74 / 193
聖女巡礼の旅
聖地巡礼
しおりを挟む
「さて、そろそろ出発しますか。」
そう合図のように声をかけられて、歩き出す。
待機組は、何が起こっても対処できるようにと準備して、不必要なものは片付けだしていた。
途中までは普通の道があったが、その先からは獣道。
前日調査した時や、先行組が薙ぎ払い倒した木々が見えたりした。
地面には討伐された魔獣らしき物のあと。
魔石や素材らしき物が転がっている場所もあった。
それを回収組が回収していく。
浄化担当である私たちは黙々と先に進むのみ。
途中、湿気などでぬかるんでいる所も多々あり、足を取られそうになる。
いつもなら、側にはエドワードが常についてくれているから安心なのだが、今日の私は何というか…
不謹慎ながらもソワソワしてしまうから、密かに距離を置いていた。
しっかりと詰められてはいたけれども…
「相変わらず、目的地とされる場所に近づくと空気が重い。」
「本当に…この身体にまとわりつく不快感も何とも言えませんね。」
いつもは無口で小言を言わない戦闘エルフのエレンや、陽気にみんなを和ませている聖職者のリシャールが文句を言っていた。
私は汗を拭いながらも必死で皆んなについていく。
この道も、大きな岩があったりで、常日頃鍛えていない自分には大変なのだ。
黒々とした異様な雰囲気の密林を抜けて、先に見えるのは…オズバンとディオルグの姿だ。
身を隠しながら、睨みつけるようにしているその先…
そう、ここでも黒いドロドロとした沼が見える。
元は湧き出る泉だったらしい。
動物達の憩いの場であり、綺麗な神聖な感じだったとここにくる前に説明があった。
だが、今はその面影もなく、魔獣が這い出てきていた。
今這い出てきているのは、狼のようなものと、蜥蜴のようなもの。
大きさはやはりどれも大きく、狼はまるで向こうの世界の牛ぐらいの大きさだ。蜥蜴は大人一人を丸呑み出来そうなぐらい。
オズバンがこちらに近づいて、リシャールとエドワードに報告する。
自分達が到着した時は、這い出てくるのが少し止まっていたこと。
その間に出てうろついていたもの全てを排除した途端に今這い出てきているものが出始めたと。
今の前に出ていたものは、コカトリスという魔獣と、サーベルタイガント。
大きなニワトリで尻尾が蛇の魔獣のコカトリスと、独特な大きな牙を持つ虎の魔獣がサーベルタイガントだったか??
ゲーム上によく出てくる魔物と似ているようで全然似ていなかったり、名前当てずっぽで付けられた感が半端ない。
でもそれがこの世界での常識だから仕方ない。
「では、我らが魔獣を抑えながら護衛をするので、聖女様は浄化に専念してください。」
そう小声で言われて頷いて答える。
お互い頷きながら確認し、手で合図を送ると一斉に討伐開始となった。
メンバーや騎士達が作ってくれる道を走り抜けて一息つく。
他の人達には悪臭も感じるらしいが、私はそれは感じないから、一瞬ヴって躊躇するけどぎゅって両目を瞑り両掌を突っ込む。
ドロっとした不快感は直ぐに収まり、清らかな水に両手を浸した感覚になる。
そこから身体の中の魔力が流れ出ていく感じでサーッと心地よい風が身体を撫でて吹いていく感じがした。
「おおおお~~~~っ!!」
相変わらずの大きな歓声が周囲から聴こえる。
うん、ドロドロ感が消えて、光の加減でキラキラした湧き水を讃える泉へと変化している。
周りも光の粒子が飛び交いながら、黒ずんでいたものに色鮮やかな緑が戻っていくのがわかる。
「出来た~~~~~~」
思わずそう大きな声で叫んでしまうのは許してほしい。
身体の中の魔力は減ってはいるけれど、まだまだ余裕がある。うん、大丈夫だ。
前の事もあり、エドワードが心配して側にしゃがみ込み私の手を取り、脈を確認して顔色を確認してくる。
「大丈夫そうだ…」
ホッと肩の力を抜きながら、微笑んで見つめられた。
その笑顔の破壊力やいかに。
顔が熱く火照るのを感じて慌てて立ち上がり、重心の掛け方を失敗した。
「おっと…」
そう言って支えられ
「心配だ…」
そう言うと、抱き上げられてしまう。
いわゆるお姫様抱っこでスタスタとみんなの元に…
そう思ったんだけど…
気がつけば一足先に私の部屋に戻っていた。
いわゆる瞬間移動…
「えっ?へっ?」
「前回の反省で帰還用に急遽作っておいたんだ。上手く作動したよ。」
そっとソファーに下ろされて座らされる。
靴を脱がされ、大きめの桶のような物に湯を張られてつけられた。
「足湯でホッと…そうじゃなくて、えっえ~~?!?」
部屋の中を私の声が反響して、慌てて他の人たちが入ってくる。
一瞬驚くも、直ぐに営業スマイルのように表情を戻す人達は流石だ。
エドワードはニコニコしながら、後の世話を託して部屋を出て行った。
どれだけチートなんでしょうか…あの人…
そう合図のように声をかけられて、歩き出す。
