異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

文字の大きさ
上 下
52 / 193
聖女巡礼の旅

聖地巡礼

しおりを挟む
馬車は国境を無事に超えて隣の国、ロザリアン神聖国シュタルク領内に入ったようだ。
国境沿いの国だけれど…思ったよりも平和な感じだ。
騎士と思われる人はいて、警備はしっかりとされてはいたけれどね。

国の保護結界があるから、入れる場所は決まっているようだ。
確かそう教わった。
山脈とか、森とかあるからここはどう?って思ったんだけどね。
なるほど…
でもさ、上空はどうなんだろう?
鳥とかは普通に飛び交うと思うんだけど…
渡り鳥とかさ…

そこは魔法陣の設定とかでどうにかなっているのだろうか?
よくわからないのよね。
気にしても無駄かもしれないけれど…

馬車の中から見える景色は緑色の草原。
向こうは…

「あれは薬草の畑ですね。向こうに見える建物が薬草研究所です。その奥に小さく見えるのが今回の宿泊予定のシュタルク領主の館です」

エレンさんがそう教えてくれた。
そうなんだ…

馬車はそのままシュタルク領主の屋敷に向かい、到着後、領主の歓迎を受けた。
案内されたのは別館。
別館と言っても、とても素敵な屋敷だった。
清潔感が漂って、しかも、所々に妹が好きそうな物が置いてある。

「この部屋をお使いください」

そう言って案内されたのは、南向きの部屋。
寛ぐことのできる大きめのソファーが置かれた部屋の奥に見えるのは寝室に。
それと、あれは浴室に繋がる…
簡易キッチンもある。

「そちらは、本来侍女の部屋になります。」

そうなんだ。でも本来って??

「私が泊まる部屋ですね」

そう言ってエレンさんが荷物を持って入って行った。
しっかりと服装は侍女ですね…

討伐の時は、さすが戦闘エルフって感じのカッコよさだったんだけど…
まぁ、この世界の侍女の服で森の探索とか討伐とかあり得ないか…
うん、当たり前だよね。

「良かったらどうぞ」

そう勧められて、テーブルに置かれたお茶を美味しくいただく。
ハーブティーだ。

「美味しい…」

あの子、私の妹のユウリが好んでいた味。
私が疲れた時に良く入れてくれたものと味が一緒…


ニコッと笑顔で微笑まれた。
少しふくよかだけど、優しい雰囲気の女性。名前はエルザさんと言っていた。

「何かありましたら、そちらのベルでお呼びください」

そう言ってさし示してくれたのは、うん、金色に可愛い装飾を施されたベルだ。
この世界の魔道具の一つだろう。
呼び出しにスイッチみたいなのやここのベルのように形は色々だ。
多分、部屋の装飾品や雰囲気濾過に合わせているのだろう。

妹の姿が見えて来そうなぐらい、あの子の好みだ。
実際の向こうの世界の部屋とは全然違うけれど、あの子はこう言う感じの物が好きだった。

エルザさんは控えていた三人の侍女達と一緒にお辞儀をして出て行った。

あの人達がここの専属なのだろうか?

「良いお部屋ですね」

エレンさんが荷物解き終わったのか出て来た。
私は…
うん、少しお風呂に入ろうかな…

「私はお風呂に入ろうと思うよ。確か向こうに準備しておいたって言ってくれたから…」

そう言って、浴室であろう部屋に移動する。
ドアを開けて、脱衣所を確認。

タオルなどもしっかり準備されて…
えっと…下着とかも置いてある…

可愛らしい下着に、室内で着ても大丈夫な服も…
これは私の好みの物だ。
どうして知っているのか?と一瞬思ったけれど、もしかしたらエルザさんが伝えて準備してくれていたのかもしれないと思い直して、ありがたく使わせてもらおうと、空いたところに来ていた服を脱いで置いて行った。
ドアを開けて中に入ると、まるで温泉宿のお風呂のような感じだ。
先に掛け湯をしてからゆっくりと浸かる。
うん、あったかい…

ぼーっと浸かっていたら、カラカラと脱衣所と隔てる引き戸が開く音がして、振り向けば綺麗に整っている裸体。
そう、エレンさんが入って来た。

「お背中を流させていただこうと。それと、私も身体を洗いたかったので」

そう言ってニコニコしながら湯船に入って来た。

源泉掛け流し風のお風呂。
二人余裕に入れる大きさだから大丈夫ではあるけれど…

エレンさんと一緒に入るのは何度かあったけど、でも、いつも思う。
うん、美人は裸体も綺麗なんだね…


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

処理中です...