異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

未来のために

未来のために

「サヤカ様。この後どうされますか？」

朝食後、入れてもらった紅茶を美味しく飲みながら、そっと外を眺めていた。
何だかいつもと違う気がして…

まぁ、三日も抱き潰されたんだじゃら、違うと言えば違うんだよね。
しかも、初めてだったのよ…

友人達の情報や、向こうの世界で世間一般に出回っていた薄い本での内容ぐらいは知識としてはある。
あと、この世界でだって、恋愛行動をしているもの達も、よく見たらいたりもする。

聖女として巡礼中に魔力枯渇を起こした場合の処置として…なんて事も、教えてはもらっていた。
実際には…エドワード以外からは魔力譲渡はされなかったし、方法もそのなんだ…
あそこまではされなかったわけで…

そうそう、せいぜいキス止まり。

そういえば、どうして彼以外からはされなかったんだろうか？
皆んなから譲渡目的でキスされまくるのもどうかと思うけれど…
うん、まるで痴女の妄想になりそうだ。

手で握る動作も譲渡になる。枯渇まで行った場合の処置としては、かなりの時間がかかるけれど。
多くの魔力を一気に受け渡すには…相手の体液が一番って言っていた。
体の奥に取り込めれば取り込むほど…

これは、巡礼の旅の前に必要事項として教えられた事だったけど…

うん、皆んなにされたら恥ずかしい。
でも、皆んなはその覚悟もあったって事？？

今更だけど～～～～～～

「サヤカ様？」

「えっと、大丈夫…え？？」
「え？」

侍女から声をかけられて、見上げた時に映り込んだ姿で思いっきり驚いた。
お茶の入ったカップを落としそうなぐらいにだ。
落としてはないけどね。
なんとか落とさずにテーブルに戻して、呆然と…

「えっと？どうしてここに？」

巡礼の旅は終わって、解散した。
本来の基本は、全員揃って一旦『ヒト族の国』ロザリアン神聖国に戻り、各国の代表者が揃った場で報告。
褒美をいただいて、祝うの場を設けられてから解散だ。

でも、今回はエドワードがどの様な手を使ったのか知らないけれど、私と彼はこの国に留まり、報告は『ヒト族の国』ロザリアン神聖国　皇太子の特別配慮として聖職者であり、第二皇子であるリシャール・ロザリアンが全て報告を行った。褒賞は後で各国に送り届けられて、自国で受理出来るようになると聞いている。
自分達の母国の復旧を急いでしたいとの申し出としてだ。

で、帰ったはずなんだけど？？

「あぁ、私は一度自国に戻らさせていただきましたよ。以前よりエドワード殿下にお願いをしていて、今回の褒賞の一部の権利としてサヤカ様にお仕えする権利を頂きました。よって、私事エレン・ガードナーは、サヤカ様の専属侍女兼護衛。そして薬師として生涯共にいさせていただきます。我が主サヤカ様。」

そう言うと、私の足をそっと取って靴を脱がせ、その爪先にキスを贈られた。しかも両足…


すると、なぜか足の甲が一瞬光った。
えっと？なぜ光る？

「神々のお許しも得れたようです。嬉しい。」

そっと戻されて、ドレスの裾も綺麗に直され、スッと立ち上がったエレンの左手の甲には、以前あった巡礼メンバーの印とは違う印が…

「これは、神から許された特別な刻印です。これで私達は神に認められた主従関係。ふふふっ。」

「そんなのあり？？」
「さぁ、せっかくのお天気ですから、少し外に行きませんか？」

そっと手を取られて、まるで騎士にエスコートされる姫君のようだ。
侍女姿のエレンにだけれども…

「もう、考えるのやめ。うん、せっかくの天気だから、外に行こう。」

そう言って二人で外に出て行った。
まぁ、背後に護衛の騎士達もいたんだけどね…