異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

扉

障壁の向こう

空間内は不思議な感じがした。
まるで海底、いや、海中トンネルのような感じだ。
大きいのや小さな魚達が泳いでいる姿がよく見えた。

向こうの世界の魚達を全て見知っている訳ではないけれど、見た事があるのもいれば、見た事がないものや、不思議なものもいた。

「綺麗…すごい…」

絶えずそんな事を口走り、手を引いてくれているエドワードは、クスクスと笑っていた。
どのくらいその道を歩いたのだろうか。
決して遠くは無かったと思うが、短くも無かったと思う。
ワクワクしながら歩いていたから、疲れ知らずで楽しめた。

本当は楽しんではいけなかったのかも知れないけれど、気分は水族館巡りなんだから仕方ないと思うのよね～。

向こうの方で光が見えて来た。
どうやらこの道もここまでの様だ。

一瞬ぐっと力強く握られて、『ポン』って感じで外の世界に出た気がした。
そこは見た感じが細長く伸びた砂浜に上空に大きく伸びた壁の様な気がした。
それも、向こうがうっすらと見えるぐらいの透明度の壁。

「これが障壁だ。特殊な魔法結界で、地下にも上空にも張り巡らされている。もちろん、海側であれば、海底にもだ。」
「そっ、壮大だね。」

どこかの国も真っ青なスケールだ。

「報告があった場所は…」

そう言って歩いて行く。
私的にはよく分からないけれど…ん？向こうの方、何か違和感がある。

気になる場所に駆けていく。
物凄く違和感を感じた場所。
そう、何というか…そこだけ揺らいで見えたんだ。

エドワード達は、反対方向に歩いており、『亀裂だ』『このぐらいなら』と言って手をかざして塞ぐ作業をしているみたいなんだけど…

揺らいで見えた場所をそっと覗く様に近づく。
向こうに何やら見える感じがした。
それは、『ヒト』の様にも見えたし、大きな動物が立ち上がった様にも見えた。
あくまで、うっすらとしか見えていなかったが…
でも、なんとも言えない恐怖心が襲って来て、身動きが取れない。
壁で隔たれているとは言え…
背中に冷たいものを感じた。