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未来のために
未来のために
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沙也加を通して義兄弟となったアルホンス•セイクリオンに伝達魔法陣を飛ばす。
神から得た情報や、子飼いから得た情報などだ。
妻が眠りにつく前から幾度か会ったり、このような方法でやり取りはしていた。
妻が眠りについてからは、ほぼこの方法だが。
何せ、あの時取り逃した男がいつ妻の身体を奪いに来るか、もしくは同じ考えの者が現れ、奪おうとするかわからなかったからだ。
あの男、マルクスは、『聖女』や『異世界人』にかなりの執着を示していた。
つい最近では、甥っ子であるカルロスに手を出して、あの子の英霊達に返り討ちにあっていた。
カルロスに手を出したのは、異世界人の母親の血を注いだ黒髪ヒト族の子供であるからだろうが…
黒髪の子供達は、魔力が多い。しかもヒト族で、母親が異世界人であるから、他の子供に触手を伸ばさなかったあの男が興味を持ったのだろう。
ヒト族をまるでモルモットのように研究する魔術師は魔塔に多かった。
現在では禁止されているが、それでも闇市で奴隷のように売買して買取…
気に食わぬが…
まぁそれらによって、今眠りについている妻の身体を奪いに来る可能性が高いと、私が守り人をかってでているのだ。
過去にも、彼女達の力や生態を研究したいとする者達は過去にも多くいた。
力を求めて奪い合う事も過去にはな…
まぁ、それなりの神の制裁もあったようだが…
だが、あの男の執着は異常のように思っていた。
もしかしたら、例の神シルメールとも関与している可能性も…
神アルメルアの双子神。
厄災を楽しむ厄介な神だ。
あの時も、障壁を一部破壊しての惨事もあの神が関与していたし、扉の件も…
我妻の左手に残された呪いの刻印とされる痣も…
あの時からの呪いは…彼女の聖女としての力と、神の加護。そして、この神殿の守りと護りで…
「はぁ…………。後どのくらい待てば良いのか…」
そう呟いていたら、彼女が私の前に姿を現した。
あの時と同じ姿で…
「沙也加…」
「エド。ちょっと緊急事態なの。力を貸して。」
そう言って近づく彼女に手を伸ばし、抱き締める。
あの子の力によって受肉された身体であるが…魂は彼女のまま…
そっと頬に手を伸ばし、唇を奪う。
何か言いたげにしたが…素直に口を開いて受け止めてくれる。
彼女の口内を蹂躙して、その先を…
トントン背中に回されていた手で叩かれる。
今はそのまま流されてはくれないようだ…
「ん…はぁ~~~。もう!今はまだダメ。嬉しいけど、こんなことしてる時間ないの。また今度…ね!」
そう言って、腕の中から逃れられてしまった。
残念…
「あの聖女、愛…いゃ、アイと言った方がいいよね。あの子のせいで、カルロスの立場がかなり困ったことになっているの。大体、浄化の際にあの子の体を媒体にして、しかも力まで奪って使い捨てにするように酷使しておいて、役ただずのレッテル貼ったうえに、更なる悪態をついてくるんだから。しかも、あの子の運命の番であるジャディール•アステードに手を出そうなんてね。あの子が描いていたノートにもそれっぽい事は書いていたけれど…」
「ん?我が甥っ子がノートに何を書いていたって?」
『あっ、しまった…』そんな表情をしている沙也加。その表情も可愛いけれど、それはとても大切な情報なのでは?
「詳しく聞かせてもらおうか?」
そう言ってまた腕の中に閉じ込めて問いただした。
問いただした情報には、驚きの事実があった。
運命の子である彼は、妻が言うには『転生者』。この世界で知識を持ったままの生まれ変わりではなく、彼女がいた世界と類似した…今回召喚された聖女がいた世界からこの世界に転生してきた者だと判明した。
『今回の聖女と同じ異世界』と感じた沙也加からの情報と、子飼いが集めてきた聖女の行動と言語からだ。
もしかしたら沙也加と同じ異世界かも知れないが…彼女の知らない情報が多く、別次元もしくは別の時間軸なのかも知れない。彼女が言う『ゲーム』や『アニメ』が何かはよくわからなかったが、この世界のボードゲーム等とは異なるものだとは理解できた。彼女がいた世界では、甥っ子がノートに記載していたような『ゲーム』『小説』『アニメ』の内容は公開されていなかったらしい。
何ともいえない…理解に苦しむが、そこは何とか無理やり理解することにした。
更なる気合いが必要だ。そして、十分すぎるぐらいに準備をして対応していく必要性がある。
「なるほど…」
そう呟いてから、彼女に新たに得た情報などからも考えられること。そして、対応について伝えていった。
彼女はあまり時間がないのか、子供達に会う事もなく急いで戻っていった。
子供達は、前回も会えずに残念がっていたけれど…
また拗ねたり文句を言ってくるだろうが…取り敢えず、全ての内容を簡素化させて魔法陣に織り込み子供達に送った。
