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異世界で愛を呟かれ
異世界で愛を呟かれ
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初めて会った男性は、隣国『妖精の国』オリクサ王国王弟殿下。エルデガルド•オリクサ殿下だった。
聖女巡礼で御一行様が自国のオリクサ王国とロザリアン神聖国を隔てる山脈、オーレリアン側の森で浄化作業を済まし、アステード国に移動する前に一緒にこの国のシュタルク領内に来たと言っていた。
妖精の国というだけあって、元々自然豊かな土地柄で、妖精や精霊達が古くから確認されている国なのだそうだ。
住んでいる住民も、エルフ族筆頭に、核種族滞在しているらしい。
このシュタルク領との交流も深く、薬草から薬、ポーション製作など共にしてきたのだとか。
その兼ね合いで、こちら側の現状確認及び、少しの休養。ポーション補充が目的らしい。
聖女巡礼なら、姉と会えるかも知れない…
でも、この姿で会うのは…
しかも、アルから自分が狙われていることも知らされた。
果たして会って良いのだろうか…
考え込んでいたら、『大丈夫』とあっさり返事がもらえた。
どういう事だろうか⁇
訳がわからない…
「本当はダメと言われるんだろうが、私が来たから大丈夫。問題の一人である女性は私が連れ帰るからね」
「どういう事?」
つい疑問が口から出てしまった。
決して大きな声ではなく、呟き程度であるが…
「種族によって、『番』と言うものがいる事は知っていると思う。実際に君とそこの騎士は『番』だろう?」
隣でアルが肯定する。
恥ずかしい気持ちが強いから今は認めたくないけど、そうなんだろう…
私も頷いたほうがいいよね。じっと見られてるし。よし、頷こう。
コクンと小さく頷いて見せた。
アルが蕩けそうな表情で私を見て微笑んでいるので、俯いた。
恥ずかしい…
「知ってるかも知れないけど、他国で番がいる場所、国境の結界が邪魔をして解りづらいんだ。国境近辺にお互いがいたり、聖女の力ぐらいの神聖な力を行使した場合、そこに居るのがわかるんだけどね。で、たまたま私が聖女一向に会いに行き、相手も国境近くにシュタルク領内に訪れた事でそこに居るってわかったから、迎えに来たんだよ。だから、その女性。私の番が君たちに迷惑をかける事はないから安心して」
それは、いわゆる囲うと言う事でしょうか?『監禁』という名の…
ニコリと笑っているから、それ以上は追求するのは辞めておこう。
一瞬背筋に悪寒がはしる。
ぞぞぞぞっ。
でも、そうならば、私がその女性とどうこうする問題は無いのね…
少しホッとしてしまうのは許してほしい。
その女性には…申し訳ありません…
「聖女と会える時間は短いけれど、作る事は出来る。ここにいる者で時間と場所の提供をしよう。そのぐらいはさせて欲しい。皇太子からの許可ももらっている。密談という形になるのは許して欲しいが…」
そう説明してくれたのは、所長だった。
所長は皇太子とかなり親しいらしい。
詳しい日程は後で知らせるとされ、私とアルだけ先に席を外し部屋を出た。
いきなりの展開で驚いたけれど、嬉しい…
会えるんだ…
廊下を二人で歩いていたら、頬に涙が伝った。
泣いていたのに気が付かず、そっとアルに拭われ、抱きしめられた。
そっと柱の影に連れていかれ、大きな体で隠すようにしてくれる。
私は声を殺してそのままアルの服を涙で濡らした。
聖女巡礼で御一行様が自国のオリクサ王国とロザリアン神聖国を隔てる山脈、オーレリアン側の森で浄化作業を済まし、アステード国に移動する前に一緒にこの国のシュタルク領内に来たと言っていた。
妖精の国というだけあって、元々自然豊かな土地柄で、妖精や精霊達が古くから確認されている国なのだそうだ。
住んでいる住民も、エルフ族筆頭に、核種族滞在しているらしい。
このシュタルク領との交流も深く、薬草から薬、ポーション製作など共にしてきたのだとか。
その兼ね合いで、こちら側の現状確認及び、少しの休養。ポーション補充が目的らしい。
聖女巡礼なら、姉と会えるかも知れない…
でも、この姿で会うのは…
しかも、アルから自分が狙われていることも知らされた。
果たして会って良いのだろうか…
考え込んでいたら、『大丈夫』とあっさり返事がもらえた。
どういう事だろうか⁇
訳がわからない…
「本当はダメと言われるんだろうが、私が来たから大丈夫。問題の一人である女性は私が連れ帰るからね」
「どういう事?」
つい疑問が口から出てしまった。
決して大きな声ではなく、呟き程度であるが…
「種族によって、『番』と言うものがいる事は知っていると思う。実際に君とそこの騎士は『番』だろう?」
隣でアルが肯定する。
恥ずかしい気持ちが強いから今は認めたくないけど、そうなんだろう…
私も頷いたほうがいいよね。じっと見られてるし。よし、頷こう。
コクンと小さく頷いて見せた。
アルが蕩けそうな表情で私を見て微笑んでいるので、俯いた。
恥ずかしい…
「知ってるかも知れないけど、他国で番がいる場所、国境の結界が邪魔をして解りづらいんだ。国境近辺にお互いがいたり、聖女の力ぐらいの神聖な力を行使した場合、そこに居るのがわかるんだけどね。で、たまたま私が聖女一向に会いに行き、相手も国境近くにシュタルク領内に訪れた事でそこに居るってわかったから、迎えに来たんだよ。だから、その女性。私の番が君たちに迷惑をかける事はないから安心して」
それは、いわゆる囲うと言う事でしょうか?『監禁』という名の…
ニコリと笑っているから、それ以上は追求するのは辞めておこう。
一瞬背筋に悪寒がはしる。
ぞぞぞぞっ。
でも、そうならば、私がその女性とどうこうする問題は無いのね…
少しホッとしてしまうのは許してほしい。
その女性には…申し訳ありません…
「聖女と会える時間は短いけれど、作る事は出来る。ここにいる者で時間と場所の提供をしよう。そのぐらいはさせて欲しい。皇太子からの許可ももらっている。密談という形になるのは許して欲しいが…」
そう説明してくれたのは、所長だった。
所長は皇太子とかなり親しいらしい。
詳しい日程は後で知らせるとされ、私とアルだけ先に席を外し部屋を出た。
いきなりの展開で驚いたけれど、嬉しい…
会えるんだ…
廊下を二人で歩いていたら、頬に涙が伝った。
泣いていたのに気が付かず、そっとアルに拭われ、抱きしめられた。
そっと柱の影に連れていかれ、大きな体で隠すようにしてくれる。
私は声を殺してそのままアルの服を涙で濡らした。
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