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未来のために

決着

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テーブルを囲ってみんなで椅子に座り、現在調べられている洞窟内の地図を見る。
これは息子達が準備してくれたものだ。

ホント、ゲームとかにあるダンジョンの様だ。
私だって、向こうの世界でいた頃にはゲームもした事がある。
のめり込む程は遊んでいないけれど…
そして、この世界にもダンジョンがある事は知っている。夫と行ったことがあった。
子供達も連れてだった記憶がある。
あれはあれで楽しかった。夫と私、もしくは子供達で競争もした。
勿論、競争は初級者用のダンジョンだったんだけどね。
初級だよね?

で、今広げられている地図。

「現在確認されている物をここに記載している。『異世界の扉』の周辺は、何が起こるかわからないから、これが絶対とは言い切れない。新たな魔物や魔獣が生息している可能性も否定できない。」

地図に書かれている物は、入り口付近は低級のもの。スライムやスケルトン。ゴブリンと言った感じか。
奥に行くほど種類が変わるけれど…
口頭での説明で知っていたけれど、それに未来視でも見たしね。
でも、地図に書き起こしたらこんな感じなんだね。

「この辺りには植物系の魔物ですか?暗闇に??」
「あぁ、この辺りは一部天井に亀裂が入ってか、大きな穴が空いている。太陽の光が多少はいるためと、元々山脈であるから、植物の種子が落ちて根付いたりしているからだろう。」

種子が高濃度の魔素に触れて魔物に進化する事も、魔獣化する事もある。そのせいだろう。
この世界、本当に向こうでは信じられないモノが多く生息しているから、それらも影響しているのだろう。

「で、この辺りだが…」

ある一点を指し示された。洞窟内の分岐点だ。そして…

「カル、私の家族には伝えてあるの。あのノートに記載されていた事。だからね…」

ついつい悲しくなる。あの時のカルを思い出してしまった。
ノートに書かれている事を私達に知られた時のカル…
あの時と同じように顔色が悪い。

「そっか。知ってるんだ。そうだよ、ここで闇堕ちした僕は聖女一行と会って交戦するんだ。そしてディ…ジャディール•アステード殿下に殺される。僕を殺害した後、彼は魔力暴走を起こして聖女の力で暴走は抑えられるんだ。そして二人は手を取り合って仲間と共に奥に進み、扉まで到達。到達までに時間がかかり過ぎた場合は、悪魔達が出て来てしまう。小悪魔ぐらいなら討伐して扉を閉めて施錠し、神々の祝福と共に世界は落ち着き、ハッピーエンド。中級の悪魔が出た場合はかなりの被害が出て、仲間の中にも死傷者が出る。上位の悪魔が出ればバッドエンドだ。全滅し、やがて世界は駆逐される。」

実際にカルの口から聴けば、夫も息子達も表情が固まる。
そして、前に聴いたはずなのに、召喚された英霊メンバーも…

「こんな場所でマスターが…」
「拉致されて、散々なぶられ洗脳までされて、『運命の番』に殺されてしまうなんて…」
「哀れと思って、自分の番を殺してしまう方も辛いけれど、殺害されてまだ息があるだろう時に聖女に取られてしまうんだろう?それも何と言うか…」
「息が無くても、共にでないのは何とも言えない。悲しすぎるよ…」

「えっと~、そっち!?いやいや、そっちじゃなくて、扉までの到達時間によって世界がどうにかなる方が…」

皆んながシクシクし出し、エドワードはしっかり私を抱きしめて慰めている。
だって辛すぎるのだもの。
ディアブロとディアはと言うと、さらに凄い顔で泣いている。


「えっと…僕は実際は拉致されたけれど無事だし、聖女に色々されたけれど、聖女一行でも~まだあるのかな??」

『もう離脱したから、それは違う気がするけれど…』とぶつぶつ言っている言葉もしっかり耳に入っていた。

「そっ、そうよね。うん、実際は違うよね~~」

そう言っていきなりカルを抱きしめたのは、私の大切な妹とその家族だった。
さっきこっちに到着したようで、夫がそっと伝達魔法陣を飛ばしてこちらに呼んだようだ。
さすがだ。


「母様?それに父様と兄様達。」

カルロスは、家族みんなに抱きしめられていた。
皆んなに愛されているのよね…
うんうん、叔母さんは嬉しいよ。

「カル…カルロス~~~~」

もう妹の目が無くなってしまうのではないかというぐらいに泣いてしまい、彼の兄達は涙を堪えている。姉は…彼女の夫の腕の中で泣いていた。
うん流石竜人族。家族であっても余り触れさせたくないんだね。あれ?あの子も誰かの腕の中で…

「兄上?その人は?」

場違いに思えるその人を、ついついカルは指差してしまっていた。
本当は、指差してはいけないんだけれども…今は良いとしよう。
叔母さまはツッコミはしないでいてあげるよ。

「あぁ、初めましてと言った方が良いか?私はルーズベルト•アステード。アステード王国の王子だよ。そして君の義兄だ。よろしくね。」

「えっと…カルロス•セイクリオンです。よろしくお願いします?」
「ふふふっ、何で疑問系なのかは今は問わないよ。大体は予想つくからね。それにしても凄い面々だ。ディール帝国前皇帝及び皇帝方、この様な場で急に押しかけてしまい申し訳ありません。私も家族の一員となりましたので、今後ともよろしくお願いします。また、国家間でも…」
「あぁ、報告は受けているし、連絡も受けているから大丈夫だ。今は甥っ子を中心とした家族とその仲間達であるから、仰々しい対応は控えよう。」

そう言って笑い合っている。
涙が止まったカルの兄は、殿下の腕から逃れてカルの方に飛びついて来た。

「えっと、おめでとうございます?」
「ふふふっ、疑問系だね。私も何でこうなったのか…逃げて来たんだけれどね~逃げきれなかったよ。竜人族の執着は凄まじいからね。カルも気をつけるように。もう手遅れかもしれないけれどね…」

何とも言えない顔をしている。確かあの子はは文官として王城に勤めていたはず。うん、捕まったんだね。
妹家族の微笑ましい姿を見て、私達も少し笑顔を取り戻した。
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