竜の恋人

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ご説明を…

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問題だと言われても、こればかりはどうしようもない。
私達は双子の姉妹。しかも日本人なのだから…

この世界の事や、諸事情を簡単に説明されてもピンとは来ないけど、『問題』と言われても困る。

「私達は、双子の姉妹です。『問題』と言われても困りますし、ハッキリ言って迷惑です!」

サーヤ…かなり怒っている…
確かに、自分たちの世界の都合で、勝手に召喚(拉致)して、『問題』とか、どう言う事だ!!
イライラしながらも、先に姉が怒ってくれたから、少し落ち着いた。

相手も一瞬表情が強張ったが、直ぐに元の表情に戻っている。
これが王族というものか??

「殿下」

そう言って、背後に控えたローブ姿の男性が小声で声をかけていた。
何を話しているのだろうか…

「そうか…」

そう言って、こちらに向きをかえ、コホンと咳払いしながらこう言ってきた…

「聖女様のお部屋の準備ができたようだ。ひとまず今日はそちらで休んで欲しい。明日、また話をしよう」

そう言って、姉の手を取り、有無も言わさず連れ去るようにエスコートして出て行った。
あまりのはやわざに、唖然として見送ってしまった私…

という事は、姉が…サーヤが『聖女』だといつの間にか判明したのか??
なら、取り残された私はどうなる??

部屋の中には、先ほど囁くように皇太子に声をかけていたローブの男性と、もう一人のローブ姿の男性。あと屈強な騎士が残っていた。
もしかして…私は邪魔者扱いですか??

ローブ姿の男性は、先ほど皇太子が座っていた場所に腰を下ろした。
白髪と白い髭が特徴の威圧的な男性…
老人と言ったら怒られそうだ…

「私は神官長を務めさせていただいている、タナトスと申します。聖女サヤカ様の妹君ユーリ様だったか…」

少し小馬鹿にされたような言い方だ。気分が悪い。

「姉を何処に連れて行ったのですか?私達をどうして…」
「貴女は邪魔なのですよ」

最後まで言わせてもらえず、いきなり邪魔者扱いですか…

「なっ…」
「ハッキリ申し上げます。先ほど密かに鑑定させていただきました。聖女様はサヤカ様です。よって、貴女は必要ない。ただ、聖女召喚の儀はいわゆる一方通行の儀式。貴女を送り返したくてもできません。」

はぁ…………面倒だ…

そう心の声が聴こえそうなため息を吐かれた。
と言うか、こっち、被害者なんですけど!!

「勝手な事言わないでください。姉の所に…」
「行かせれるわけないでしょう。特に今の状態では…」

そう言って、もう一人のローブ姿の男性に指示を出した。

コトッと音をたてながら置かれた小瓶が二つ

「先ほどの説明にもありましたが、聖女様はお一人。聖女様は常にお一人。そして、黒髪の黒い瞳の女性は、この世界で聖女様のみなのですよ。よって、今回二人も現れ、しかも、二人ともが伝承されてきた聖女と同じ姿というのも、問題なのです。それに、貴女は聖女ではない。珍しい魔力はお持ちですがね…」

目の前のタナトスと名乗る男性は、いつのまに準備されたのか、置かれたお茶を飲み、一息ついている。

「で、邪魔者の貴女には、この二つのどちらかを飲んでもらいます。」

当たり前のことのように言われた。
はいそうですか…なんて素直に返事できるわけがない!!

「こちらは毒薬です。せめてもの情けなので、苦しまない物を準備しました。」
「なっ…」
「そして、こちらは私達の邪魔をせずに大人しくして頂けるのなら、姿を変える魔法薬です。姿と言っても、顔の形を変える物ではありません。『聖女様の色』を貴女が持っているのが問題なのですから、その髪と瞳の色を変えるだけです。私どもとしたら、こちら、この『毒薬』を飲んでいただける方が楽なのですが、神に仕える者としてはね…今後面倒な事もあるでしょうが、貴女が大人しくしていただけるのなら、こちらをお飲みください。どうしますか?」

そう言って、一つずつ瓶の振って見せてきた。

死ぬのはごめんだ。サーヤの事も心配だし…
でも、色を変えて、要はサーヤに近づくな…関わるなって事だよね…

「あまり考える時間はありませんよ。私も忙しい身ですから。こちらの都合で無理やり飲ませても構わないのですよ。その場合はこちらです。」

そう言って、毒薬の入っている瓶を振って見せた。
ちゃぷんと音が瓶から漏れそうな気がした…
実際は聞こえないけれど…

「さぁ…」

身を乗り出すようにさらに威圧される。
周りに控えている騎士にも、さらに近づき威圧感が半端ない…

カタカタと音が出そうなほど震える手で、姿を変えると言われた瓶を手に取る。
生きててなんぼだ…
生きてさえいれば…きっと…

背中に冷や汗を感じる。
手にも汗を感じた。

落としてはいけないと思われたのか、もう一人のローブ姿の男性が背後から手を伸ばし、持っている瓶を支えながら、蓋を開けた。そのまま口元まで持っていかれ……

目を閉じて、一気に飲んだ…

とろっとした液体が喉を通り過ぎる。
カッと身体が燃えるような感覚がし、そのまま意識が途絶えた…

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