と協力し、召喚した『聖女』と共に排除していった。
自分はそのメンバーには入れなかったが、それでも…
あの時、もう一人現れたモノ…
手に入れたかったモノは、トカゲに掠め取られたと言ってもいい…
次こそだ。
もっと仲間を集め、完璧に捉える様に準備して…
今度こそ…手に入れる。手に入れて、自分のものとし、研究し尽くす!!
新たな闘志に燃え、扉を閉め、地上にと駆け上がる。
「クックックッ…待っていろ…」
そう笑い、呟く音が響いていった…
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
曰く付きの家に嫁いだら、そこは龍神さまのお屋敷でした~恋を知らなかった私達が愛にたどり着くまで~
あげは凛子
恋愛
※ただいま休載中です。ご迷惑をおかけしております。
時は大正時代。まだ明治時代が色濃く残るそんな時代。
異国で生まれ育った鈴は幼い頃に両親を亡くし、たった一人の親戚である叔父を頼って日本へやってきた。
けれど親戚達は鈴に当たりが強く、とうとう曰く付きで有名な神森家にお見合いに行く事に。
結婚が決まるまではお試し期間として身柄を拘束させてもらうと言う神森家の掟に従って鈴はその日から神森家で暮らすことになったのだが、この家の住人は皆どうやら人間ではなかったようで……。
龍と少女の現代恋愛ファンタジー。
※こちらの作品はもんしろ蝶子の名義で『龍の箱庭』というタイトルでアマゾン様とがるまに様で発売中です。本でしか読めないイチャラブやおまけがありますので、そちらも是非!
※このお話はフィクションです。実在している団体や人物、事件は一切関係ありません。
※表紙はACサイト様からお借りしたものを編集しています。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる