竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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それから三日経っても、5日経っても戻って来なかった。
余程の酷い状態なの妥当か?
それとも、怪我とか…


いつも以上に時間が経つと心配になる。
伝達魔法陣で声を届けてくれるけれど、いつ戻るとは言われなかった。

大丈夫だと、そして、愛の言葉を呟かれ赤面してしまうのだが…

「寂しい…」

婚約して、愛されて直ぐに離れてしまった恋人を思う。

何度目かのため息を吐き、読みかけの本に目を向けては…

「ユウリ様、せっかくのお天気ですから、少し散歩に行きませんか?」

そうケイトさんが声をかけてきた。
侍女の一人で、猫科の獣人族の彼女。
他のエミリーさんやシリルさんも同意して、直ぐに準備しますねと部屋を出て行った。

ただ散歩に何を準備するのだろうか?って思った。
この時の自分は今この領内に何が起こっているのかを詳しく教えてもらっていなかったから、危機意識が全然なかったんだ。

あの時の女性達も、姉達巡礼メンバーをこの地を去っていたから、尚更だった。
しかも、嬉しさで浮かれていたのもあった。


ケイトさんだけが戻ってきて、『行きましょう』と促されて、『エミリー達は他に急な用事が…』と言われたから、そうなのね…って思い、そのまま二人で庭園に出かけた。

ケイトさん達が侍女であるが、護衛もできる強者とも聞いていたから安心しきっていたのもある。

「相変わらず、綺麗に整えられてる…」

時々花のそばに近付き匂いを堪能する。

この国や世界独自の花もあれば、見慣れたものもあった。
薔薇は向こうでもあるけれど、向こうで見た事がない色もあった。
魔法で特殊に作られた苗から育てられたものらしい。
そう言うものは、肥料に特殊素材を庭師の技量で調整されたりしてるんだと以前説明された。


ケイトさんに途中で手を引かれ、案内されるままについていく。
つい最近成功した色のものが咲いているからと…

少し引っ張られるのに違和感を感じたけれど、余程早く見せたいのだろうと思い、急足でついていく。

ついた先には…

「白い薔薇ならわかるけれど、これは…」

そっと花びらに触れてみる。
彼の髪と同じ色。
銀色の薔薇…

「綺麗…ねぇ、ケイト…ケイトさん??」

側にいたはずのケイトさんの姿がない。
えっ??

いきなり足元が光だし、そこから無数の黒い物体が伸びてきて身体全体を巻き付けるように捉えられて…
余りの恐怖に声が出ず、そのまま意識が途絶えた…
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