竜の恋人

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異世界生活

異世界(アルホンス)

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それから数日、この屋敷内や庭園などを皇女に連れまわされる羽目になった。
神聖国の皇族のみが着れる白を基調としたドレスを着た女性。
それに忌々しいことに、少し自分の色を入れられていると思うと…
彼女が、私の愛おしく愛らしい彼女が自らそうしてくれるなら、嬉しさが…
いかん、ユウリ不足がここにも出てしまう。

ついつい何処かにいないかと気配を探し、少しでも感じ取っては…
ふっと笑みが出てしまう。
あの愛らしい人がこの庭園で歩いていた姿を思い出す。
草花の姿や香りを堪能して愛でていた彼女。
その側にいた自分。
視線を感じて…この女か。
鬱陶しいが、今は我慢だ。
ユウリとこの女を接触させたく無い。
もし接触しそうなら…

生垣などを上手く利用しながらと模索する。
それにしても、いつ訪れても美しい庭園だ。
領主夫人の為にと整えられた庭園は、いこごちがよく、安らぐな。
この女さえいなければと何度も思ってしまう。

屋敷内も散々連れ回された。確かに貴重な装飾品もあり、我が国に内趣のある者も多くあった。
見ていて飽きないだろう。

「彼方の方にも行きましょう」

そう言って、手を握られそうになるのを、上手くかわす。
ん?あれは…

愛しい者の気配を感じた。
あそこに見えるのは…元気にしているようだ。
今直ぐかけて行きたい。

「何かございましたか?」

声をかけられ、意識を戻す。
少しこてんと首を傾げているこの女。
自分が可愛いとアピールしているのであろう。あざといな…

まぁ、対面用の笑顔で対応しておこう。
少しひきつって見えるかもしれないが、関係ない。
それより…あぁ、去ってしまった…

「大丈夫です。可愛らしい小鳥が留まっていたと思ったのですが、飛び去ってしまいました。」
「そうですの?私も見たかったです。残念です。」

殿下に頼んで、そろそろ彼女との時間を取ってもらおう。
さっき去る時の彼女の表情は…
抱きしめ、腕の中に閉じ込めて…
今はその時では無い…か…

「もう少し歩くのですよね」
「えぇ、向こうに」

少し止まり、ルートを考える。
彼女とはちあわせしないルート。

「わかりました、では、こちらへ」

彼女についている者と目が合い、サッといく方向を合図で伝える。
これで大丈夫だろう。

この女は意外と単純なところがある。
いい意味でも、悪い意味でもだが…

たわいもない会話に相手をし、この女の目的であろう彼女が滞在している別館についた。
もう、あの者達が対応準備しているはずだ。





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