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聖女巡礼の旅

聖女巡礼(エドワード)

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「ん?何でもないよ。サーヤ。」

そう返事をする女性は、何事もないような笑顔で移動して、こじんまりした祠の前の分厚い敷物に座り帰宅の挨拶をしていた。
祠の中に何やら飾られたちるが、気になる物が見えて近づいた。
手に取る事はできないが映し絵。
二人の両親の両親…
なんとなく似ている。
国の者達とは違う顔つきだが、整っていると思う。
優しそうに微笑んでいる女性と、知的に見える男性。

多分、亡くなっているのだろう。
どのくらいの年齢で両親が亡くなったのかは分からないが…

「さてと…」

その掛け声を聞き、またサヤカの側に移動した。
二人の食卓を近くの壁にもたれて眺めていた。
会話の内容は理解できないが、たわいもない会話なのだろう。
笑顔が見える。
こんな表情をするのか…
今の彼女は、笑顔を見せてはくれるが、ここまで心を許した笑顔は見せてくれない。
胸の奥がチリチリ痛む。

食事が終わり、妹は片付けをかって出ていた。
彼女は別方向へ。
もちろん、サヤカについていく。

「ちょっとお風呂沸かしてくるね」

お風呂の準備を自分たちでするんのか。
不思議な扉。
折りたたむように開かれた扉の奥に浴槽か…
見た事のない管が見える。
手前の部屋。多分脱衣所か。ここにも魔道具が…
興味を持ち眺める。
触れる事が出来ないから、見て観察だけだ。

浴槽などを一度洗い直したのだろう。そして、この場所に出て来て変わった靴を脱ぎ…

側に、そう、彼女の足元に見た事のある魔法陣が…
いきなり足が動かなくなったのだろう。
側にあった物にぶつかり、助ける事が出来ない。
触れることもできず、『ガタン!!』と、大きな物音を立て倒れ込む。
そして、彼女の悲鳴。
脱衣所の床に現れた魔法陣が輝き、それにズズズっと飲み込まれそうになる。

これは、召喚の儀式の時の彼女の世界の映像か…

慌てて来た妹が彼女の手を掴み、引き上げようとして、魔法陣の中に躊躇せず入って来た。
そして、二人とも飲み込まれ何事もなくサークルは消え去った…

その映像が黒く消えかけて………

目が覚めた。

彼女達の遭遇した過去。
自分達が犯した罪だと理解している。
私たちの世界でどうしても必要だったんだ。

過去の聖女達も、同じような状況で私達の世界に来たのだろう。
この夢を見たのは…神達の思し召しなのだろうか…
私にこの事を知っておくようにと…

だから、必ず二人を護り、この世界を救うようにと…
違うかもしれない。
見たのも、単なる夢であり、実際は違うかもしれないが…

彼女達の名前の文字は覚えている………………


着替えて整えて瞼を閉じる。
関係ない…
そんなことを知らなくても、私はサヤカを守るし護る。
彼女の心が壊れないように、彼女の大切な妹も…

彼女ほどは護れないだろうが、できる範囲で妹も守ろうと誓い部屋を出た。



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