竜の恋人

異世界生活スタートです。

回想(アルホンス)

俺事アルホンス•セイクリオンは、竜人の国、アステード王国の公爵家の人間だ。
時期公爵として公務をこなしながら、ジャディール•アステード殿下の護衛も兼ねてだ。

遥か昔、この世界は『光と闇』の神によって作られたとされている。
神はこの国の安寧と発展を望み、『竜人族』『獣人族』『妖精族』『魔人族』そして、自分と姿形を似せた『人族』を創造されたと言われている。この種族はお互いに神を祀り、やがては高度の文明を築いた。
しかし、文明が高度化するにつれて、『妬み』『嫉み』『僻み』という悪感情が生まれ、やがてそれは『憎悪』まで発展して行ったとされている。
悪感情が徐々に増えるにつれて、それらはやがて『瘴気』となり、やがては『瘴気溜まり』が発生した。
そこから生まれたのが『魔獣』だ。

やがてそれらは全ての住民を襲うことになった。

魔獣は基本、本能に従う存在ゆえ、コントロールが難しい。が、知恵を有する魔獣が現れ、それを使役する『魔族』が現れた。『魔族』は自らの神として、『悪魔』を信仰した。
そう、混沌の時代が到来だ。

文献では『悪魔降臨』から混沌の時代とされているが、我が国王家の秘蔵書や、『ヒト族の国』ロザリアン神聖国で秘匿されている物にからも、それ以前から混沌の時代が始まり、『悪魔降臨』にて更なる混沌をもたらされたとされているから、間違いないだろう。

それらは更なる悪を呼び、『世界の扉』が出現。『悪魔』が降臨した。
『悪魔』は全てを滅亡へと導いた。

人々の強い願いを神に祈り、それを聞き届けた『光と闇』の神は嘆き悲しみながらも、『希望の光』として異世界より一人の少女を呼び寄せた。
そう、『聖女召喚』である。
この秘術は『ヒト族の国』であるロザリアン神聖国に伝えられ、現在も数百年に一度行われている秘儀であった。

現れた神の代行者である『聖女』は黒髪と黒い瞳を持つ少女であり、当時の獣人族や妖精族。魔人族やヒト族。そして竜人族の者達数名で各地の瘴気を抑え、魔獣を討伐し、瘴気を抑えて行った。『浄化』である。
力が抑えられて、弱体化した『悪魔』は扉から向こうの世界に戻って行ったとされている。

ただ、この混沌による惨事は膨大であり、現在の大陸と、その近辺の島々。そして、この地より遥か彼方の北の大陸以外は水の中に水没した。
そう、海底に沈んだのだ。

現在。大陸中央を『ヒト族の国』ロザリアン神聖国とし、東側は『獣人の国』エステバン獣王国。西側は『妖精の国』オリクサ王国。南側の『竜の国』アステード王国。北側は『魔人の国』ディール帝国。として治めている。
海を隔てての北の大陸は、神の代行者である聖女の力か、もしくは神自身の力か、かなり強い障壁に囲まれ一部残った魔族が暮らしているという噂だった。

そして、今回の『聖女召喚の儀式』だ。
数百年から数千年に一度という周期で起こる魔獣による被害から更なる被害へと繋がる出現する『世界の扉』。各地のどこか大なり小なりと現れる瘴気溜まりから発生する魔獣の被害は、各国が自国での討伐や協力での討伐を行いるが、この周期的に現れる『扉』対策に、今回も各国が集い『ヒト族の国』ロザリアン神聖国でこの儀式が行われれる事となった。

我が国からは、時期公爵兼護衛騎士としての俺と、王族代表としてジャディール•アステード殿下。
数名の部下は控えさせていたんだ。