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未来のために
運命が回りだす
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「これはいったいどう言う冗談だ?」
神バルマスールが黒い瞳の赤い瞳孔を細めて相手を見ていた。
ディール帝国の魔法騎士であるグランは、相変わらずスレインという青年に追随したままじっとしている。
シルバーはスレインに剣を向けたまま硬直していた。警戒ではなく動揺している感じか?
カルロスはジャディール殿下の腕の中に匿われているままだった。
「ラミアの騎士よ。いや、元騎士か?その剣は下ろすがいい。」
そう言って神バルマスールがシルバーの側に行き、剣を手で制して下ろさせた。
この神がそうするのなら、大丈夫なのだろうか?
大丈夫な気がする。姿は恐ろしくも感じるが、実際は心優しい神のような気がした。
神力はきっと強いだろうが…
「お前もその態度をやめろ。そんな態度であるからラミアの神玉が拒否するんだ。」
そう言って大きなため息を吐いた。
えっと??
夫や妹夫婦もどう対応するのが正解なのか悩んでいる様だ。
勿論、私も全然わからない。多分カルロスもそう感じているだろう。
神に対して人はどう対応して良いのか未だ掴みきれない。
カルロスに付き従う英霊達も驚愕の表情で見守っていた。
ただ一人だけ違って見えたが…
それでも、これはいい方なのか?それとももっと最悪が??
「これはいったいどう言うことじゃ?よく理解できぬが??何故ここで?」
神アルメルアがこてんと首を傾げる。
そして二神も多分だが、頭の中にはてなマークが浮かんでは消えているんだと想像する。
はっきり言って今後の展開が全然わからない。理解不能だ。同意しますよ。
思わずディアブロの方を見てしまうも…
この男は意味不明だが、カルロスに対しては…
「お遊びがひどすぎます。我が君に怪我などさせたら許しませんよ。」
そう言ってぷんぷんと怒ったような表情だ。
完全な怒りではないようだが…だが一体??
いつの間にかカルロスの側に近づき、目の前の男にハンカチーフで埃を祓う様に邪険にしていた。
えっと…その態度はどうなのか?
思わず脱力してしまうのは仕方ないと思うのよ。
さっきまでの緊張感は一体どこにいったのか?って感じになる。
周りの緊張感も少し抜けたような気がする。
気がするだけかもしれないけれどもね…
「済まない。少し遊びが過ぎたようだ。だがこれも必要なことだったんだ。」
スレインはそう言ってニコッと人の良い笑顔でカルロスに手を伸ばした。
「カルもごめんね。驚かせた。もうアイツの目も誤魔化せれたと思うから…それは私の方に渡してもらうね。」
すると、今度はカルロスの胸元にあった神玉が淡い光を灯して胸元から外れて浮遊し、スレインの掌の中に収まった。
そのまま光り輝き、私と妹、そして初代聖女であるアカリと今代の聖女である愛からカケラのような物が浮き上がり神玉に吸い込まれて行く。それを呆然と見守った。
やがて光が落ち着くと、スレインは私の側にに歩いて行き、手に刻まれた刻印にそっと触れた。
すると刻印された手が光りに包まれて、次第に刻印が消えていく。
痛みも無く、特に…いゃ、暖かさは感じるか。
やや左右差で刻印されていた方の手は冷たく感じていた。あくまで自分の感覚だ。だけれどもそれが同じ感覚に戻っていくようだ…
それを周りの者達は固唾を飲むように見守っていた。
「えっと…あなたは?」
神聖な雰囲気から、一気に元に戻る。
そうだよ、この人はいったい誰なのだろうか?
確かカルロスのアカデミーでの同級生であり友人で、親友だ。共に歩き話す姿を何度も見守ってきたのよ。
だけれども?この青年は本当にそのスレインで良いのか?
「このお方は、神…」
「あぁ、自分で名乗るよ。私はラミアの夫だった。前回死んで今世で君の友人として存在している。だから君の友人のスレインが今の私だ。」
「えっ、ええ~~~~~~~っ!!!」
何とも言えない衝撃の真実がまた一つ暴露された。
思わず皆んなで動揺する。
神々は何とも言えない顔をし、ディアブロはぷんぷん怒っている。
えっと?ディアブロ、貴方は一体どのくらいの身分なんだろうか?そしてどこまで知っている?
確かにあの時も私達の前に姿を現せた。
あの時平然と二神を従えるような言動もあった気がするし…
英霊達と共にカルロスの側にいた時も不思議ではあった。追求はしなかったけれども…
しとけばよかった…。
後、神ラミアの夫とこの青年が言うなら…そう言ったら、この二神よりも上位だと思う。親と言っても良いはずだ。
えっと??でも、『拒む』みたいなセリフも言っていなかった?
「ここで話すのも何だろう。少し次元を変えようか。今はディアブロだったか?頼んでも良いか?」
「そうですね。その方が宜しいかと。」
ディアブロがそう答えてパチンと指を鳴らすと、洞窟内に居たはずが…
周りの景色が一変した。
同席できているのは、私達と妹夫婦。息子とジャディール殿下。
神々は勿論だが、他の者達は??
