竜の恋人

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異世界生活スタートです。

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「そ~こ~か~ら~か~~~っ!!!」

私の指導員であるルーカスさんが、緑色っぽい髪をガシガシしながらしゃがみ込んだ。
申し訳ないなぁ…

「すみません」

ぺこりと頭を下げて謝る

「大丈夫。うん。それなら、魔力を相手に流した事は?」
「それならあります」

思わず頬を染めてしまった。
別にやましい事ではないんだけど、あの人の顔を思い出した。
今、きっとどこかで私を護衛してくれているあの人。
魔力を流す事を教えてくれたあの人だ。

「何?」
「いえ、別に…」
「よくわからないけど、まぁいっか。そしたら、まずこの鍋に水をここまで入れてみて」

別のさっきと同じ鍋に指定された所まで水を入れる。

「で、この種類の鍋は何処でも使われて、一般的にも売られている物なんだ。だから、これがまず目安ね。そして、この水の量だと…」

そう言って、さっきより詳しく教えてくれた。
『魔力をを注ぐ』のは、『魔力を流す』操作と同じ事。
量は感覚だからと、まずゆっくり流してみてと言われ、言われた通りにやってみた。
少しずつ増やして、『そのぐらい』と言われた所で、流し方を一定にする。

入れた薬草が溶けて、色が変わった。

「もう良いよ」

と言われて、火を止めた。
火は、小さなガスコンロみたいな感じの魔道具でつけた。
ある場所を、火をつけたいと思ってそっと触れるとついて、消したいと思って触れたら消えた。
ある場所。石みたいな小さな突起のところだ。

それは魔石らしい。

意思を持って触れると、極小量の魔力でついたり消えたりするらしい。
意識で持って、ごく少量の魔力がそこに注がれ、作動するのだとか。
小さな子供は、意識を持ってする事ができにくいらしく、事故にはならない設計だとか。

うん。よくわからないけど、この世界の当たり前のことなのね。
覚えておこう。

先に作っていた物が冷めたから、瓶に詰めていく。
ごく稀に、溶けきっていない物があるかた、必ず漉し器で漉すことと教わった。
不純物が混じっていない綺麗な液体をゆっくりと瓶に詰める。
使った鍋から、瓶五本分ができた。

「この瓶がポーション指定の瓶。この底に描かれた模様が保存の模様だよ。あと、毒物除去も施されている。これ以外の瓶は『薬事法違反』だから、販売目的では使ってはいけないよ。緊急時や自分や身内とかに使う分には許可が出てるけど、あくまでもグレーゾーンだ。注意して」

「なるほど、法律的なものもあるのか。確かにそれって必要だね。なるほど。」

瓶底の模様も含めてメモを取る。
薬草学の本も準備されていたから、それも覗き見た。
絵はわかるけど、文字は…と思ったら、思いっきり読めた。
ちなみに、日本語で書いたメモは、ルーカスさんには読めるところと読めない所があるみたいだ。

ルーカスさん曰く、この世界の共通語と、よくわからない文字?模様?に見えるのだとか。
どこらへんが?と思ったら、真剣に書いた所がこちらの文字で、いわゆる走り書き感覚で書いた文字が日本語に見えるみたいだ。
私には全部日本語なんだけど。
ひらがな、漢字。カタカナね。

そっか…
なら、日記みたいなのは、もしかしたら誰にも読まれないかも知れないなぁ…
心のままに書いた、走り書き風にすれば…
今度試してみよう。
まずは見られてもいい事柄で、恥ずかしくなくて、困らない文章で…




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