異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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未来のために

決着

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ディアブロが少し長くなりますからと、異空間からテーブルセットを取り出して、空いている場所にドンと置いた。
周りが者達がまるで異様な彫刻のオブジェのようだ。
戦闘体勢で時間を止めてしまっているのだから仕方がないのだろうが…
悪魔も神も、そしてここまで来た者たちもだから。
何とも言えない。さっき自分達もそうだったのだから。
我ら三人だけは意識はあったが…

だが、ディアブロの計画の一部かもしれないが、あの子が我ら三人の同席を認めた。
なら重要かつ大切な話だと思うから、真剣に聞かないといけない。

ふとアルホンスの方を見る。さて、なら記録も必要だろう。
懐に忍ばせた魔道具を…

「大丈夫ですよ、それを出していただいても。特殊な魔道具。記録を映像として残す物。改訂版で音声もですね。再録画は出来ないように思いますから。ただ~、全てもの者が視聴できるよは宜しくないので、付与された魔法陣を多少弄らさせていただきました。」
「まぁ、全ての者が見聞きできたら混乱が起こるからいか仕方がないが…相変わらずの力だな。」

そう言って、邪魔にならない場所に装置を置いた。
そして各自テーブルにつく。
すると置いたはずの魔道具が浮遊しだす。
これは風属性などの付与を魔法陣の中に織り込んだ特別な魔道具だ。
妻の異世界であった便利な物を聞きながら模索した魔道具の一つ。
浮かして撮影しするものだ。ただ、録画はまだ一度の使い切りになる。
魔道具の中に入れ込んである録画•再生機能があるカセットだ。
妻が『カセットだ!昔見たことある』と言ってその名をつけた。
今後は何度も使用できる様にしたいが…
まぁ、浮かぶ魔道具自体は何度も使用できるのだから、今後の課題として使っていくのだけれども…

そんなたわいもない事を考えていると、ディアブロは気にせずに各席にお茶を出し、ケーキも出しはじめた。
これは妻が好んだアップルパイだ。
あの子は季節によって取れる果物が入っているものをよく好んでいるからと、よく一緒に食べたと言い、私の所に戻ってきた時にも手土産として渡してくれた代物と同じだ。
妻が作るスィーツも気に入ってるが。
姉妹で良く作っていたというから…

「多少の糖分ですか?頭に必要ですからね。真剣な話ほど、このような物がある方が良い。どうぞ。」

そう言われて、素直に甥っ子が一番にフォークを使って食べ出した。
なら、我らもと口にする。
林檎の酸味と甘味。シナモンも少しだけ効かせている。
このシナモンは好き嫌いがあるからと妻が気にしていたけれど、私はこのくらいが良いとあの時思ったものと同じだ。


「じゃなくて!ディアブロ、続きを!」

ついついのほほんとしそうになるのを、気を引き締めてあの子がそう声をかけていた。
私達も頷き、ジャディール殿下はあの子を優しく見守っている感じだ。
さすが竜人族とも思えて、ついつい笑ってしまった。

「では、続きですが…初代聖女に力を貸したのは、神アルメルア達と同じ別次元の神です。聖女アカリがいた次元の神とも親しい間柄のようです。ですから、あの次元の近く。よく似た世界にカケラを飛ばしたのでしょう。そのカケラの神聖力と言う魔力を辿り、聖女がこの世界に召喚されています。」

「ちょっと待ってくれ。なら、我妻の方がそのカケラの保有者と言うことではないのか?聖女としてこの世界に来たのは沙也加の方だ。優里も一緒には渡ってきたけれど、彼女は聖女として鑑定されていない。」
「そうだ。そのせいで我妻は、自分の瞳と髪の色を奪われる結果になったんだ。」

確か私が作って渡した魔法薬だ。その件は我が家の者たちにも教えている。
多分、あの子の家族も伝えているだろうが…
ただ、この世界では特別な事であるから…


この世界で聖女はただ一人とされ、異世界から渡ってきた聖女は黒髪の黒い瞳の少女もしくは女性。
だが、前回は二人の異世界人である女性を呼び寄せてしまった。
妻の方が聖女としての力を持っていたから、妻は当時聖女としての選ばれ、巡礼の旅に出た。
私も一緒に同行したのは良い思い出だ。
だが、もう一人の女性。義妹になっているが、当時は身の安全なども含めて…強制的圧力を持って魔法薬を渡し、それを飲んで、黒色の瞳と髪を今の色に変えられたんだ。
まぁ、あの男。アルホンスの運命の番であったから、しっかりと囲い込みながら守り続けていたが。
それは今も変わらないか…

この世界に来る聖女の年齢は、年齢はだいたい十六歳から二十歳前後だ。
その件は理由は知らない。だが…

「はい。前回の召喚ではお二方共にカケラが存在していました。一つは聖女であるサヤカ。もう一つはユウリ様。ちなみに、マスター。我が主人の母君は『様』呼びです。サヤカは血が繋がっていたとしても、マスターの叔母君ですかたね。一緒に仕事をさせて頂いた仲ですので、その辺りはご理解ください。」

そう言い切った。
ディアブロの中での価値観なんだろうね。密かに格付けているようだ。

「その神の従者と言いますか、護衛騎士でもあるったのが、あのシルバーですよ。マスターの母君ががそうな付けをされて、契約をされましたから。そして、マスターに渡されたそのネックレスに付いている魔石とマスターが手にされた短剣の魔石がその神の核です。今は二分されていますが、本来は一つの神の核石です。その核石が分かれる際に散ったカケラにあの神の力を宿し、聖女達がいる世界に飛ばしたのでしょう。そして、マスターがこの世界に転生させるためには、どうしても彼女達。ユウリ様とサヤカが必要だった。お二人は双子。多分、母体内でお互いがその神のカケラを分け合った。サヤカの方が多く吸収して『聖女』の判定を受けたのでしょう。ユウリ様にも特殊なお力があったはず。力の強い精霊や妖精を従える御力が。どうですか?」

「確かに、私の妻は精霊や妖精と親しく契約もして…」

「亡き神の力の一部を宿されていたのですから。良質なポーションとかを人並み以上に作られていたと思いますが?」
「あぁ、確かにかなり高品質なポーションを多く作っていた。精霊や妖精にもお願いしながら…納得した。」

私達やジャディールも大いに頷いていた。
私達は前回の聖女召喚もそうだが、扉に関しても関係していたからだ。
しかも、お互いの伴侶のことだから…

「亡き神の事。カケラに関しては理解した。納得は…まぁまぁだが…」
「まぁ、内容が内容ですしね。で、続きですが…」

ディアブロが何かを気にしたけれど、大丈夫そうだと判断したようだ。

「仮にも神ですからね。クフフフフ。頑張っているようですが、それでは私の術は解けませんよ。では…おっと失礼いたしました。御かわりです。」

そう言って空になったティーカップに新たに注いでくれた。
うん、これも美味しい…香りもいいな…
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