「他の者達は洞窟外に出しているから安心するがいい。ん?あの者が居らぬな?」
「失礼いたしました。」
ディアブロがパチンと指を鳴らすと、今代の聖女である愛がびっくりした表情で姿を現した。
神バルマスールが黒い瞳の赤い瞳孔を細めて相手を見ていた。
ディール帝国の魔法騎士であるグランは、相変わらずスレインという青年に追随したままじっとしている。
シルバーはスレインに剣を向けたまま硬直していた。警戒ではなく動揺している感じか?
カルロスはジャディール殿下の腕の中に匿われているままだった。
「ラミアの騎士よ。いや、元騎士か?その剣は下ろすがいい。」
そう言って神バルマスールがシルバーの側に行き、剣を手で制して下ろさせた。
この神がそうするのなら、大丈夫なのだろうか?
大丈夫な気がする。姿は恐ろしくも感じるが、実際は心優しい神のような気がした。
神力はきっと強いだろうが…
「お前もその態度をやめろ。そんな態度であるからラミアの神玉が拒否するんだ。」
そう言って大きなため息を吐いた。
えっと??
夫や妹夫婦もどう対応するのが正解なのか悩んでいる様だ。
勿論、私も全然わからない。多分カルロスもそう感じているだろう。
神に対して人はどう対応して良いのか未だ掴みきれない。
カルロスに付き従う英霊達も驚愕の表情で見守っていた。
ただ一人だけ違って見えたが…
それでも、これはいい方なのか?それとももっと最悪が??
「これはいったいどう言うことじゃ?よく理解できぬが??何故ここで?」
神アルメルアがこてんと首を傾げる。
そして二神も多分だが、頭の中にはてなマークが浮かんでは消えているんだと想像する。
はっきり言って今後の展開が全然わからない。理解不能だ。同意しますよ。
思わずディアブロの方を見てしまうも…
この男は意味不明だが、カルロスに対しては…
「お遊びがひどすぎます。我が君に怪我などさせたら許しませんよ。」
そう言ってぷんぷんと怒ったような表情だ。
完全な怒りではないようだが…だが一体??
いつの間にかカルロスの側に近づき、目の前の男にハンカチーフで埃を祓う様に邪険にしていた。
えっと…その態度はどうなのか?
思わず脱力してしまうのは仕方ないと思うのよ。
さっきまでの緊張感は一体どこにいったのか?って感じになる。
周りの緊張感も少し抜けたような気がする。
気がするだけかもしれないけれどもね…
「済まない。少し遊びが過ぎたようだ。だがこれも必要なことだったんだ。」
スレインはそう言ってニコッと人の良い笑顔でカルロスに手を伸ばした。
「カルもごめんね。驚かせた。もうアイツの目も誤魔化せれたと思うから…それは私の方に渡してもらうね。」
すると、今度はカルロスの胸元にあった神玉が淡い光を灯して胸元から外れて浮遊し、スレインの掌の中に収まった。
そのまま光り輝き、私と妹、そして初代聖女であるアカリと今代の聖女である愛からカケラのような物が浮き上がり神玉に吸い込まれて行く。それを呆然と見守った。
やがて光が落ち着くと、スレインは私の側にに歩いて行き、手に刻まれた刻印にそっと触れた。
すると刻印された手が光りに包まれて、次第に刻印が消えていく。
痛みも無く、特に…いゃ、暖かさは感じるか。
やや左右差で刻印されていた方の手は冷たく感じていた。あくまで自分の感覚だ。だけれどもそれが同じ感覚に戻っていくようだ…
それを周りの者達は固唾を飲むように見守っていた。
「えっと…あなたは?」
神聖な雰囲気から、一気に元に戻る。
そうだよ、この人はいったい誰なのだろうか?
確かカルロスのアカデミーでの同級生であり友人で、親友だ。共に歩き話す姿を何度も見守ってきたのよ。
だけれども?この青年は本当にそのスレインで良いのか?
「このお方は、神…」
「あぁ、自分で名乗るよ。私はラミアの夫だった。前回死んで今世で君の友人として存在している。だから君の友人のスレインが今の私だ。」
「えっ、ええ~~~~~~~っ!!!」
何とも言えない衝撃の真実がまた一つ暴露された。
思わず皆んなで動揺する。
神々は何とも言えない顔をし、ディアブロはぷんぷん怒っている。
えっと?ディアブロ、貴方は一体どのくらいの身分なんだろうか?そしてどこまで知っている?
確かにあの時も私達の前に姿を現せた。
あの時平然と二神を従えるような言動もあった気がするし…
英霊達と共にカルロスの側にいた時も不思議ではあった。追求はしなかったけれども…
しとけばよかった…。
後、神ラミアの夫とこの青年が言うなら…そう言ったら、この二神よりも上位だと思う。親と言っても良いはずだ。
えっと??でも、『拒む』みたいなセリフも言っていなかった?
「ここで話すのも何だろう。少し次元を変えようか。今はディアブロだったか?頼んでも良いか?」
「そうですね。その方が宜しいかと。」
ディアブロがそう答えてパチンと指を鳴らすと、洞窟内に居たはずが…
周りの景色が一変した。
同席できているのは、私達と妹夫婦。息子とジャディール殿下。
神々は勿論だが、他の者達は??
「他の者達は洞窟外に出しているから安心するがいい。ん?あの者が居らぬな?」
「失礼いたしました。」
ディアブロがパチンと指を鳴らすと、今代の聖女である愛がびっくりした表情で姿を現した。
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