128 / 193
扉
扉
しおりを挟む
目が覚めると、もうあらかた片付けられていた。
数人を残して移動は同様だと思ったけれど、この人数で誰を残すのだろうか?
いつもは、他にも騎士達がいたから残って確認作業も出来ただろうけれど…
「ん?どうした?」
「いつもの確認作業をどうするんだろうと思っただけ。今回は時間もあまりないこともあって、必要最低限の人数しかいないし…」
「あぁ、その点は大丈夫だ。既に兄上に伝達魔法陣を飛ばしておいたから、向こうで手筈を施してくれている。もともとその予定にもしてあったからね。それりも動けそうか?もう少し休んで?」
「えっと、どのくらい時間がたった?」
「小一時間ぐらいか。簡単な調査もできたから、問題はない。それよりもどうする?行きたいと言っていた場所に行けそうか?」
そうだ、言われていた場所に向かわないといけなかった。
確かこの近くに神殿跡地があると言っていた。言われた場所と多分一致していると思う。
時間もそんなにかけられないから…
「大丈夫。行きましょう。連れて行って。」
「わかった…」
そう言われて、伸ばされた手に捕まって立ち上がる。
グイッと引き寄せるように立ち上がらせてもらったので、スッと立ち上がれたし、直ぐに腰に腕を回されて支えてもらったので、ふらつくこともなかった。
彼の馬に乗せられて、目的地に移動する。
もちろん、メンバーもついて来てくれた。
「ほら、あそこだ。」
一部崩れた所や、蔓草が絡まっている場所が見えたが、その場所自体は神聖な雰囲気が醸し出されていた。
古く隠されたような遺跡を思わせる。
床には、古ぼけている石畳の隙間に所々に草花が咲いていた。
奥には身を清めるのに使われたと想像できそうな泉のようなものも見えた。
「素敵な場所だね。こんな場所があるなんて…」
「遥か昔、神がこの地に降り立ち、泉が湧いたと伝承された場所だ。神殿側が時々整備には来ていたはずだが、森の中で、住民も今は里の方に降りてしまったから…」
なるほど…、確かに誰も訪れることがなくなりかけたら…そうなるよね…
でも、少しは手入れされてるんだ。
でなければ、きっと草木に覆い隠されて、埋没しそうだものね…
馬から下ろされて、建物の入り口らしき所に向かう。
中は少しひんやりしていた。
よく見ると、奥は洞窟と接した建て方になっているようだった。
一方中に…
いきなりの違和感で、背後を振り向くと、そこには誰もいなかった。
「エドワード?えっ?みんな??」
建物も廃墟がいきなり綺麗な建物に変貌していた。
まるで建てられたばかりのように真新しくも感じる。
「こっ、これは…」
唖然として、思考が止まる。
すると、不思議な音が奥から聞こえて来た。
そう、まるで鈴の音が響いている感じだ。
引き寄せられるように向かう。
目の前にアーチ上の門が見え、潜ると広い庭園が見えた。
「よく来たな。待っていたよ。」
そう言って現れたのは、あの時の少女の姿をした神アルメルアだった。
数人を残して移動は同様だと思ったけれど、この人数で誰を残すのだろうか?
いつもは、他にも騎士達がいたから残って確認作業も出来ただろうけれど…
「ん?どうした?」
「いつもの確認作業をどうするんだろうと思っただけ。今回は時間もあまりないこともあって、必要最低限の人数しかいないし…」
「あぁ、その点は大丈夫だ。既に兄上に伝達魔法陣を飛ばしておいたから、向こうで手筈を施してくれている。もともとその予定にもしてあったからね。それりも動けそうか?もう少し休んで?」
「えっと、どのくらい時間がたった?」
「小一時間ぐらいか。簡単な調査もできたから、問題はない。それよりもどうする?行きたいと言っていた場所に行けそうか?」
そうだ、言われていた場所に向かわないといけなかった。
確かこの近くに神殿跡地があると言っていた。言われた場所と多分一致していると思う。
時間もそんなにかけられないから…
「大丈夫。行きましょう。連れて行って。」
「わかった…」
そう言われて、伸ばされた手に捕まって立ち上がる。
グイッと引き寄せるように立ち上がらせてもらったので、スッと立ち上がれたし、直ぐに腰に腕を回されて支えてもらったので、ふらつくこともなかった。
彼の馬に乗せられて、目的地に移動する。
もちろん、メンバーもついて来てくれた。
「ほら、あそこだ。」
一部崩れた所や、蔓草が絡まっている場所が見えたが、その場所自体は神聖な雰囲気が醸し出されていた。
古く隠されたような遺跡を思わせる。
床には、古ぼけている石畳の隙間に所々に草花が咲いていた。
奥には身を清めるのに使われたと想像できそうな泉のようなものも見えた。
「素敵な場所だね。こんな場所があるなんて…」
「遥か昔、神がこの地に降り立ち、泉が湧いたと伝承された場所だ。神殿側が時々整備には来ていたはずだが、森の中で、住民も今は里の方に降りてしまったから…」
なるほど…、確かに誰も訪れることがなくなりかけたら…そうなるよね…
でも、少しは手入れされてるんだ。
でなければ、きっと草木に覆い隠されて、埋没しそうだものね…
馬から下ろされて、建物の入り口らしき所に向かう。
中は少しひんやりしていた。
よく見ると、奥は洞窟と接した建て方になっているようだった。
一方中に…
いきなりの違和感で、背後を振り向くと、そこには誰もいなかった。
「エドワード?えっ?みんな??」
建物も廃墟がいきなり綺麗な建物に変貌していた。
まるで建てられたばかりのように真新しくも感じる。
「こっ、これは…」
唖然として、思考が止まる。
すると、不思議な音が奥から聞こえて来た。
そう、まるで鈴の音が響いている感じだ。
引き寄せられるように向かう。
目の前にアーチ上の門が見え、潜ると広い庭園が見えた。
「よく来たな。待っていたよ。」
そう言って現れたのは、あの時の少女の姿をした神アルメルアだった。
1
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる