竜の恋人

異世界生活

異世界(エリザベート)

湯浴みをしながら、侍女達に指示を出す事を忘れません。
彼の方、アルホンス様の好みを調べさせる事と、今後のご予定です。
彼の方の仕事に支障をきたす事は、未来の妻たる私が取るべき行動ではありません。
彼の方が率先して私の側で愛を語られるのは別ですが…

思わず笑みが出てしまいます。

「お姫様。ご機嫌でよろしい事です」

乳母であり、私の侍女長であるエメリアはそういうと、グラスに注がれた果汁が入った飲み物を渡してきました。
冷たく冷やされた飲み物。

「甘くて美味しい」
「リンゴジュースでございます。ほんの少し蜂蜜も入れてありますよ」
「あの蜂蜜ですか？美容と健康に良いとされる高級品。私にピッタリですわね」
「はい。その通りでございます」


そういうと、空いたグラスを受け取り微笑んでいる。
私、大満足です。

「そう言えば…」
「どうかしたの？」

乳母が少し困った顔をした。
何だろうか…

「いぇ、もう少しお調べしてからご報告いたします」
「気になるから、今言いなさい」

この遠慮気味に言う時は、あまり良いことがない。

「実はですね。お姫様が気にされていた女性の事で少しだけ情報が…」

耳打ちされて呟かれた内容。

例の女がこの屋敷敷地内にいると言う事。
場所はまだ特定されていないが、多分別館だろうと言う事だった。

さっさと見つけて確認し、弟の元に送り付けてやらないといけません。
あの子が待っているのですから。
私にとっても邪魔な存在です。

引き続き調べるよう指示して、ゆったりとくつろいだのです。