135 / 193
扉
試練
しおりを挟む
目的地に着いたのは、夕陽が沈みかけた頃合いだった。
道すがら魔獣と出会し討伐を行なっていたからだ。
上空に見える扉は、以前と変わった感じは見受けられない。
うん、変わってないよね?
「開き具合は変わっていないように見えるが…」
そう言って、確認して来るから、他の者達は休むように言われた。
オズバンもエレンもかなりの強行突破でここまで駆け抜けてきたから、疲労が溜まっているだろう。
宿泊用に整えられた建物内に入っていき、身体を休めて来ると言っていた。
私はここで待っていようと思っていたのだが、女性騎士達に促されて準備されている部屋に行くことになった。
既に湯の準備がされており、身体を休めるためにもと促されて湯船に浸かっている。
癒しの効果を促す目的にか、ほのかに優しい香りがする。
湯もトロミが付いている感じで、肌がしっとりし、かなり癒された。
「湯加減はいかがですか?」
時折声をかけられて、大丈夫だと伝えておいた。
城では大分となれたとはいえ、侍女達に傅かれて世話をされていた。
ここでは女性騎士達が世話を焼いてくれている。
剣を握るためか、侍女達に比べて掌が硬いが、それでも女性であるからしっかりと手入れされているのだろう。
彼女達は貴族の者が多いようだったが、もと平民の仲間にも気さくに対応する優しい女性達でもあった。
自分で着替えれると言っても世話を率先として行われ、髪もしっかり魔法で乾かされた。
生活魔法の一種だろうか?便利だと思う。
私のは使えないけど…
ん?使った事ないだけかもしれない。今度実践してみよう。
世話されるのになれすぎて、自分では使った事なかった。
私が使ってきたのは、浄化ばかりだったから。
一部治癒も行ったけれどね…
基本、世話はエレンがしてくれていたし、この所はエドワードが率先してしてくれていた。
エドワードはかなりのチート能力保持者のようで…
うん、彼がいないとダメな人間にされそうだ。
いゃ、今はそんな事はどうでも良いか…
着替えてみんなの元に行く。
既に巡礼メンバーのみんなは席につき各々で食事をとっていた。
私も席につき食事をいただく。
私の横の席はまだ空席だ。
エドワードはどうしているのだろうか…
そう思っていたら、彼が部屋に入ってきた。
「沙也加は疲れ取れた?」
そう言って気さくに声をかけながらテーブルについた。
食事を担当している騎士達が食事と共に飲み物を彼の前に置く。
私も既に同じ物をいただいていたから…
「私の方は大丈夫。エドワードは?」
そう言って、たわいもない会話を行った。
扉の件は後でみんなに話すからその時にと前置きされたから。
「そうそう、さっきアルホンス殿達が到着したようだ。今日は疲れているようだから、明日朝食を共にしようって事にしておいたよ。」
「怪我とかは?」
「大丈夫。直ぐに会いにいきたいだろうけど、今日は休ませてあげよう。明日の朝、さっき確認してきた事も踏まえて話したいしね。」
そう言われてしまえば、妹の所に突撃するわけには…いかないか…
妹の手紙で、彼らは婚姻したと言っていた。
自分は参加出来なかったけれど、小規模での婚姻。
この世界の今の状況が落ち着けば、きちんとした結婚式を行うから、その時は絶対に来てねとも。
うん、その時は絶対に行くし、私も…
「ん?どうした?顔が赤いよ?」
そっと覗き込みながら、私の指にハマっている指輪をスルッと撫でられ唇が寄せられた。
これは絶対にわかってやっていると思う。
「なんでもない。早く食べて、皆んなに…」
「そうだね。皆んなに伝えないといけないね。」
そう和かに微笑まれて、さらに顔に熱を持つ。
この所、この男の対応が…なんとも言えなくなるのは何故なんだろうか。
そっぽを向いて、黙々と食べる。
クスクスと笑われて、『可愛い』と艶のある声で呟かれる。
その姿を皆んなに見守られているとは思っても見なかった。
道すがら魔獣と出会し討伐を行なっていたからだ。
上空に見える扉は、以前と変わった感じは見受けられない。
うん、変わってないよね?
