竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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ケイトがテーブルにお茶を二人分置いて他のものと一緒に部屋を出ていくのを確認して、彼は何やら魔法を展開している様だ。
相変わらずの手際の良さで、私には??って感じだった。

「大切な話があってね。この部屋に結界を張らせてもらった。」
「結界?大切な話??」

こてんと首を傾げて思案する。

もしかして、また何かのトラブル発生なのだろうか?それであんなに屋敷の人達が忙しそうに??

「何かあったの?」
「まぁ、あった事はあったんだけれどね。それよりも先に…」

そう言って、アルが私の横に陣取った。
以前の様にまた横に座ってくれる様になって、今は嬉しく思ってしまう。
初めの頃は、恥ずかしさで混乱して拒否してたんだけれど…
アルもそれを理解しているのか、ニコニコしている。


が、急に深呼吸をして真剣な表情に変わった。

優しい雰囲気から、急な態度変化で少しびっくりしたけれど…


「ユーリ、この前の返事、気が変わったりしてないよね」

そう言われて、一瞬何の事かわからなかったが…
そっと私を立たせて場所を移動する。
私の前に跪き…

「私、アステード王国セイクリオン家次期当主。アルホンス•セイクリオンは生涯をかけて貴女様、ユウリ•アキモト様をお守りする事をお許しください。我が生涯を共に生き、共に喜びも悲しみも分かち合う事を望むことを願います。どうかこの願いを聞き及んでいただけないでしょうか…」

そっと私の手の甲に唇を寄せて懇願してきた。
あの時と同じ…
一瞬身震いするも、嬉しさが込み上げてきて、「はい。よろしくお願いします。」ともう一度返事をした。
そして…
左の腕に腕輪を付けられた。

「これは?」
「これは私からの君へのお守り。そしてこれを君に付けても良いだろうか…」

胸元のポケットから取り出した綺麗な小箱。
この世界でも指輪の交換とか、婚約指輪とかあるのだろうか?
でも、付けている人は…見てないな…

そっと開けられたのは、ピアスだった。
箱にはお揃いの形のピアス。嵌め込まれているのは魔石と呼ばれる石だと説明された。
私と彼の瞳の色。そして、失われた私の色。
三色の魔石が綺麗に配置されていた。

「アル、私にはもうピアスがついてるんだけれど…」

いつの間にか付けられて、自分では外すことのできない物が付けられていると訴えてみた。
付けたのはある本人だから、知らないはずがない…

「大丈夫」

そう言うと、そっと付けられている場所に摘んだピアスを持っていき触れさせた。
一瞬熱く感じてすぐに治る。
そっと触れると、そこにあるはずの感触が…無い。
そして別の感触が…

手鏡を渡されて両耳を確認すると、そこには先ほど見せられたピアスが付けられていた。

「前についていたのは??」

そう言うと、アルの手の中に前につけられていたピアスが二つ。
それを今度は左の手首に付けられた腕輪に触れさせて…
どうなっているのか?仕掛けが理解できない…

腕輪の中に溶け込む様に消えていき、アルの色の石だけが腕輪の装飾として違和感なく現れた。

「これで大丈夫」
「何が?えっ?どうなっているの??」

ただクスクス笑うだけのアルはその理屈を教えてくれなかった。
ただ効果のみ。

アルは自分の両耳に私と同じデザインで石の配置や大きさだけが違うピアスを自分で付けた。
そして、そっとしゃがみ、私の手を取って

「この石に君の魔力を流して…」

そう言われるがままにそっと流し込む。
スーツと流れていき、ある程度で止まった。
姉とのお揃いのネックレスに流し込んだのと同じ感じだ…

「これも、この石と同じお守り?」
「そうだね。少し意味合いは違うけれど、そんな感じかな?」

何故疑問符なのだろうか…

不思議に思いながら、ボーツとしていたら、両耳にも彼の唇が触れた。
付けられた時にも温かいものを感じたけれど、これは??

「付けた時に魔力は流したんだ。今のは浄化と特別仕様を付与しただけ」
「特別?」
「そう、勝手に外せない特別仕様」

またとんでも無い魔法をかけられた。
腕輪の方も…外せる物が無い…

クスクス笑いながらそっと抱き上げられて椅子に座らさせられた。
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