異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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アルメルアが出した椅子に素直に腰掛ける。
ふわふわとしているが、腰掛けるとそれなりの安定感もあり、座り心地も最高だった。
テーブルの上にティーカップにお茶が注がれており、湯気がたっていた。

「飲むといい」

そう言われて、少し恐々と口をつける。
ほのかな香りが鼻腔をくすぐる。
いい香りだ…

「ふむ。サヤカと言ったか?異世界から来た聖女よ。お前が見たのは、多分もう一人の私だ。この世界と同じ様に、別の世界にも個々に神が存在する。そしてそれは大概が二神だ。夫婦神であったり、双子神であったり。神は性別が定っていないからな。また、兄妹であってもこの世界で言う婚姻は可能だ。二神で子をも受け、場合によっては眷属を作る。で、お前が見たのは私の片割れだ。私はアレを追ってきた。」

「追って?」
「そうだ。あれは退屈が嫌いで、面白いものが好きだ。わざと混乱を引き起こして楽しむこともする。我はあれを連れ戻しに来た。」

「そんな…もしや、この国の北側の障壁も…」
「障壁?あぁ、あの魔力で作られた壁か?確か数箇所壊れていたな。おかげでこの世界に入りやすかったよ。この近くの上空の扉の隙間からこの世界に降ろさせてもらったからね。我よりも力が劣る者はまだ通れない様だが…」

「扉から来た?それは悪魔だと言うことか!」

エドワードが腰に下げている剣に手をかけて立ちあがろうとする。が、立ち上がれない様だ。
足の筋肉の動きで理解した。

「血気盛んじゃのう。我を悪魔とな…面白い事を言う。」

そう言うと、クスクスと笑い出し、やがては肩を震わせて笑い出した。

「確かに、過去にはこの世を滅さんとした悪魔と言われる邪神達が降りた様だが、我は違う。まぁ、片割れはそう言われても仕方がない様なこともしでかすがな…あの扉は異世界の神々と繋がる様だ。通れるかどうかは開き具合とその神の力量よ。全ての世界は創世と破壊で常に進化させていく。神にとって不都合とされれば、壊して作り直しじゃ。この世界の神とあったのであろう?そこまで聞かなんだか?」

そう言って、慈愛の表情で顔を覗かれた。
いつのまにこんな近くにきたのか?気が付かなかった…

「ふむ。あやつが邪魔したのだな。ほんに困った奴よ。」

そう言って、またコロコロと笑い出した。

「まぁ、この世界の者達が瘴気を増やしてしまったのであるから、事後責任とも言えるがな。アレは負の感情で増えるのだからの。それを抑えるのが困難として、聖女召喚と称してそち達を呼び寄せる方法を教えたのであろう。他力本願の悪い癖よ。まぁ、他の神にもそう言う者達がいるから、この世界の神だけを問う出来ではないがな…神は勝手な生き物だと覚えておくと良い。ここだけの話じゃぞ。」

そう言って、またコロコロ笑い椅子に座っていた。

「今回、異世界から二人召喚された原因は…まぁ、我らにもあるかも知れんし、無いかも知れん。だから、まぁ何かあれば少しは助力しても良かろう。我の都合もあるしの。助力がそち達の望む結果かどうかは知らんが、最終的には良しとなるだろう。」
「手助けしてくださると取って良いのでしょうか?」
「捉え方次第だ。まぁ、頑張れば良い。上手く行けばな…」

そう意味深な言い方をされたかと思えば、急に視界が変わる。

目の前は、教会内に設置された二神の像。
座っている場所は、祈るための椅子だった。

「どう言う事だろうか?」
「わからない。が、既に別世界の神と言われるものが降り立ったと言う事実だ。」

『そうそう、言い忘れておったが、早く扉は閉めた方が良いぞ。お前達の言う悪魔というものが降り立つってしまうからの。そう、時間は一週間と言ったところかの。健闘を祈っておるぞ。』

そう頭の中で響いたのはさっきのアルメルアと名乗った異世界の神だった。

「急ぎましょう。」
「あぁ」

そう言って、二人で教会を後にする。
時間がない。急がなくては…
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