25 / 193
聖女巡礼の旅
聖女巡礼(エドワード)
しおりを挟む
「ん?何でもないよ。サーヤ。」
そう返事をする女性は、何事もないような笑顔で移動して、こじんまりした祠の前の分厚い敷物に座り帰宅の挨拶をしていた。
祠の中に何やら飾られたちるが、気になる物が見えて近づいた。
手に取る事はできないが映し絵。
二人の両親の両親…
なんとなく似ている。
国の者達とは違う顔つきだが、整っていると思う。
優しそうに微笑んでいる女性と、知的に見える男性。
多分、亡くなっているのだろう。
どのくらいの年齢で両親が亡くなったのかは分からないが…
「さてと…」
その掛け声を聞き、またサヤカの側に移動した。
二人の食卓を近くの壁にもたれて眺めていた。
会話の内容は理解できないが、たわいもない会話なのだろう。
笑顔が見える。
こんな表情をするのか…
今の彼女は、笑顔を見せてはくれるが、ここまで心を許した笑顔は見せてくれない。
胸の奥がチリチリ痛む。
食事が終わり、妹は片付けをかって出ていた。
彼女は別方向へ。
もちろん、サヤカについていく。
「ちょっとお風呂沸かしてくるね」
お風呂の準備を自分たちでするんのか。
不思議な扉。
折りたたむように開かれた扉の奥に浴槽か…
見た事のない管が見える。
手前の部屋。多分脱衣所か。ここにも魔道具が…
興味を持ち眺める。
触れる事が出来ないから、見て観察だけだ。
浴槽などを一度洗い直したのだろう。そして、この場所に出て来て変わった靴を脱ぎ…
側に、そう、彼女の足元に見た事のある魔法陣が…
いきなり足が動かなくなったのだろう。
側にあった物にぶつかり、助ける事が出来ない。
触れることもできず、『ガタン!!』と、大きな物音を立て倒れ込む。
そして、彼女の悲鳴。
脱衣所の床に現れた魔法陣が輝き、それにズズズっと飲み込まれそうになる。
これは、召喚の儀式の時の彼女の世界の映像か…
慌てて来た妹が彼女の手を掴み、引き上げようとして、魔法陣の中に躊躇せず入って来た。
そして、二人とも飲み込まれ何事もなくサークルは消え去った…
その映像が黒く消えかけて………
目が覚めた。
彼女達の遭遇した過去。
自分達が犯した罪だと理解している。
私たちの世界でどうしても必要だったんだ。
過去の聖女達も、同じような状況で私達の世界に来たのだろう。
この夢を見たのは…神達の思し召しなのだろうか…
私にこの事を知っておくようにと…
だから、必ず二人を護り、この世界を救うようにと…
違うかもしれない。
見たのも、単なる夢であり、実際は違うかもしれないが…
彼女達の名前の文字は覚えている………………
着替えて整えて瞼を閉じる。
関係ない…
そんなことを知らなくても、私はサヤカを守るし護る。
彼女の心が壊れないように、彼女の大切な妹も…
彼女ほどは護れないだろうが、できる範囲で妹も守ろうと誓い部屋を出た。
そう返事をする女性は、何事もないような笑顔で移動して、こじんまりした祠の前の分厚い敷物に座り帰宅の挨拶をしていた。
祠の中に何やら飾られたちるが、気になる物が見えて近づいた。
手に取る事はできないが映し絵。
二人の両親の両親…
なんとなく似ている。
国の者達とは違う顔つきだが、整っていると思う。
優しそうに微笑んでいる女性と、知的に見える男性。
多分、亡くなっているのだろう。
どのくらいの年齢で両親が亡くなったのかは分からないが…
「さてと…」
その掛け声を聞き、またサヤカの側に移動した。
二人の食卓を近くの壁にもたれて眺めていた。
会話の内容は理解できないが、たわいもない会話なのだろう。
笑顔が見える。
こんな表情をするのか…
今の彼女は、笑顔を見せてはくれるが、ここまで心を許した笑顔は見せてくれない。
胸の奥がチリチリ痛む。
食事が終わり、妹は片付けをかって出ていた。
彼女は別方向へ。
もちろん、サヤカについていく。
「ちょっとお風呂沸かしてくるね」
お風呂の準備を自分たちでするんのか。
不思議な扉。
折りたたむように開かれた扉の奥に浴槽か…
見た事のない管が見える。
手前の部屋。多分脱衣所か。ここにも魔道具が…
興味を持ち眺める。
触れる事が出来ないから、見て観察だけだ。
浴槽などを一度洗い直したのだろう。そして、この場所に出て来て変わった靴を脱ぎ…
側に、そう、彼女の足元に見た事のある魔法陣が…
いきなり足が動かなくなったのだろう。
側にあった物にぶつかり、助ける事が出来ない。
触れることもできず、『ガタン!!』と、大きな物音を立て倒れ込む。
そして、彼女の悲鳴。
脱衣所の床に現れた魔法陣が輝き、それにズズズっと飲み込まれそうになる。
これは、召喚の儀式の時の彼女の世界の映像か…
慌てて来た妹が彼女の手を掴み、引き上げようとして、魔法陣の中に躊躇せず入って来た。
そして、二人とも飲み込まれ何事もなくサークルは消え去った…
その映像が黒く消えかけて………
目が覚めた。
彼女達の遭遇した過去。
自分達が犯した罪だと理解している。
私たちの世界でどうしても必要だったんだ。
過去の聖女達も、同じような状況で私達の世界に来たのだろう。
この夢を見たのは…神達の思し召しなのだろうか…
私にこの事を知っておくようにと…
だから、必ず二人を護り、この世界を救うようにと…
違うかもしれない。
見たのも、単なる夢であり、実際は違うかもしれないが…
彼女達の名前の文字は覚えている………………
着替えて整えて瞼を閉じる。
関係ない…
そんなことを知らなくても、私はサヤカを守るし護る。
彼女の心が壊れないように、彼女の大切な妹も…
彼女ほどは護れないだろうが、できる範囲で妹も守ろうと誓い部屋を出た。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる