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異世界生活
異性界(アルホンス)
しおりを挟む駆けていくと、馬車から降りて休憩していたのであろう。
数人の騎士に囲まれて、例の問題女性の姿が見えた。
鬱陶しく絡んでくる視線を遮る。
俺はこの国の騎士でも国の民でもないから、あえて相手する必要性はないはずだ。
本来は…問題は…無いと言いたい…
領主直属の騎士が例の女性。姫君に挨拶している。
騎士にとっては自国の姫君だ。丁重に挨拶するのは当たり前だろう。
それをかき分けて、私の前に現れ、綺麗な所作を披露した。
だから、仕方なく挨拶を交わす。
「初めてお目にかかります。アステード王国からロザリアン神聖国、シュタルク領に派遣されましたアルホンス•セイクリオンと申します。以後お見知りおきを」
「他国からお越しいただいたのに、わざわざ私の迎えに来てくださりありがとうございます。私はこのロザリアン神聖国第二皇女。エリザベート•ロザリアンです。聖女召喚の儀式の前の宴でお会いしたのを覚えておられますか?私、あの日の事が忘れられませんでしたのよ。今回、この領内視察が決まり私にその命を受けました。同行及び護衛の依頼を我が兄、皇太子から受けていただけたと聞いて、あなた様にお会いできるのを楽しみにしていました。」
自分にとって他国の領地であり、その国の者によほどの理由がない場合の同行や護衛は本来自分の仕事ではないし、ありえない。
依頼してくるのもおかしな事だ。
しかも相手は私にとってどうでも良いこの国の皇女。
我が国の噂を聞いて近寄ってきた者達と同じか…
冗談ではない。これはこの国からの『見合い』だ。
この時期にわざわざここに来て…
狙いは私か殿下。
この視線からすると私か…
この皇女。確か儀式前の宴に参加した時、転びそうになった女だ。
あの場で転倒は…そう思い、素早く助けはしたが、直ぐに離れた。
女性があの場で転倒する姿は、後々の醜聞になると判断しただけだったのに…
その時に目をつけられたか…ふざけている。
それに対しては触れず、そのま下がる。
本来は、女性の手の甲にキスを贈り挨拶するべきであろうが、無礼と言われても敢えて我が竜人の国であるアステード王国から来た私であるから、そこまでは必要ないだろうと、我が国の騎士の礼を行った。
美しく着飾っている目の前の皇女は、一瞬引き攣った表情をしたが、直ぐ様微笑みながら私に近づき触れようとしたが、後ろに下がる。
『直ちに出発しましょう。それでは失礼する』とだけ言って踵をかえてその場を後にした。
皇女が連れた騎士達もいる。
あの中にはこの国の貴族の子息もいるだろう。
下手に噂にされたらたまったものではない。
とにかく距離を置きたい。
冷たくすれば諦めるだろう。
求められても『番』となる事はないし、する気もないのだから。
最悪、国の都合で強制的に言われても、竜人族特有のものとして突っぱねる事ができるはずだ。
しかも、『運命の番』が私にはいるのだから…
だが待て…過去の不祥事が…
そうだ。この国の者が起こした事件があった。
国の圧力で揉み消されているが、一部の者が知っている事があった。
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