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聖女巡礼の旅
聖地巡礼
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翌日は良い天気で、朝からワイワイガヤガヤと騒がしい。
目的地に出発の準備のためだが…
砂地もある為、今日は馬のみ使用。後は徒歩組だ。
馬車はもしものため様に竜人族であるディオルグ他数名が空から運ぶことになった。
なら、私も馬車でお空の旅をと思ったけれど、それは却下された。
浄化作業後なら魔獣が現れる事はまず無い。
今回は混んでいる時に、飛行型魔獣が現れたら対処しにくいし、その時に馬車を落としたりしたら…と言う理由らしい。
本人達は、『まず落とす事はないが、もしもの為だ!』と言っていた。
まぁ、絶対という事はまずあり得ない。
危険回避出来るものは回避した方が良いのはわかるし…
一人で馬に乗るのかと思えば、すっとエドワードが近づいてきて手を引き、エドワードの馬に引き上げられた。
ユーデルと呼ばれる軍馬だ。
巡礼で連れているのは、黒毛と赤毛の馬に翼が付いてて、額にツノが縦に並んで二本あるものが多い。
エドワードの相棒は、綺麗な黒毛だ。額にツノが三本縦に並んでいた。
背後から支えられて、腰に手を回される。
ドレスでなく、ズボンタイプの服装だから馬を跨ぐ感じではあるけれど…
手綱はエドワードが持っているから、私はどこをどうしたら??
「エレオンの立髪を持っていたら良い。この子は怒らないから大丈夫だ。それに私が支えているから落としはしない」
「立髪なんて掴んだら痛いじゃない。」
「大丈夫。」
どこが大丈夫なのだろうか…私でも髪の毛掴まれたら痛いんだよ。絶対痛いはずだ。
でも、首にしがみつく?角なんてとんでもないし…
悩んでいたら、エレオンと呼ばれたユーデルは首を後ろに回して器用に私を見つめてきた。
そこまで首回るんだね…
その瞳は…『大丈夫。掴んで良いよ。』って言って…
ん?頭の中で声が…
「心を許した者には頭の中で会話できるんだ。不思議だよね。でも、とても信頼できる頼もしい相棒だよ。」
そうエドワードが教えてくれて、私の後ろから伸ばされた手でエレオンを優しく撫でていた。
うん、嬉しそうだ…
エレオンの許可がおりたから、そっと手を伸ばす。
掴む行為は優しいとは言えないけれど、でも『極力痛くありません様に』と心でつぶやいてみた。
『もっとしっかり掴んでも良いのに、優しいね。』
そう返ってきたから、思わず微笑んでしまった。
腰に回された腕と背中に感じる温もりに最初はドキドキしたけれど、駆け出したらそんな事は言っていられない。
「舌を噛んだらいけないから、口はできるだけ閉じておいて。」
そう注意されていたから、頑張って口を閉じたまま…
ついでに目も閉じている。
だって思ったより高い視線にこのスピード。
この世界の馬、結構走るのが早いと思う。
「沙耶。目を開けてご覧。」
そう促されて、そっと開けると、空の雲は流れる様に…
向かう先はどんよりしているが、右側の遠くが綺麗な森と湖らしきものが見えた。
いつのまにか、砂漠地帯は抜けていたようだ。
どれ程の脚力だろうか…
徒歩組は後で合流するらしい。
うん、見えない…
彼らは風魔法を足元に付与して来るから、遅れて来るとしてもそんなに時間は開かないらしい。
どれだけの精鋭部隊なんだろうかと感心した。
目的地に出発の準備のためだが…
砂地もある為、今日は馬のみ使用。後は徒歩組だ。
馬車はもしものため様に竜人族であるディオルグ他数名が空から運ぶことになった。
なら、私も馬車でお空の旅をと思ったけれど、それは却下された。
浄化作業後なら魔獣が現れる事はまず無い。
今回は混んでいる時に、飛行型魔獣が現れたら対処しにくいし、その時に馬車を落としたりしたら…と言う理由らしい。
本人達は、『まず落とす事はないが、もしもの為だ!』と言っていた。
まぁ、絶対という事はまずあり得ない。
危険回避出来るものは回避した方が良いのはわかるし…
一人で馬に乗るのかと思えば、すっとエドワードが近づいてきて手を引き、エドワードの馬に引き上げられた。
ユーデルと呼ばれる軍馬だ。
巡礼で連れているのは、黒毛と赤毛の馬に翼が付いてて、額にツノが縦に並んで二本あるものが多い。
エドワードの相棒は、綺麗な黒毛だ。額にツノが三本縦に並んでいた。
背後から支えられて、腰に手を回される。
ドレスでなく、ズボンタイプの服装だから馬を跨ぐ感じではあるけれど…
手綱はエドワードが持っているから、私はどこをどうしたら??
「エレオンの立髪を持っていたら良い。この子は怒らないから大丈夫だ。それに私が支えているから落としはしない」
「立髪なんて掴んだら痛いじゃない。」
「大丈夫。」
どこが大丈夫なのだろうか…私でも髪の毛掴まれたら痛いんだよ。絶対痛いはずだ。
でも、首にしがみつく?角なんてとんでもないし…
悩んでいたら、エレオンと呼ばれたユーデルは首を後ろに回して器用に私を見つめてきた。
そこまで首回るんだね…
その瞳は…『大丈夫。掴んで良いよ。』って言って…
ん?頭の中で声が…
「心を許した者には頭の中で会話できるんだ。不思議だよね。でも、とても信頼できる頼もしい相棒だよ。」
そうエドワードが教えてくれて、私の後ろから伸ばされた手でエレオンを優しく撫でていた。
うん、嬉しそうだ…
エレオンの許可がおりたから、そっと手を伸ばす。
掴む行為は優しいとは言えないけれど、でも『極力痛くありません様に』と心でつぶやいてみた。
『もっとしっかり掴んでも良いのに、優しいね。』
そう返ってきたから、思わず微笑んでしまった。
腰に回された腕と背中に感じる温もりに最初はドキドキしたけれど、駆け出したらそんな事は言っていられない。
「舌を噛んだらいけないから、口はできるだけ閉じておいて。」
そう注意されていたから、頑張って口を閉じたまま…
ついでに目も閉じている。
だって思ったより高い視線にこのスピード。
この世界の馬、結構走るのが早いと思う。
「沙耶。目を開けてご覧。」
そう促されて、そっと開けると、空の雲は流れる様に…
向かう先はどんよりしているが、右側の遠くが綺麗な森と湖らしきものが見えた。
いつのまにか、砂漠地帯は抜けていたようだ。
どれ程の脚力だろうか…
徒歩組は後で合流するらしい。
うん、見えない…
彼らは風魔法を足元に付与して来るから、遅れて来るとしてもそんなに時間は開かないらしい。
どれだけの精鋭部隊なんだろうかと感心した。
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