異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

扉

障壁の向こう

コンコンとノックをしてエドワードが入って来た。
今日の彼は、いつもの服装ではなく、騎士のような服装だ。
いわゆる軍服と言うものだ。
それも似合っているのが何とも言えない。
しかも、いつもはフードで顔を隠すようにしているのが、軍服であるから丸出しだ。

思わず見惚れてしまっていた。

「かっこいい…」

ポソっと口から出た言葉を受け取ってくれたようで、はにかむように微笑んで『ありがとう』と応えてくれた。
今後の重要な任務？があるのに、この甘い空気感は何とも言えない。
室内にいた侍女はお茶の準備をして出ていった。

「コホン…えっと、サヤカ。この前の件だけど…」

テーブルにお互いついて…えっと…

対面に座る予定が、真横に座ってきて、少しと言うか、大いに照れる。
逃げようにも、そっと腰を抱かれてしまい、逃げられない。

「エドワード、真横でなくても…」
「この方が私は安心して話せるんだ。ほら、重要な話だからね。」

そう言って麗しいお顔を魅せられては、頷くしかできない。
もしかして、魅了の魔法でも使っているのだろうか？

「ふふふっ、魅力は使ってないよ。それよりも…」

そう切り出した内容は、ものすごく重い、重要な内容であった。

あの例の男が居た場所。
そう、魔塔はこの国が動くと言う事。
皇帝自ら指示して、内部を一掃する事になったとか。
そう、ヒトもモノも全てだ。
皇帝自ら動くのであれば、かなりの大掛かりになるんだろうと想像した。

私とエドワード。そして、エドワードのお兄さん達は障壁の方を。
他の巡礼メンバー達には扉とその周辺の魔獣問題に対応。
各国には、皇帝の名で通達し、場合によっては助力を願うことになったんだとか。


障壁問題は、この国だけの問題ではなく、各国の問題であるからだとも付け足された。

なるほど…結構思った以上に大掛かりになるんだなと痛感した。