異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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障壁の向こう

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祭壇には二神が沢山の花に囲まれていた。

「ここがルクツール大聖堂か。母国の大聖堂と同じくらいに美しい。神々しいとも言えるな…」

そう感嘆に呟いたのは、『ヒト族の国』ロザリアン神聖国からヒト族の聖職者、リシャール・ロザリアンだった。
他のもの達もそれぞれが感動と歓喜しながら周りを眺めていた。


この国きっての大聖堂だとこの前エドワードから説明を受けて、自分も凄いと思ったが、他のみんなもこの大聖堂の事は知っていたらしい。
訪れた事ないなかったとも言っていた。
それぞれの母国にも大聖堂があるのだからかな?
そう思っていたら、『そうだ』とみんなが声を合わせて答えてくれた。
自国のはここが素晴らしい。
ステンドグラスグラスが、建物の内部がどうとか言い出し初め、リシャールが盛り上がりそうになるのを制止するほどだった。
まぁ、教会内部を騒がしくするのはどうかと思う。
大聖堂なんて、特に厳粛なイメージだ。(あくまで個人的イメージです。実際は知りません。)

昔、一度妹と訪れた教会では讃美歌が歌われ、そっと聴き入っていたなと想いにふけた。

静粛な雰囲気と、華美になり過ぎない美しい装飾が施された建物。
今回訪れた時も、歩いているのはほぼ聖職者達。
時に参拝者らしき者達とすれ違ったりしたぐらいだ。


案内人も、『では、こちらです。』とだけ言って、今は席を外している。
聖職者であるリシャールにお任せした感じなのだろうと勝手に思っていた。

「向こうで神に香を捧げているんだな。ここの香は…」

お香も教会によっては少し種類?香り?が違うらしい。
自国である物を利用して作られるからと教えられた。
自国にある物を紙に捧げるかららしい。
まぁ、よく似た香りらしいけどね…

二神が飾られいる近くの女性の像の方にも、多くの花が飾られていた。

「ここでの神は男性と女性の御姿か。俺の国では男性同士のお姿だ。」
「我が国では、女性同士ですね。」
「我が国はここと同じですが、聖女の像は別の場所に祀られてます。」

国や場所によって、神の像のお姿は違うと言っていたが…聖女の像も違うんだね…

「ここでは初代聖女アカリ様だけみたいですね。我が国では全ての聖女様の像を設置していますよ。別の聖女塔でですが…。」

そうリシャールがポロッと呟いた。

「えっ?そうなると、私の像も作られるの?」
「えぇ、既に製作中だったはず。楽しみですね。」

顎が一瞬外れそうになるぐらい驚いた。
そんな場所がある事も知らなかったが、そんな事実も…

「聖女召喚を実際に主だって行う国ですからね。」
「そんな…」

『出来上がりが楽しみです。』と皆んなが口々に言うから、なんとも言えなかった。

「さて、では祈らせていただきましょう。」

リシャールがそう言うと、歌うように祝詞を口にした。
綺麗な歌声にしか聴こえない。
周りが一段と澄んでいくように感じる。
皆んなそれぞれに瞳を閉じて祈り出した。


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