竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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「ほ~ぉ、あの男はユーリにそんなことを…」

今にも叩きのめしに行きそうなそんな怒りを漂わさせた。
うん、怖い…

あの表情は、昔近所の男の子達にいじめられていた時に姉が見せた表情だ。
姉がその子達を追い払ってくれた。
スカートの裾が泥で汚れていたのを小さな手で一生懸命に綺麗にしてくれて、手を引いて家に帰ったのを覚えている。

姉は私に対して物凄く心配をしてくれる。
勿論、私も姉が大切であるから心配をするのだけれど…

やはり数分の違いで先に生まれ落ちたとはいえ、『姉であるから』と強い意志があるのだろう。

「でもね、大切にしてくれているんだよ。だから、大丈夫だからね、それ以上は今はされてないから~~~」
「い~ま~は~!?当たり前でしょ!!まだ早い!お姉ちゃん、許さないからね!!」

うん、やっぱりいつもの姉だ。変わってない。

自分の事は棚に上げてって感じだろう。
あの人大変だろうな~~~

うん、あの人なら姉を任せられそうだから、応援しよう。
勿論、姉に無体なことをしたら許さないけどね…

そんなたわいな話を楽しんで、いつしかかなりの時間が過ぎたようだ。
部屋のドアがノックされて三人が入ってきた。

『もう時間だ』と告げられて、寂しいけれど、抱きしめあって別れた。

帰りに姉から渡されたお守りのネックレス。
チェーンに通された透明な石に金色の針のような模様が見える。
向こうで言う針水晶という感じか。
その石を中央に可愛らしい花や小鳥を形取ったものに彩られていた。

「私とお揃いなの。エドワードに作ってもらったんだ。お守りね」

そう言って姉が私の首につけてくれて、そっと石に触れている。
姉の力が吸収されているように思えた。
暖かい。

「うん、これで大丈夫。ユーリも私の石に触れてみて」

そう言われて石に姉がした事と同じように触れてみる。
私の魔力が流れていく感じがする。
ある程度流れた所で止まった。

そっと手を離すと、姉がそれにそっと触れて嬉しそうに微笑んだ。

「うん、ユーリの魔力を感じる。心地いいね。安心する」

そう言ってもらえて嬉しい。

二人で抱きしめあって、『またね』と別れた。

そっとネックレスに触れる。
姉の魔力を心地よく感じる。
うん、嬉しい…

「牽制して行ったか…」

そうアルが呟き、なんとも言えない苦笑いをしている。
はて??

「何でもない。良い物を貰ったな。大事につけていたらいい」

そう言っていたので安心した。

次、いつ会えるかわからないけれど、姉の安全を祈り、そっと空を見上げた。
向こうの方で夕日が沈みかけている。
うん、今日はとっても良い日になったと心から思った。
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