竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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「お目覚めですか?」

外から差し込む明かりで目が覚めて、ゆっくりと起き上がる。

身体の節々が…特に腰のあたりが何とも言えない感じがした。

アルに噛まれたであろう場所は痛みは感じられない。
そっと触れてみたけれど…

少し凹んだ感じはしたけれど、うん、痛くない…

いつも穏やかな専属侍女のエルザさんがいつも以上に優しく接してくれている。

三人の侍女達もテキパキと動いていた。

身体の怠さはあるけれど、不快な感じは…
アルが綺麗にしてくれていたんだろう…

「とりあえず、湯浴みをしましょう」

そう言って支えられながら浴室に向かう。温かいお湯に身体を浸からせる…

「それにしても…綺麗です」
「ん?」

首筋から背中を優しく洗われながらそう呟かれた。

「ふぁ~~、これが竜人族の『御印』なんですね。綺麗……」

そう言ってそっとさすられて、一瞬ゾクゾクする。

パシッ!バコン!!バ-ン!!

えっ??

獣人族…確か猫科だと言っていたケイトさんが、同じく獣人族犬科のエミリーさんから拳骨が落とされ、エルフ族のシリルさんに弾き飛ばされた。

部屋の片隅でピクピクと伸びている。
猫科で俊敏なはずなのに…

「失礼いたしました。ケイトにはこの後、し~っかりと、重々お仕置きしておきますので…」

エルザさんのお顔がピクピクとして、一瞬般若のように怖かったが、直ぐにいつもの穏やかな雰囲気に戻った。


「えっと…大丈夫ですか?」

思わず聞いてみたけれど、何とも言えない雰囲気が……

それよりも、さっきのはいったい?
あの一瞬の感じは何だったんだろうか??それに『御印』って??

「あの…さっきのは?それに、『御印』って??」

「そう、そうですね。本来ならば御つけになられたアルホンス様からお話があるはずなのですが…朝から急用が…ですから、私から説明させていただきますね…」


そう言って、エルザさんから説明されたのは、竜人族の『運命の番』に贈られる儀式の一つ。今世の寿命を分かち合うものらしい。しかも、自分のものだと誇示するものであり、初めての行為中にお互いが初めてで、お互い求め合う気持ちが無ければ失敗する恐れのあるものらしい。また、つけた者の魔力が刻まれたものであり、個々で模様が違うのだとか…そこに他者が触れれば不快感を感じ、時には痛みを感じる事もあるのだとか。つけた相手にはその反対の感じがするらしい…

だからさっきの感じがしたんだ…

私が拒否していないから、少し不快に感じただけ…

今後、そこに触れられないように注意しなくては…
できれば着る物も隠れる物を所望する必要性があると痛感した。
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