待機組は、何が起こっても対処できるようにと準備して、不必要なものは片付けだしていた。
途中までは普通の道があったが、その先からは獣道。
前日調査した時や、先行組が薙ぎ払い倒した木々が見えたりした。
地面には討伐された魔獣らしき物のあと。
魔石や素材らしき物が転がっている場所もあった。
それを回収組が回収していく。
浄化担当である私たちは黙々と先に進むのみ。
途中、湿気などでぬかるんでいる所も多々あり、足を取られそうになる。
いつもなら、側にはエドワードが常についてくれているから安心なのだが、今日の私は何というか…
不謹慎ながらもソワソワしてしまうから、密かに距離を置いていた。
しっかりと詰められてはいたけれども…
「相変わらず、目的地とされる場所に近づくと空気が重い。」
「本当に…この身体にまとわりつく不快感も何とも言えませんね。」
いつもは無口で小言を言わない戦闘エルフのエレンや、陽気にみんなを和ませている聖職者のリシャールが文句を言っていた。
私は汗を拭いながらも必死で皆んなについていく。
この道も、大きな岩があったりで、常日頃鍛えていない自分には大変なのだ。
黒々とした異様な雰囲気の密林を抜けて、先に見えるのは…オズバンとディオルグの姿だ。
身を隠しながら、睨みつけるようにしているその先…
そう、ここでも黒いドロドロとした沼が見える。
元は湧き出る泉だったらしい。
動物達の憩いの場であり、綺麗な神聖な感じだったとここにくる前に説明があった。
だが、今はその面影もなく、魔獣が這い出てきていた。
今這い出てきているのは、狼のようなものと、蜥蜴のようなもの。
大きさはやはりどれも大きく、狼はまるで向こうの世界の牛ぐらいの大きさだ。蜥蜴は大人一人を丸呑み出来そうなぐらい。
オズバンがこちらに近づいて、リシャールとエドワードに報告する。
自分達が到着した時は、這い出てくるのが少し止まっていたこと。
その間に出てうろついていたもの全てを排除した途端に今這い出てきているものが出始めたと。
今の前に出ていたものは、コカトリスという魔獣と、サーベルタイガント。
大きなニワトリで尻尾が蛇の魔獣のコカトリスと、独特な大きな牙を持つ虎の魔獣がサーベルタイガントだったか??
ゲーム上によく出てくる魔物と似ているようで全然似ていなかったり、名前当てずっぽで付けられた感が半端ない。
でもそれがこの世界での常識だから仕方ない。
「では、我らが魔獣を抑えながら護衛をするので、聖女様は浄化に専念してください。」
そう小声で言われて頷いて答える。
お互い頷きながら確認し、手で合図を送ると一斉に討伐開始となった。
メンバーや騎士達が作ってくれる道を走り抜けて一息つく。
他の人達には悪臭も感じるらしいが、私はそれは感じないから、一瞬ヴって躊躇するけどぎゅって両目を瞑り両掌を突っ込む。
ドロっとした不快感は直ぐに収まり、清らかな水に両手を浸した感覚になる。
そこから身体の中の魔力が流れ出ていく感じでサーッと心地よい風が身体を撫でて吹いていく感じがした。
「おおおお~~~~っ!!」
相変わらずの大きな歓声が周囲から聴こえる。
うん、ドロドロ感が消えて、光の加減でキラキラした湧き水を讃える泉へと変化している。
周りも光の粒子が飛び交いながら、黒ずんでいたものに色鮮やかな緑が戻っていくのがわかる。
「出来た~~~~~~」
思わずそう大きな声で叫んでしまうのは許してほしい。
身体の中の魔力は減ってはいるけれど、まだまだ余裕がある。うん、大丈夫だ。
前の事もあり、エドワードが心配して側にしゃがみ込み私の手を取り、脈を確認して顔色を確認してくる。
「大丈夫そうだ…」
ホッと肩の力を抜きながら、微笑んで見つめられた。
その笑顔の破壊力やいかに。
顔が熱く火照るのを感じて慌てて立ち上がり、重心の掛け方を失敗した。
「おっと…」
そう言って支えられ
「心配だ…」
そう言うと、抱き上げられてしまう。
いわゆるお姫様抱っこでスタスタとみんなの元に…
そう思ったんだけど…
気がつけば一足先に私の部屋に戻っていた。
いわゆる瞬間移動…
「えっ?へっ?」
「前回の反省で帰還用に急遽作っておいたんだ。上手く作動したよ。」
そっとソファーに下ろされて座らされる。
靴を脱がされ、大きめの桶のような物に湯を張られてつけられた。
「足湯でホッと…そうじゃなくて、えっえ~~?!?」
部屋の中を私の声が反響して、慌てて他の人たちが入ってくる。
一瞬驚くも、直ぐに営業スマイルのように表情を戻す人達は流石だ。
エドワードはニコニコしながら、後の世話を託して部屋を出て行った。
どれだけチートなんでしょうか…あの人…
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。


【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる