竜の恋人

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異世界生活

異世界(エリザベート)

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馬車の中から愛おしいお方を眺めたかったのですが、残念ながら視界に入りませんでした。
他の護衛の者達に隠れて見えません。
仕方なく外を眺め…田舎ですわ。
自然豊かではありますが、ずっと滞在したいとは思えません。
まぁ、彼の方と共に暮らす領地であれば、この様な場所でも私には楽園に思えるでしょうが…

心を飛ばしていましたら、シュタルク領主の屋敷に到着したようです。
ドアを開けていただき…
彼の方がおりません。
皇女である私ですから、無作法は出来ませんが、視線で探しても…

「皇女様」

そう促されましたが、私は…

「この私の護衛としてくださっている彼の方でないと降りません。直ぐにヨンデキテイタダケマセンカ」

語尾が少し強くなってしまいましたが、それは仕方ない事でしょう。
お前達はお呼びでないのです。
私の愛しい彼の方を呼んできてくださいませ。
未来の妻を世話するのは彼の方の勤めでしょう。
私が『番』になって差し上げるのですから。

きっと照れてご遠慮されているのです。ですから、私が呼んで差し上げますとも。

一旦ドアを閉めて待ちます。
しばらくして、彼の方が優しくノックされ、ドアを開けて手を差し伸べてくださいました。
それはもう、極上の微笑みです。
すぐさま微笑んで返し、彼の方を見つめながら手を乗せ降りました。
そして、そのまま部屋までエスコートしていただきました。
微かに香る彼の方の香りにも心躍ります。
案内された部屋は、私に相応しい少し可愛らしさもあるお部屋でした。

彼の方が背後から見つめてくださっています。
そんなに私の事を…

振り向いて、彼の方の腕に縋りつく様に側に行き、『一緒にお茶でも』とお誘いしましたのに、律儀な彼の方は

「報告がありますので、失礼します」

それだけ告げて、すぐ私を後にされてしまいました。
その後ろ姿に哀愁を感じます。
律儀な彼の方は、さぞ残念に思われたのでしょう。
私との時間を。
なら、お声をかけて、私から作って差し上げなければいけません。

侍女に湯浴みの準備をさせて、自分を磨き上げます。
ふふふっ、お待ちくださいませ。







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