異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

聖女巡礼の旅

聖女巡礼(エドワード)

多分あれをもう一人の女性に使うのだろうと予想した。
こちらの勝手で呼び出された女性だ。
『聖女は一人』の概念んでこの世界から排除してしまうのはあんまりだ。
彼女に非がある訳ではない。
こちらの世界の都合で、命を奪う事は…
なら、あの薬なら…
そう、その者の色を奪い変化させる薬。
それだけでも印象は変わってしまうから、世の人々には何とも思われずうまく溶け込む事が可能だ。
儀式で目撃してしまった者達には、この世界と合わなかった為亡くなったと伝えたら良いだろう。
聖女はこの世界に適合され、生活に支障がない事はわかっているが、もう一人の現れた事は今回が初めてなのだから、そう言い通せばどうにかなる。
元の世界に戻った者はいないのだから。

異世界。そう、あの例の『扉』から現れる『悪魔』は扉を通して戻されたが、魔法陣での召喚ではないのだ。
実際は可能かも知れないが、過去からもそういう症例はない。
なぜ可能か？
精霊などを召喚する時、現れるが召喚者と合わずにそのまま帰ってしまう事がある。
だから、それを考慮しても、理論上は…

まぁ、聖女がこの世界に留まり、この世界に根付いてくれる方がこちらの者達にとっては都合がいいのもあるが…
あぁ、でも、彼女はダメだ。今回現れたあの聖女である彼女は…
彼女は私の…

そう考えて、自分勝手な考えにウンザリしながら、今後の事を考え酒を煽って床についた。

翌日、彼に呼ばれて上手くいった事。そして、あの場で目撃した者達にはやはりこの世界に合わず病となり療養に出したとし、亡くなったとする方針だと言っていた。
記憶を操作する事も可能だが、目撃者が多く、どこでその情報が漏れるかわからないからだと言う。
薬を飲ませた場所にいた者達は、操作したらしいが。
事実を知っている者は、彼と私。そして、彼の信頼できるその女性を保護する場所の者だけ。
あと、聖女には記憶操作はできないらしく、混乱して巡礼に支障があってはいけないから、事実を述べ、この世界での彼女の立ち位置も伝えるらしい。
巡礼が終われば、死亡説にするかも知れないがそれは状況を見てとも言っていた。

まぁそうなるか…
愛しく感じた彼女には悪いと思うが、この世界の住人の一人として、国は違えど同じような立場の者としては納得せざるを得なかった。