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聖女巡礼の旅
聖女巡礼(フェリックス•ロザリアン)
しおりを挟む父に意見したが、聞き入れられなかった。
本人がそれで納得するならそれで良いだろうと。
ただし、相手が断って来た場合、直ぐに引き下がり城に戻るようにと告げた。
相手にはすでに『番』がいるのだ。断るのは当たり前だ。
本人の気持ちが治ればとお考えであろうが…
この妹が、それだけで済むはずがない。
急ぎ自室に戻り、多重の結界を施した。
自分達には魔人族や竜人族ほど魔法は使えない。
だが、魔道具を使えばそれは可能だ。
稼働している事を確認して、急ぐ伝達魔法を送った。
今回の事に関係して協力を得れる友人達と、竜人族の王子に。
そして、妹が彼の地に行く時間稼ぎにと、転移門の使用許可を下させなかった。
城から出たことのない箱入りだ。
地域の視察をしながら、自分の考えの愚かさを知って、考えを改めてくれればとも思った。
仲は良くないが、アレでも妹だ。
無茶さえしなければ…国として問題さえ起こさなければ、強制退場させると言う決断を下さなくても…
出来ればその方法は取りたくない。
「どうか上手くいきましように」
自分に返事をくれぬ神に祈る。
昔、神を身直に感じた事があった。
いつどんな時にかは忘れた。
神は自分達には何を望んでいるのか…
そんな事を考え、頭を振る。
今は、過去の惨事を引き起こさない。そして、巡礼が無事に終わり、混沌の世界に落ちる事がない事だけを考えようと机に置かれた書類に向かい合った。
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