異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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障壁の向こう

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城に戻り、ゆっくり休むようにと、あてがわれた部屋に送り届けられた。
部屋にはエレンが既に戻って来ており、お風呂の準備をしてくれていた。

ゆっくりと浴槽に身を沈め、今日見た事、そして体験した事を思い浮かべる。

物凄いスケールで造られたであろう、大きな壁。
そこに辿り着くまでの特殊な道。
そして、あの時見た…


あれが実際、どんな姿なのかは分からない。
分からないけれど、何となくでも、危険なモノであったのは理解できた。

自分は何もできなかった。
恐怖でただ冷や汗をかき、ただずんでいただけ。

聖女の力でどうにか出来るものか、よく分からなかったから、結果、手も足も出せず仕舞いだった。


「足手まといだったな…」

お湯を手で掬っては、指の間から溢れるように流れ出るのをボーツと見つめる。
何回も何回もだ…

あの場所に辿りつくのにも、特殊な方法が必要だと理解した。
あの石碑に、手をかざしていた時に、何か持っていたような気もする。
多分、小さな鍵となり得る何かを持って、あの道を開いて…


でも、この陸地から海を渡ってあの場所に行くとしたら…
そう、別の方法で行くとしたなら…
もしかしたら船で行ったのだろうか?

海にも魔物がいると言っていたし、魔素が多く溜まっている場所では、海の中でも魔獣が発生するらしい。
湖でも発生するのであるから、潮溜りのような場所に、もしかしたら魔素溜まりができていて、海洋性の魔獣が発生したりするんだろうか?
東の海がどうとか言っていたし…

それなら、きっと私でも浄化出来るんだろうけれど、あの障壁…
船であの場所に辿り着くに際して、魔物や魔獣に遭遇しなかったのか?
もしくは、遭遇しても倒せるぐらいの実力者数名で現地に赴いて…

まとまっていない考えが、何となくまとまりそうな…
思い浮かべては違う事を考えて…

「大丈夫ですか?」

長風呂になっていたのか、エレンが心配そうに声をかけて来た。
少し一人にして欲しいとお願いして、席を外してもらっていたんだった。


ザーッと音を立てながら湯船から出て体を脱ぐうう。
その後、風魔法と火魔法の応用で、温かい風を起こして乾かし準備された衣服を身につけていく。

そっと出された果実水を飲み干して…

「もう休まれたほうがいいですよ。食事の時には、お起こししますから…」

そう促されて寝室のベットに身を委ねた。
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