竜の恋人

転移しました…

まさかの転移…

「おおおおおおおっ～～～～～～！！」
「成功だ！！神に感謝を～～！！」
「聖女様だ！！これで国は救われる！！」

そんな歓喜の叫びの中、目が覚めた。
覚めた場所は…実物は見たことがないが、テレビの旅行番組など映し出される神殿の中のようだった。

神官職の様な人々や、中世の騎士の様な人。
膝を折り、祈りを捧げるように喜んでいる人など、多種多様な人々がいた。

「「何これ！？」」

姉と二人で抱き合って身震いする。
アニメや小説。ゲームのストーリーでもあるまいし…

「夢？夢だと言って………あり得ないんだけど～～～！！」
「嘘だよね…夢だよね…」

「ようこそおいでくださいました。聖女…どちらが聖女様か？」

顎をさするようにしながら首を傾げ、そんな事を言いながら近づいてくる豪華な衣装に身を包んだ男性。
そっと背後に控える白い聖職者のような人に尋ねていた。

というか、聖女って？誰が？？
嘘でしょ！！

「あの、ここは何処ですか？私達はどうして？」

姉が声を振るわせながら尋ねた。
こういう時、姉は強い。
流石サーヤ！！私もしっかりしないと…

「あぁ、失礼いたしました。ここでは何ですので、場所を変えて説明させて頂いてもよろしいでしょうか？」

官職のような人が声をかけてくれた。
穏やかそうな人だ。
確かに、こんな場所で、この状態で話を聞く事は無理だろう。
ワイワイ　ガヤガヤ言って聞こえづらい…

周りはまだ興奮状態だ。

私達も、訳もわからずの興奮状態だが、それでも今後の事は…
情報大事だし…

「サーヤ…」

小さな声で姉に声かける。
姉は小さく頷いて、了承を相手に伝えてくれた。

二人で手を繋ぎ、案内されるままついて行く。
引き離されては困るのだ。

ふと、人垣の奥に倒れている人。
それを介抱する者が見えたが…
いゃ、今は自分たちの事を先にしよう…


そうして案内されたのは、豪華ながらも落ち着いた家具の置かれた場所だった。
よく執務室の描写で描かれる感じの部屋だ…

促されるままソファーに二人で座った。
少し沈むソファーのクッションに驚いた。
すごく座りごごちいい…

そんな関係ない事に感心しながら、相手の動きを見ていた。
豪華な衣装に身を包んだ人が向かい側に陣取るように座り、その背後に数人の者が控えるように立っていた。