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異世界生活スタートです。
回想(アルホンス)
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「まぁ、おめでとう」
全ての報告と打ち合わせを終わらせた後、すぐさま殿下はそう言ってきた。
もう今からは友人としての対応だ。
「あぁ、ありがとう」
竜人族である私は、現在300歳。
そして、ジャディール•アステード殿下は、竜人族で、280歳。
アステード王国、王弟である彼とは、20歳の歳の差の歳下ではあるが、親しい友人関係でもある。
20歳程度は、『竜人族』者にとっては大した事ではない。
そうそう、竜人族は100歳頃に人としての姿がとれるようになる。その時は、10歳程度の『ヒト族』の姿だ。
そこから魔力の多さなどで、成長の速度が変わる。
しかも、ある一定の年齢の姿になると、姿はそのままに止まってしまう。
そう、高齢になっても、若い姿のままなのだ。
それも、その者の『魔力量』などで決まるが、時には精神状態も関係して来ると言われているから一概にはいえない。
この世を去る年齢に近づくと、急に姿形の老化が進み、この世を去るのだ。
だから、アカデミーに入る年齢は、その成長によって判断されていた。
『ヒト族』であれば、15歳と決まっているが、『竜人族』の場合は、それに適応した年齢とされていた。
そう、ある程度一定の姿になった時だ。
ジャディール殿下は『竜人族』としては成長が早く、私が125歳。
他の者達は、130歳とかが多かっただろうか?150歳の者もいたな…200歳近い者も?
まぁ、それは置いておいてだ、殿下は105歳で自国のアカデミーに入学した。
そう、学友だ。
公爵である我が家は、定期的に王族と付き合う事はあったが、寮生活からずっとの付き合いはアカデミーに入ってからだった。
そう、寮では同室。
王族でも、アカデミーでは同じ学生と扱われ、寮も二人部屋となる。
まぁ、そう言いながらも、かなりの配慮は実際あるのだが…
今は、絶対に寮生活をしないといけないとはされていないが、当時は皆んな寮生活をしていた。
今と昔では変わってきてしまっているが…
色々とあったからなぁ…
で、クラスも同じ。そこからの友人。親友となった。
「今からは友人、親友としてだ。『殿下』呼びはやめろ」
そう言って、笑いながら準備されていた酒をグラスに注いできた。
魔力操作で器用にグラスに氷カラカラと音おたてて入れ、ボトルの液体を注いでいく。
「そうだな。ありがとう。」
そう言って受け取るのは、高級なブランデーだ。
受け取り、軽く回してみる。
カランと氷の音を楽しみ、香りを堪能して一口飲んだ。
「うん。美味い」
「そうだろう?君への祝いという事で、特別製を準備しておいた。それよりも、良かったな。『番』に出逢えて」
「あぁ、あんなに探しても見つからないはずだ。まさか異世界にいたとは…」
「本当にな…この状況下でだが…まぁ、良かったな。友人として嬉しいよ。俺の『番』は何処にいるのやら…」
そう言って、少し寂しそうに彼も一口飲んだ。
「うん、やっぱり美味い。」
ハハハッ……
二人で笑い合い、学生時代から今に至ってのいろんな話を二人で夜更けまで楽しんだ。
楽しかった事や、お互いの黒歴史などだ…
友人との談笑をおえ、シャワーを浴びた後、彼女のことが気になり部屋に訪れる。
酒臭いか?とも思ったが、大丈夫そうだ。
それよりも、彼女だ。
護衛と言いながら、『番』という特権を利用して、部屋に入った。
それに、もし体調がまだ悪いのなら、癒してあげたい…