「開き具合は変わっていないように見えるが…」
そう言って、確認して来るから、他の者達は休むように言われた。
オズバンもエレンもかなりの強行突破でここまで駆け抜けてきたから、疲労が溜まっているだろう。
宿泊用に整えられた建物内に入っていき、身体を休めて来ると言っていた。
私はここで待っていようと思っていたのだが、女性騎士達に促されて準備されている部屋に行くことになった。
既に湯の準備がされており、身体を休めるためにもと促されて湯船に浸かっている。
癒しの効果を促す目的にか、ほのかに優しい香りがする。
湯もトロミが付いている感じで、肌がしっとりし、かなり癒された。
「湯加減はいかがですか?」
時折声をかけられて、大丈夫だと伝えておいた。
城では大分となれたとはいえ、侍女達に傅かれて世話をされていた。
ここでは女性騎士達が世話を焼いてくれている。
剣を握るためか、侍女達に比べて掌が硬いが、それでも女性であるからしっかりと手入れされているのだろう。
彼女達は貴族の者が多いようだったが、もと平民の仲間にも気さくに対応する優しい女性達でもあった。
自分で着替えれると言っても世話を率先として行われ、髪もしっかり魔法で乾かされた。
生活魔法の一種だろうか?便利だと思う。
私のは使えないけど…
ん?使った事ないだけかもしれない。今度実践してみよう。
世話されるのになれすぎて、自分では使った事なかった。
私が使ってきたのは、浄化ばかりだったから。
一部治癒も行ったけれどね…
基本、世話はエレンがしてくれていたし、この所はエドワードが率先してしてくれていた。
エドワードはかなりのチート能力保持者のようで…
うん、彼がいないとダメな人間にされそうだ。
いゃ、今はそんな事はどうでも良いか…
着替えてみんなの元に行く。
既に巡礼メンバーのみんなは席につき各々で食事をとっていた。
私も席につき食事をいただく。
私の横の席はまだ空席だ。
エドワードはどうしているのだろうか…
そう思っていたら、彼が部屋に入ってきた。
「沙也加は疲れ取れた?」
そう言って気さくに声をかけながらテーブルについた。
食事を担当している騎士達が食事と共に飲み物を彼の前に置く。
私も既に同じ物をいただいていたから…
「私の方は大丈夫。エドワードは?」
そう言って、たわいもない会話を行った。
扉の件は後でみんなに話すからその時にと前置きされたから。
「そうそう、さっきアルホンス殿達が到着したようだ。今日は疲れているようだから、明日朝食を共にしようって事にしておいたよ。」
「怪我とかは?」
「大丈夫。直ぐに会いにいきたいだろうけど、今日は休ませてあげよう。明日の朝、さっき確認してきた事も踏まえて話したいしね。」
そう言われてしまえば、妹の所に突撃するわけには…いかないか…
妹の手紙で、彼らは婚姻したと言っていた。
自分は参加出来なかったけれど、小規模での婚姻。
この世界の今の状況が落ち着けば、きちんとした結婚式を行うから、その時は絶対に来てねとも。
うん、その時は絶対に行くし、私も…
「ん?どうした?顔が赤いよ?」
そっと覗き込みながら、私の指にハマっている指輪をスルッと撫でられ唇が寄せられた。
これは絶対にわかってやっていると思う。
「なんでもない。早く食べて、皆んなに…」
「そうだね。皆んなに伝えないといけないね。」
そう和かに微笑まれて、さらに顔に熱を持つ。
この所、この男の対応が…なんとも言えなくなるのは何故なんだろうか。
そっぽを向いて、黙々と食べる。
クスクスと笑われて、『可愛い』と艶のある声で呟かれる。
その姿を皆んなに見守られているとは思っても見なかった。
1
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる