竜の恋人

異世界生活スタートです。

とりあえず…

「はぁ………、余り困らせるなよ…種族の特性とか知らないと思うからさ…」

そう言って、苦笑いしないで、止めて、辞めさせて！！
そう言いたいのに、抱き込まれたから、『モゴモゴ』としか言えてない…

『竜人族』の特性って何？『ヒト』を愛玩動物みたいに可愛がる事なのか？？

何とか隙間を作って助けを求めてみたけれど、『ごめんね』とだけ言われてしまった。

抱き込んでくる『竜人族』アルホンスさんの方が歳上のせいなの？
でも、ジャディールさんの方が上司だよね。
だって、『アステード王国　王弟ジャディール•アステード様』だもの。
様付けは要らないとは言われたけど…

その後は、有無も言わさず、餌付けされるようにアルホンスさんに食べさせられた。
いわゆる『ア～ン』だ。
それも、毒味までされて…
恥ずかしい…

とろけそうな笑顔でこっちを見ないで…
それを、生暖かく見守らないで………

エルザさん？手に持っているのは何ですか？
もしかして、日本でいう『カメラ』みたいな物ですか？

「映像を残しておかなければ…」なんて声が聴こえてますよ～～～

三人の侍女ズが嬉しそうにしています。
オカシイよ～～

「もう良いのですか？果物、美味しそうですよ？」
「もう…お腹いっぱいです…」

そう言うのが精一杯です。

「それより食べてました？私に食べさせるばかりで…」

向かいに座る竜人、ジャディールさんは、上品だが結構なスピードで結構な量食べていた。
軍人でもあるから、食べるよね、結構な量……
でも、この人は？

「大丈夫。私も食べていますよ。美味しいですね」

餌付けしながら、しっかりと食べていたもようだ…
これも、『竜人族の特性』なのだろうか…

口元に、ナプキンを持ってこられ、綺麗に拭われる。

「自分で…」

と言う言葉は、思いっきり無視された…

「もう良いでしょ！！ありがとうございます」

ありがたくはなかったけど(恥ずかしくて)とりあえずお世話になってしまったのだから、お礼は言っておいた。
丁寧とは言い難いけど…

何とか膝の上から脱出して、エルザさん達の方に向かう。
この後の事も聞きたかったしね。

ほら、この世界のこと知らないことだらけだし、薬草園に行った時、『薬草研究所』に案内してくれる約束もあったと思うし…
とにかく、この場を離れたい…
あの人達と離れたいのだ…