ベットには、可愛らしい寝顔の彼女がいる。
少し顔色が悪いか…
屋敷の医者には診せているだろうが…
ベットの側に椅子を持ってきて座った。
そして、手を取り魔力を流す。
癒してあげなくては…
私の愛しい人。
いつか…でも、出来るだけ早く、彼女を抱きしめて眠りたい。
彼女の香りを堪能して…
そんな不埒な想像を隠しながら、どれだけ時が過ぎたのだろうか。
顔色が良くなった。大丈夫そうだ…
そっと頬に触れてみる。
「可愛い…」
「ん………」
睫毛が揺れ、瞼がかすかに動き出す。
そろそろ起きそうだ。
変えられてしまった彼女の瞳が見られる…
自分の姿をその瞳に映したい…
元は黒髪•黒い瞳であった愛しい人。
こちら側の理由で、無理やり変えてしまった…
黒曜石の様な綺麗な瞳であったであろうに…
だが、彼女を危険にさらさないための選択であった事は、理解できるのだ。
だが、驚かせてはいけないと、『瞳に映りたい』と思う気持ちは今は我慢して、すぐさま彼女から離れ見守る事にした。
これ以上は侍女達が許さない雰囲気だしな…
壁越しまで退がる。
彼女はベットの中で伸びをして、ゆっくり目を覚ました。
侍女の一人が『お目覚めですか?体調はいかがですか?』と声をかけていた。
確か侍女のケイトとエミリーだったか…
『獣人族』の彼女達は、少し心配そうにしているな。
耳と尻尾が見えたなら、きっと垂れてる状態か…
彼女の好みであれば、彼女付きで屋敷に雇い入れるのも良いかもしれないな…
それか、我が国に在住している『獣人族』の者を雇い入れるのも…
「大丈夫ですよ。何だかスッキリしています。昨日?『竜人族』のお二人に会って…あっあ~~~~~~っ!!!」
急に思い出したのか、頬を染めてあわてだしている。
まぁ、後悔はしていないが、彼女に対して結構やらかした感じがする。
くくっ…と思わず笑いがこぼれそうになるが、何とか堪えた。
プッシュ~~~~って音が出そうなぐらいに、身悶えてるな。
シーツの中に隠れたいって感じか?
ふふっ、愛らしいな…
「消えたい…」
小さな呟きが聴こえた。
それはダメだ。絶対に許せない。
私の大切な宝。愛しい人。逃しもしないし、ましてや奪われる事も許しはしない、大切な存在だ。
「それは困る」と言う返答と共に、腕の中に捉えるように抱きしめた。
全ての報告と打ち合わせを終わらせた後、すぐさま殿下はそう言ってきた。
もう今からは友人としての対応だ。
「あぁ、ありがとう」
竜人族である私は、現在300歳。
そして、ジャディール•アステード殿下は、竜人族で、280歳。
アステード王国、王弟である彼とは、20歳の歳の差の歳下ではあるが、親しい友人関係でもある。
20歳程度は、『竜人族』者にとっては大した事ではない。
そうそう、竜人族は100歳頃に人としての姿がとれるようになる。その時は、10歳程度の『ヒト族』の姿だ。
そこから魔力の多さなどで、成長の速度が変わる。
しかも、ある一定の年齢の姿になると、姿はそのままに止まってしまう。
そう、高齢になっても、若い姿のままなのだ。
それも、その者の『魔力量』などで決まるが、時には精神状態も関係して来ると言われているから一概にはいえない。
この世を去る年齢に近づくと、急に姿形の老化が進み、この世を去るのだ。
だから、アカデミーに入る年齢は、その成長によって判断されていた。
『ヒト族』であれば、15歳と決まっているが、『竜人族』の場合は、それに適応した年齢とされていた。
そう、ある程度一定の姿になった時だ。
ジャディール殿下は『竜人族』としては成長が早く、私が125歳。
他の者達は、130歳とかが多かっただろうか?150歳の者もいたな…200歳近い者も?
