異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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早朝、浄化巡礼のメンバーと共に騎乗して現地に向かった。
他の護衛の騎士達も同行を願ったが、扉周辺地域で魔獣が出現しだし、そちらの討伐に戦力が必要になったため私達だけとなったのだ。

相変わらず、私一人では乗りこなせず、エドワードに乗せてもらっている。

「もう少しでアルングスト山脈に入ります。」

そう言って先頭を走っていたディオルグが並行して教えてくれた。
今先頭に走っているのはオズバンだ。『獣人の国』エステバン獣王国からの狼の獣人騎士である彼は、嗅覚が鋭いし、俊敏性にたけているため、先頭から周囲を確認して進むのに適していた。並行から先頭に戻り、オズバンと並行して走るディオルグは『竜の国』アステード王国竜人族の騎士であり、戦闘能力は高いが、いささか脳筋気味なところがある。襲撃者を薙ぎ倒すには都合が良いのだけれどね…
二人の後をエドワードと同乗している私。そしてその後ろに『妖精の国』オリクサ王国戦闘エルフのエレンと『ヒト族の国』ロザリアン神聖国ヒト族聖職者のリシャールが並走していた。

山脈に差し掛かると、途中から街道が細くなり、一部土砂が崩れかけた危険な場所も見受けられた。が、そこはエドワードの魔法とオズバン、ディオルグの力業で解決していった。

「本来なら、もう少し鳥の鳴き声や獣が現れてもおかしくはないのだけど…」

エレンがリシャールにそう呟いた。

「そうですね。ですが、向こうのあたりから少し空気の澱みを感じますから、その影響かもしれませんよ。」

遠くに見える谷間を指差す。
少し深い谷間のようにも見える場所。
確かにこちらから見ても異様な雰囲気を醸し出していた。

ある程度走っていき…

「この辺りから歩いていきましょう。少し先に行って来ます。」
「俺も行こう!」

そう言って、ひらりと馬から降りて、そっと顔を撫でて何やら呟き離れていった。
もう何度か見て来たけれど、この世界の優秀な馬は、自分で考えて主人の元に駆けつける事ができるのはすごいと思う。
いざという時危機的状態の時は、我が身を犠牲にしても助けたりする事もあるのだとか。
それだけの信頼関係があると言う事なんだろうけれど…

「じゃあ、私達も行こうか。」
「そうだね。彼らがある程度道を作ってくれているから、周りには注意はするけど、多分待ってくれている場所までは安全だろう。」
「そうですね。」

そう言って、歩き出す。
途中から脇道に入って行く感じであるが、先頭の二人が切り開いてくれていたからか、まずまずの道にはなっていた。



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