異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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聖女巡礼の旅

聖地巡礼

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「ほ~ぉ、あの男はユーリにそんなことを…」

今にも叩きのめしに行きそうなそんな怒りが湧いてきた。
私の可愛い妹に何をしてくれているんだろうか!!
妹がビクビクと可愛い子ウサギのようになっているが…
うん、可愛い。だが、あの男!!

思わず昔の出来事を思い出した。
幼少時代の男の子達によくあるあれだ。
『好きな子いじめ』だ。
当時近所の男の子達が妹に相手にしてもらいたいといじめに来ていた。
許すまじと、いつも鬼の形相で追い払った。
子供であるから、小鬼の形相かもしれないけどね…

突き飛ばされたのかスカートの裾が泥で汚れて、当時の私の小さな手で一生懸命に綺麗にしたもを覚えている。
手を引いて家に帰ったんだ。

妹は私の事を心配してくれているが、私は姉であるからそれ以上に妹を心配していた。
数分の違いで先に生まれ落ちた姉であるから、当たり前だと思っている。

「でもね、大切にしてくれているんだよ。だから、大丈夫だからね、それ以上は今はされてないから~~~」
「い~ま~は~!?当たり前でしょ!!まだ早い!お姉ちゃん、許さないからね!!」

『今は』と言ったか?当たり前だ。私の目黒いうちに断りもなく、そう、妹の了承も得ず行おうとするのは…許さないからね!!

自分の事は棚に上げてって感じだろが、そんな事は関係ない。
うん、これは絶対に渡しておかないといけない。
スカートのポケットに忍ばせている物をそっと撫でる。
うん、大丈夫、忘れてない。

そんなたわいな話を楽しんで、いつしかかなりの時間が過ぎたようだ。
部屋のドアがノックされて三人が入ってきた。

『もう時間だ』と告げられて、寂しいけれど、抱きしめあって別れた。

帰りに急いでポケットに忍ばせていたお守りのネックレスを渡す。
チェーンに通された透明な石に金色の針のような模様。向こうで言う針水晶という感じ。
その石を中央に可愛らしい花や小鳥を形取ったものに彩られていた。
私とお揃いで作った物だ。
デザインは私。作ったのはエドワードだけれどね。


「私とお揃いなの。エドワードに作ってもらったんだ。お守りね」

そう言って妹の首につけ、そっと石に触れてた。この石に私の魔力を流し込む。
これ以上無理って言うぐらいに自然に止まる。
うん、暖かい。私の魔力を感じる。
ユーリを守ってね。特に貞操の危機をね!!

「うん、これで大丈夫。ユーリも私の石に触れてみて」

そう言われて私の胸元からネックレスを引き出して、トップの石に私がした事と同じように触れてくれた。
妹の魔力が流れていく感じがする。
ある程度流れた所で止まった。
うん、良い感じだ。
妹がそっと手を離すと、そっと触れて嬉しくて微笑んだ。

「うん、ユーリの魔力を感じる。心地いいね。安心する」

嬉しそうにはにかんで笑う妹が可愛い。
もう、一緒に連れて行っても良いよね…
ダメ?チラッと横を見ると、顰めっ面の妹のパートナーと呆れた表情のエドワード。
無表情のエレンさん。
はい、御免なさい。我慢します。

二人で抱きしめあって、『またね』と別れた。

そっとネックレスに触れる。
妹の魔力を心地よく感じる。
うん、嬉しい…

そして、私の牽制を汲み取ってくれたであろう…
ふふふっ…

「向こうも大変そうだ…私も頑張らないといけないな…」

そう呟いたのを聞き流す。
何を頑張るのか知らないけれど、妹に関しては…
うん、姉は遠くからでも見守っているからね。

今度次いつ会えるかわからないけれど、妹の安全を祈り、外を見る。
夕日が沈みかけている。
うん、今日はとっても良い日になったと心から思った。


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