案の定、文句の返事が返ってきたのは言うまでもない。
神から得た情報や、子飼いから得た情報などだ。
妻が眠りにつく前から幾度か会ったり、このような方法でやり取りはしていた。
妻が眠りについてからは、ほぼこの方法だが。
何せ、あの時取り逃した男がいつ妻の身体を奪いに来るか、もしくは同じ考えの者が現れ、奪おうとするかわからなかったからだ。
あの男、マルクスは、『聖女』や『異世界人』にかなりの執着を示していた。
つい最近では、甥っ子であるカルロスに手を出して、あの子の英霊達に返り討ちにあっていた。
カルロスに手を出したのは、異世界人の母親の血を注いだ黒髪ヒト族の子供であるからだろうが…
黒髪の子供達は、魔力が多い。しかもヒト族で、母親が異世界人であるから、他の子供に触手を伸ばさなかったあの男が興味を持ったのだろう。
ヒト族をまるでモルモットのように研究する魔術師は魔塔に多かった。
現在では禁止されているが、それでも闇市で奴隷のように売買して買取…
気に食わぬが…
まぁそれらによって、今眠りについている妻の身体を奪いに来る可能性が高いと、私が守り人をかってでているのだ。
過去にも、彼女達の力や生態を研究したいとする者達は過去にも多くいた。
力を求めて奪い合う事も過去にはな…
まぁ、それなりの神の制裁もあったようだが…
だが、あの男の執着は異常のように思っていた。
もしかしたら、例の神シルメールとも関与している可能性も…
神アルメルアの双子神。
厄災を楽しむ厄介な神だ。
あの時も、障壁を一部破壊しての惨事もあの神が関与していたし、扉の件も…
我妻の左手に残された呪いの刻印とされる痣も…
あの時からの呪いは…彼女の聖女としての力と、神の加護。そして、この神殿の守りと護りで…
「はぁ…………。後どのくらい待てば良いのか…」
そう呟いていたら、彼女が私の前に姿を現した。
あの時と同じ姿で…
「沙也加…」
「エド。ちょっと緊急事態なの。力を貸して。」
そう言って近づく彼女に手を伸ばし、抱き締める。
あの子の力によって受肉された身体であるが…魂は彼女のまま…
そっと頬に手を伸ばし、唇を奪う。
何か言いたげにしたが…素直に口を開いて受け止めてくれる。
彼女の口内を蹂躙して、その先を…
トントン背中に回されていた手で叩かれる。
今はそのまま流されてはくれないようだ…
「ん…はぁ~~~。もう!今はまだダメ。嬉しいけど、こんなことしてる時間ないの。また今度…ね!」
そう言って、腕の中から逃れられてしまった。
残念…
「あの聖女、愛…いゃ、アイと言った方がいいよね。あの子のせいで、カルロスの立場がかなり困ったことになっているの。大体、浄化の際にあの子の体を媒体にして、しかも力まで奪って使い捨てにするように酷使しておいて、役ただずのレッテル貼ったうえに、更なる悪態をついてくるんだから。しかも、あの子の運命の番であるジャディール•アステードに手を出そうなんてね。あの子が描いていたノートにもそれっぽい事は書いていたけれど…」
「ん?我が甥っ子がノートに何を書いていたって?」
『あっ、しまった…』そんな表情をしている沙也加。その表情も可愛いけれど、それはとても大切な情報なのでは?
「詳しく聞かせてもらおうか?」
そう言ってまた腕の中に閉じ込めて問いただした。
問いただした情報には、驚きの事実があった。
運命の子である彼は、妻が言うには『転生者』。この世界で知識を持ったままの生まれ変わりではなく、彼女がいた世界と類似した…今回召喚された聖女がいた世界からこの世界に転生してきた者だと判明した。
『今回の聖女と同じ異世界』と感じた沙也加からの情報と、子飼いが集めてきた聖女の行動と言語からだ。
もしかしたら沙也加と同じ異世界かも知れないが…彼女の知らない情報が多く、別次元もしくは別の時間軸なのかも知れない。彼女が言う『ゲーム』や『アニメ』が何かはよくわからなかったが、この世界のボードゲーム等とは異なるものだとは理解できた。彼女がいた世界では、甥っ子がノートに記載していたような『ゲーム』『小説』『アニメ』の内容は公開されていなかったらしい。
何ともいえない…理解に苦しむが、そこは何とか無理やり理解することにした。
更なる気合いが必要だ。そして、十分すぎるぐらいに準備をして対応していく必要性がある。
「なるほど…」
そう呟いてから、彼女に新たに得た情報などからも考えられること。そして、対応について伝えていった。
彼女はあまり時間がないのか、子供達に会う事もなく急いで戻っていった。
子供達は、前回も会えずに残念がっていたけれど…
また拗ねたり文句を言ってくるだろうが…取り敢えず、全ての内容を簡素化させて魔法陣に織り込み子供達に送った。
案の定、文句の返事が返ってきたのは言うまでもない。
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