まぁ、それは置いておいてだ、殿下は105歳で自国のアカデミーに入学した。
そう、学友だ。
公爵である我が家は、定期的に王族と付き合う事はあったが、寮生活からずっとの付き合いはアカデミーに入ってからだった。
そう、寮では同室。
王族でも、アカデミーでは同じ学生と扱われ、寮も二人部屋となる。
まぁ、そう言いながらも、かなりの配慮は実際あるのだが…
今は、絶対に寮生活をしないといけないとはされていないが、当時は皆んな寮生活をしていた。
今と昔では変わってきてしまっているが…
色々とあったからなぁ…
で、クラスも同じ。そこからの友人。親友となった。
「今からは友人、親友としてだ。『殿下』呼びはやめろ」
そう言って、笑いながら準備されていた酒をグラスに注いできた。
魔力操作で器用にグラスに氷カラカラと音おたてて入れ、ボトルの液体を注いでいく。
「そうだな。ありがとう。」
そう言って受け取るのは、高級なブランデーだ。
受け取り、軽く回してみる。
カランと氷の音を楽しみ、香りを堪能して一口飲んだ。
「うん。美味い」
「そうだろう?君への祝いという事で、特別製を準備しておいた。それよりも、良かったな。『番』に出逢えて」
「あぁ、あんなに探しても見つからないはずだ。まさか異世界にいたとは…」
「本当にな…この状況下でだが…まぁ、良かったな。友人として嬉しいよ。俺の『番』は何処にいるのやら…」
そう言って、少し寂しそうに彼も一口飲んだ。
「うん、やっぱり美味い。」
ハハハッ……
二人で笑い合い、学生時代から今に至ってのいろんな話を二人で夜更けまで楽しんだ。
楽しかった事や、お互いの黒歴史などだ…
友人との談笑をおえ、シャワーを浴びた後、彼女のことが気になり部屋に訪れる。
酒臭いか?とも思ったが、大丈夫そうだ。
それよりも、彼女だ。
護衛と言いながら、『番』という特権を利用して、部屋に入った。
それに、もし体調がまだ悪いのなら、癒してあげたい…
ベットには、可愛らしい寝顔の彼女がいる。
少し顔色が悪いか…
屋敷の医者には診せているだろうが…
ベットの側に椅子を持ってきて座った。
そして、手を取り魔力を流す。
癒してあげなくては…
私の愛しい人。
いつか…でも、出来るだけ早く、彼女を抱きしめて眠りたい。
彼女の香りを堪能して…
そんな不埒な想像を隠しながら、どれだけ時が過ぎたのだろうか。
顔色が良くなった。大丈夫そうだ…
そっと頬に触れてみる。
「可愛い…」
「ん………」
睫毛が揺れ、瞼がかすかに動き出す。
そろそろ起きそうだ。
変えられてしまった彼女の瞳が見られる…
自分の姿をその瞳に映したい…
元は黒髪•黒い瞳であった愛しい人。
こちら側の理由で、無理やり変えてしまった…
黒曜石の様な綺麗な瞳であったであろうに…
だが、彼女を危険にさらさないための選択であった事は、理解できるのだ。
だが、驚かせてはいけないと、『瞳に映りたい』と思う気持ちは今は我慢して、すぐさま彼女から離れ見守る事にした。
これ以上は侍女達が許さない雰囲気だしな…
壁越しまで退がる。
彼女はベットの中で伸びをして、ゆっくり目を覚ました。
侍女の一人が『お目覚めですか?体調はいかがですか?』と声をかけていた。
確か侍女のケイトとエミリーだったか…
『獣人族』の彼女達は、少し心配そうにしているな。
耳と尻尾が見えたなら、きっと垂れてる状態か…
彼女の好みであれば、彼女付きで屋敷に雇い入れるのも良いかもしれないな…
それか、我が国に在住している『獣人族』の者を雇い入れるのも…
「大丈夫ですよ。何だかスッキリしています。昨日?『竜人族』のお二人に会って…あっあ~~~~~~っ!!!」
急に思い出したのか、頬を染めてあわてだしている。
まぁ、後悔はしていないが、彼女に対して結構やらかした感じがする。
くくっ…と思わず笑いがこぼれそうになるが、何とか堪えた。
プッシュ~~~~って音が出そうなぐらいに、身悶えてるな。
シーツの中に隠れたいって感じか?
ふふっ、愛らしいな…
「消えたい…」
小さな呟きが聴こえた。
それはダメだ。絶対に許せない。
私の大切な宝。愛しい人。逃しもしないし、ましてや奪われる事も許しはしない、大切な存在だ。
「それは困る」と言う返答と共に、腕の中に捉えるように抱きしめた。
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