異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

聖女巡礼の旅

聖地巡礼

それから数日、今回も天候が悪く足止めを食らっている。
妹の事が心配で、浄化に専念できる自信がなかったから、ありがたいと言えばありがたいんだけど…

何とも言えない気持ちで外を眺めていた。

外は噴煙のせいか空気が何とも言えない。
そう、重苦しいし、息をするのが少し苦しく感じていた。

スカーフのような布で鼻や口を隠すように巻かないと外に出る事が困難だった。

マシュー火山が活火山であるのはこの世界では常識らしく、時々このような天候になるらしい。
向こうで言えば、九州の桜島のような感じだろうか？

実際に見て体験したわけではないが、何となくの想像だ。
外国や日本の火山活動の映像を見たり、ニュースで見聞きしたぐらいでしか知らない。


テーブルに置かれた本のページをめくりながら、置かれた紅茶に手を伸ばす。
一口飲んでは胸元の石に指を這わした。

妹の事は任せて欲しいと、この前に魔人族であり、魔術師・魔導士のエドワードに言われたから、任せてはいるのだけれど、自分からもやはり動いた方が良いんじゃないだろうか…
でも、どうしたら良いのかわからない…

「優里…」

優里…私の双子の大切な妹。
この世界に呼び込まれ、引き離された大切な妹だ。
私と同じ黒髪•黒い瞳であったのに、訳あって金色の髪•蒼瞳となっていた。
この世界では高貴な色の一つらしいけれど…
でも…

あの時会った妹の姿を思い出す。
悲惨な目にあっていないかと心配しながら巡礼の旅を続けて、前回会う事が叶った妹。
一緒に食事して、夜遅くまで会話してと言う事はこの国の都合上出来なかった。

妹の身の安全を考慮してではあったが…

そして、妹を大切に愛おしそうに見つめて側にいる男性…

あの時は大丈夫だと思ったんだ。
きっと彼が妹をって…

なのに…

エドワードから聞いた話を思い浮かべた。
あの後、直ぐに情報をかき集めて教えてくれた情報を…

「本当にふざけてる！！」